「……私が?」
思わず聞き返した。声が少し震えているのが自分でもわかる。
灰色の空、焼けた大地、いつ落ちてくるかわからない雷。そんな世界で「神を壊す」なんて言葉は、あまりにも現実離れしていた。
でも――
目の前にいる綺羅は、たった今その“現実”をねじ伏せた。
「私が持っているのは能力とかじゃないんだよ」
私は視線を逸らす。怖かった。強すぎる力も、その言葉の重さも。
「刀だよ、幼い頃から握ってきただけの玩具」
「だから、無理」
「無理かどうかは、お前が決めることじゃない」
静かに、でも確信を持った声だった。
「この世界で生きてる時点で、お前も“選ばれてる側”だ」
「選ばれてるって、何に?」
綺羅は少しだけ空を見上げた。灰色の雲の奥、何かを睨むように。
「この世界をこうした“神”にだ」
その言葉に、胸の奥がざわつく。
ずっと疑問だった。なぜ空は汚れているのか。なぜ人は減り続けるのか。
なぜ私たちは、ただ“耐える”しかないのか。
「……もし」
気づけば、口が動いていた。
「もし一緒に行ったら、どうなるの?」
綺羅は少しだけ笑った。さっきの無表情とは違う、どこか楽しそうな笑み。
「死ぬかもしれない」
そんなに即答しないで欲しいけど。
「でも」
綺羅は黒紅色の扇子をくるりと回す。
「このまま何もせずに終わるよりは、マシだと思わないか?」
風が吹いた。灰が舞い上がる。遠くでまた、小さく雷鳴が響いた。
私は拳をぎゅっと握る。
「……私、名前言ってなかったよね」
綺羅がこちらを見る。
「私、——っていうの」
一瞬だけ迷って、それでもはっきりと言った。
「一緒に行く」
言葉にした瞬間、不思議と胸が軽くなった。
綺羅は小さく頷く。
「後悔しないようにな」
その時だった。
ピーーーーーーーッ!!
さっきよりも大きく、鋭い警報音が鳴り響く。
灰色の雲の奥から、黒い“何か”がゆっくりと降りてくる。
「……あれ、何?」
思わず呟く。綺羅の目が細くなる。
「早速お出ましか」
扇子が開かれる。炎が揺れる。
「神の“使い”だ」
黒い影は、人の形をしていた。
でも――顔が、ない。
その代わりに、空洞の奥で光が蠢いている。
「初戦だ」
綺羅が一歩前に出る。
「死ぬなよ」
気づけば、私も駆け出していた。
灰色の世界で、初めて“抗う”ために。
思わず聞き返した。声が少し震えているのが自分でもわかる。
灰色の空、焼けた大地、いつ落ちてくるかわからない雷。そんな世界で「神を壊す」なんて言葉は、あまりにも現実離れしていた。
でも――
目の前にいる綺羅は、たった今その“現実”をねじ伏せた。
「私が持っているのは能力とかじゃないんだよ」
私は視線を逸らす。怖かった。強すぎる力も、その言葉の重さも。
「刀だよ、幼い頃から握ってきただけの玩具」
「だから、無理」
「無理かどうかは、お前が決めることじゃない」
静かに、でも確信を持った声だった。
「この世界で生きてる時点で、お前も“選ばれてる側”だ」
「選ばれてるって、何に?」
綺羅は少しだけ空を見上げた。灰色の雲の奥、何かを睨むように。
「この世界をこうした“神”にだ」
その言葉に、胸の奥がざわつく。
ずっと疑問だった。なぜ空は汚れているのか。なぜ人は減り続けるのか。
なぜ私たちは、ただ“耐える”しかないのか。
「……もし」
気づけば、口が動いていた。
「もし一緒に行ったら、どうなるの?」
綺羅は少しだけ笑った。さっきの無表情とは違う、どこか楽しそうな笑み。
「死ぬかもしれない」
そんなに即答しないで欲しいけど。
「でも」
綺羅は黒紅色の扇子をくるりと回す。
「このまま何もせずに終わるよりは、マシだと思わないか?」
風が吹いた。灰が舞い上がる。遠くでまた、小さく雷鳴が響いた。
私は拳をぎゅっと握る。
「……私、名前言ってなかったよね」
綺羅がこちらを見る。
「私、——っていうの」
一瞬だけ迷って、それでもはっきりと言った。
「一緒に行く」
言葉にした瞬間、不思議と胸が軽くなった。
綺羅は小さく頷く。
「後悔しないようにな」
その時だった。
ピーーーーーーーッ!!
さっきよりも大きく、鋭い警報音が鳴り響く。
灰色の雲の奥から、黒い“何か”がゆっくりと降りてくる。
「……あれ、何?」
思わず呟く。綺羅の目が細くなる。
「早速お出ましか」
扇子が開かれる。炎が揺れる。
「神の“使い”だ」
黒い影は、人の形をしていた。
でも――顔が、ない。
その代わりに、空洞の奥で光が蠢いている。
「初戦だ」
綺羅が一歩前に出る。
「死ぬなよ」
気づけば、私も駆け出していた。
灰色の世界で、初めて“抗う”ために。