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ー人生ー

#39

「糧と千」

アレスは静かな怒りに身を任せ、地上へと降りる。
それは自分を弱く言われたことではない。腹が立ったのだ、何も知らない人間があたかも自分を理解したかなように語ることを。
「おぉ奇遇じゃーん」
誰だと思い振り向くと、今一番憎んでいる[漢字]奴[/漢字][ふりがな]スペル[/ふりがな]がいた。
「何の様だ」
「全面戦争を止めに来たと言ったら...」
先程までささやかに吹いていた風が止まる。
「殺す」
空気が張り付く。
「私は、お前を救ってやる」
その言葉の意味をアレスは理解できなかった。否、理解したくなかった。
アレスの瞳が細くなる。炎は既に臨界点を越え、もはや炎というよりも、静かに全てを焼き尽くす業火のようだった。
「救うだと?」
低く、押し殺した声が大地を震わせる。
スペルは肩をすくめ、どこか飄々とした態度のまま一歩踏み出した。その一歩で、止まっていた空気がわずかに揺れる。
「そう。お前は今、誰よりも縛られいる」
スペルは知っていた。アレスがどれほど努力してきたか。そして、その努力を理解してもらえなかったことも。だから、
「私も御前の様に生まれたら、こんな風になっていたのかな」
「黙れ」
炎が空へと巻き上がりやがて体を打つ。
【[漢字] 八焔烈燈[/漢字][ふりがな]オクタ・インフェルノ[/ふりがな]】
「クッソ」
スペルの視界が揺れる。痛覚は感じないが、身体に響くことは確かだ。だが決めたことはやる、その精神はあいも変わらずだ。
「アレス、私はお前を否定しているわけではないんだ」
淡々と話しながら刀を抜くスペルの眼には、まるで自分の姿が写っていた。
「誰もお前に言ってない...いや、言えなかったの方が正しいか」
告げなければならない、今言わなければならないこと。そしてそれを誰も言わなかった。
「御前は神と対極に渡り合える、其れが強いんじゃない」
困惑するアレスを蚊帳の外に話すことをやめない。アレスは攻撃しながらも、自らの沈黙を守っている。炎と刀が対立する中、言の葉を結ぶ。
「よく頑張ったな」

作者メッセージ

そしてそれは天を越える

2026/04/27 22:18

徒花
ID:≫ 5.NCXqW.yLBqg
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創作長期ファンタジー天文

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