位相奔流のただ中で、ミュトスは“自分”と向き合う。老いてはいない。崩れてもいない。
だが確実に、長い時間を知っている眼。
未来のミュトスが言う。
「境界はなかった」
星々が背後で裂け、また縫い合わさる。
「越える線など、最初から存在しない。分けたつもりになっただけだ」
半拍が脈打つ。0.63。0.52。0.71。
宇宙が呼吸するたび、無数の現在が擦れ違う。
「未来には行けない」
未来のミュトスが続ける。
「過去にも行けない。どちらも“位置”ではないからだ」
ミュトスは歯を食いしばる。
「ならどうする」
「私達は貴方を、どうやって救う」
静寂。
次の瞬間、星々が一直線に引き伸ばされる。点が線になる。線が震えた。光の糸へと変わり、未来のミュトスが微笑む。
「覆す方法は一つだけだ」
奔流が止まる。
いや、方向を変える。言葉を聞いた途端に想う、これが、この為に生まれてきたと。
「[太字]紡ぐ[/太字]」
その言葉と同時に、星が絡み合う。銀河が撚られ、光が撚糸のように細く強く伸びる。
「星を、糸のように紡ぐ」
理解が雷のように走る。移動ではない。跳躍でもない。時間を“渡る”のではない。時間そのものを撚り合わせる。半拍を固定するのではなく、撚る。
現在と未来と過去を、一本の連続した繊維にする。
シンヴリが叫ぶ。
【警告】宇宙構造の再編を検知
【不可逆】時系列の線形性が消失
【提案】直ちに停止せよ
未来のミュトスが首を振る。
「線形である必要はない。」
星の屑がミュトスの指先に触れる。熱く、震えている。触れた瞬間、ミュトスは見る。
崩壊した未来。選ばれなかった過去。まだ生まれていない選択。それらが一本の光として撚られていく。
「行けないのなら――」
今のミュトスが、糸を握る。
「連ねればいい。」
星が引き寄せられる。夜空が織機のように広がる。
無数の光が、縦糸と横糸になる。
宇宙が布になりかける。半拍が、もはや数値ではなくなる。それは張力だ。撚りの強さだ。
シンヴリの表示が白く飽和する。
【未定義】観測不能
【新仮説】時間=繊維構造
未来のミュトスが囁く。
「まだ足りない。」
撚りは始まったばかりだ。
一本では弱い。
無数に紡がなければ、断ち切れる。
ミュトスは星の糸をさらに引く。
遠くで、別の自分が同じ動きをしているのが見える。
並走ではない。共に織っている。宇宙が軋む。
光が絡まり、巨大な輪が形を取り始める。
その中心に、まだ結ばれていない空白がある。
そこに何を通すかで、未来は変わる。
未来のミュトスが問いかける。
「何を得る?」
星々が震える。
星は、今も増え続けている。
だが確実に、長い時間を知っている眼。
未来のミュトスが言う。
「境界はなかった」
星々が背後で裂け、また縫い合わさる。
「越える線など、最初から存在しない。分けたつもりになっただけだ」
半拍が脈打つ。0.63。0.52。0.71。
宇宙が呼吸するたび、無数の現在が擦れ違う。
「未来には行けない」
未来のミュトスが続ける。
「過去にも行けない。どちらも“位置”ではないからだ」
ミュトスは歯を食いしばる。
「ならどうする」
「私達は貴方を、どうやって救う」
静寂。
次の瞬間、星々が一直線に引き伸ばされる。点が線になる。線が震えた。光の糸へと変わり、未来のミュトスが微笑む。
「覆す方法は一つだけだ」
奔流が止まる。
いや、方向を変える。言葉を聞いた途端に想う、これが、この為に生まれてきたと。
「[太字]紡ぐ[/太字]」
その言葉と同時に、星が絡み合う。銀河が撚られ、光が撚糸のように細く強く伸びる。
「星を、糸のように紡ぐ」
理解が雷のように走る。移動ではない。跳躍でもない。時間を“渡る”のではない。時間そのものを撚り合わせる。半拍を固定するのではなく、撚る。
現在と未来と過去を、一本の連続した繊維にする。
シンヴリが叫ぶ。
【警告】宇宙構造の再編を検知
【不可逆】時系列の線形性が消失
【提案】直ちに停止せよ
未来のミュトスが首を振る。
「線形である必要はない。」
星の屑がミュトスの指先に触れる。熱く、震えている。触れた瞬間、ミュトスは見る。
崩壊した未来。選ばれなかった過去。まだ生まれていない選択。それらが一本の光として撚られていく。
「行けないのなら――」
今のミュトスが、糸を握る。
「連ねればいい。」
星が引き寄せられる。夜空が織機のように広がる。
無数の光が、縦糸と横糸になる。
宇宙が布になりかける。半拍が、もはや数値ではなくなる。それは張力だ。撚りの強さだ。
シンヴリの表示が白く飽和する。
【未定義】観測不能
【新仮説】時間=繊維構造
未来のミュトスが囁く。
「まだ足りない。」
撚りは始まったばかりだ。
一本では弱い。
無数に紡がなければ、断ち切れる。
ミュトスは星の糸をさらに引く。
遠くで、別の自分が同じ動きをしているのが見える。
並走ではない。共に織っている。宇宙が軋む。
光が絡まり、巨大な輪が形を取り始める。
その中心に、まだ結ばれていない空白がある。
そこに何を通すかで、未来は変わる。
未来のミュトスが問いかける。
「何を得る?」
星々が震える。
星は、今も増え続けている。