黒い“使い”がゆっくりと腕を上げる。
「来るぞ」
綺羅の声と同時に、爆炎が巻き起こる。私は刀を構えて踏み込んだ、、はずだった。
――その瞬間。
「……止まれ」
低く、冷たい声が響いた。
ピタッ
黒い使いの動きが、不自然に止まる。
「……え?」
空気が変わった。さっきまで荒れていた風も、舞っていた灰も、まるで“切り取られた”みたいに静止している。
「誰……?」
視線の先。崩れかけた建物の影から、一人の男がゆっくりと歩いてきた。白衣のようなコート。無造作な髪。手には――細いメス。
「いや誰ええぇぇ!!」
「騒ぐな、うるさい。」
状況に似合わないほど、静かで淡々としている。
「お前……何をした」
綺羅が警戒を強める。炎が揺れる。
男はちらりとこちらを見て、小さく息を吐いた。
「見りゃ分かるだろ」
そして、ゆっくりと口を開く。
「俺を中心に半径20m以内は――“動作が著しく制限される領域”」
その言葉が落ちた瞬間、空間が“確定”したような感覚が走る。黒い使いが、ぎこちなく軋む。
「……能力者か」
綺羅が呟く。男はポケットから小さな瓶を取り出し、コーヒーを一口飲んだ。
「八神 蒼だ」
あんな感じなのに好きなものコーヒーって可愛いかよ。
「戦闘員じゃねぇ。回復と守りが仕事だ」
そう言いながらも、蒼は迷いなく前に出る。黒い使いが無理やり動こうとした、その瞬間。蒼の目が細くなる。
「俺の領域で勝手できると思うなよ?」
次の瞬間視界が揺れ動いた。
ドンッ!!
空間そのものが押し潰したかのように、黒い使いが地面に叩きつけられた。
私は思わず息を呑む。
(なんじゃこりゃぁ...)
「綺羅」
蒼が名前も聞いていないはずの彼を呼ぶ。
「火、出せるんだろ」
「ああ」
「なら焼け。今なら動けねぇ」
綺羅が笑う。
「言われなくても」
『鳳凰の息吹』
爆炎が叩き込まれる。
黒い使いは、抵抗することすらできず消えた。
静寂と灰が、またゆっくりと動き出す。
蒼は小さく肩を回した。
「……汚染が強いな」
周囲を見渡しながら呟く。
「人間が住めるようにするには時間がかかるぞ」
私は思わず聞いた。
「あんた……ずっとここに?」
「まあな」
「結界張って、治して、たまに戦ってる」
そして面倒くさそうに続ける。
「面倒だから一人でやってたが」
ちらりと私たちを見る。
「戦力としては悪くないな」
綺羅が鼻で笑う。
「上からだな」
「事実だろ」
間髪入れず返す蒼。少しの沈黙。その後、蒼は静かに言った。
「神を潰すつもりなんだろ」
空気が変わる。
「……ああ」
綺羅が答える。
蒼は少しだけ考えてから、メスをくるりと回した。
「じゃあ条件がある」
「俺の領域内では、俺の指示に従え」
「守れないなら組まない」
私は思わず綺羅を見る。
「いいだろ」
「むしろ好都合だ」
蒼は小さく頷く。
「決まりだな」
そして、空を見上げる。
(炎を操る龍と領域を支配する天才って私のキャラ薄)
なんてことを考えながら気ままに生きようか。
「来るぞ」
綺羅の声と同時に、爆炎が巻き起こる。私は刀を構えて踏み込んだ、、はずだった。
――その瞬間。
「……止まれ」
低く、冷たい声が響いた。
ピタッ
黒い使いの動きが、不自然に止まる。
「……え?」
空気が変わった。さっきまで荒れていた風も、舞っていた灰も、まるで“切り取られた”みたいに静止している。
「誰……?」
視線の先。崩れかけた建物の影から、一人の男がゆっくりと歩いてきた。白衣のようなコート。無造作な髪。手には――細いメス。
「いや誰ええぇぇ!!」
「騒ぐな、うるさい。」
状況に似合わないほど、静かで淡々としている。
「お前……何をした」
綺羅が警戒を強める。炎が揺れる。
男はちらりとこちらを見て、小さく息を吐いた。
「見りゃ分かるだろ」
そして、ゆっくりと口を開く。
「俺を中心に半径20m以内は――“動作が著しく制限される領域”」
その言葉が落ちた瞬間、空間が“確定”したような感覚が走る。黒い使いが、ぎこちなく軋む。
「……能力者か」
綺羅が呟く。男はポケットから小さな瓶を取り出し、コーヒーを一口飲んだ。
「八神 蒼だ」
あんな感じなのに好きなものコーヒーって可愛いかよ。
「戦闘員じゃねぇ。回復と守りが仕事だ」
そう言いながらも、蒼は迷いなく前に出る。黒い使いが無理やり動こうとした、その瞬間。蒼の目が細くなる。
「俺の領域で勝手できると思うなよ?」
次の瞬間視界が揺れ動いた。
ドンッ!!
空間そのものが押し潰したかのように、黒い使いが地面に叩きつけられた。
私は思わず息を呑む。
(なんじゃこりゃぁ...)
「綺羅」
蒼が名前も聞いていないはずの彼を呼ぶ。
「火、出せるんだろ」
「ああ」
「なら焼け。今なら動けねぇ」
綺羅が笑う。
「言われなくても」
『鳳凰の息吹』
爆炎が叩き込まれる。
黒い使いは、抵抗することすらできず消えた。
静寂と灰が、またゆっくりと動き出す。
蒼は小さく肩を回した。
「……汚染が強いな」
周囲を見渡しながら呟く。
「人間が住めるようにするには時間がかかるぞ」
私は思わず聞いた。
「あんた……ずっとここに?」
「まあな」
「結界張って、治して、たまに戦ってる」
そして面倒くさそうに続ける。
「面倒だから一人でやってたが」
ちらりと私たちを見る。
「戦力としては悪くないな」
綺羅が鼻で笑う。
「上からだな」
「事実だろ」
間髪入れず返す蒼。少しの沈黙。その後、蒼は静かに言った。
「神を潰すつもりなんだろ」
空気が変わる。
「……ああ」
綺羅が答える。
蒼は少しだけ考えてから、メスをくるりと回した。
「じゃあ条件がある」
「俺の領域内では、俺の指示に従え」
「守れないなら組まない」
私は思わず綺羅を見る。
「いいだろ」
「むしろ好都合だ」
蒼は小さく頷く。
「決まりだな」
そして、空を見上げる。
(炎を操る龍と領域を支配する天才って私のキャラ薄)
なんてことを考えながら気ままに生きようか。