「地上が五月蝿すぎますね」
皆が思ったその時メイが立ち上がった。
「解決してくる」
その一言だけ置いて扉を閉めた。
『え?』
メイは塔を降り、石段を踏みしめながら地上へ出た。
役人たちが集まっている。官服の白と黒の列。命令書を手にした長官が眉をひそめ、腕を組む。
「ここが未来研究の塔か」
長官は低く言った。
「装置の即時停止と資料の提出を命ずる」
メイは背筋を伸ばし、声をはっきりさせた。
「私たちの研究は、危険ではありません。危険なのは、途中でやめて無秩序に触れることです」
役人の一人が鼻を鳴らした。
「半端な実験で市民や国家に害を及ぼしたらどうする? それでも安全だと言うのか」
メイは一歩前に出る。
「装置の理論、安定化の計算、すべて公開できます。秘密はもう作りません」
長官が疑わしげに目を細める。
「しかし、理論は紙の上でしかない。現実での安全性を保証できるのか?」
「保証は、研究そのものです」
メイは塔の方向を指さした。
「地下で私たちは未来を観測し、崩壊を未然に防いできました。手順もすべて記録済みです」
別の役人が声を荒げる。
「民衆は怖がる! 魔術のような装置だと噂になっている!」
メイは静かに言った。
「だからこそ、隠さず説明します。恐怖は無知から生まれるのです。理論と手順を公開することで、安全を理解してもらいます」
長官が目を伏せ、書類を軽く握り直す。
「……もし万一、何かが起きた場合、責任はどう取る」
メイは微笑みを抑えて答えた。
「責任は、研究者として私たちが負います。恐れるあまり止めるのではなく、理解のもとで進めてください」
周囲に小さなざわめきが起きる。官吏たちの間で議論が始まった。
「理論通りなら安全か……」
「記録を公開させるなら監督下で許可できるかもしれん」
メイは深呼吸した。
「理解されるまで時間はかかります。それでも隠すより、議論を交わしたほうが安全です」
長官はしばらく沈黙し、やがて小さく頷いた。
「ならば、一定の条件下での継続を認める。ただし、監督を置く」
「ありがとうございます。塔の中で待っています。私たちは隠しません、止めません」
地上と地下、恐れと理解。二つの[漢字]時間[/漢字][ふりがな]しゅんかん[/ふりがな]は、少しだけ並走を許された。
皆が思ったその時メイが立ち上がった。
「解決してくる」
その一言だけ置いて扉を閉めた。
『え?』
メイは塔を降り、石段を踏みしめながら地上へ出た。
役人たちが集まっている。官服の白と黒の列。命令書を手にした長官が眉をひそめ、腕を組む。
「ここが未来研究の塔か」
長官は低く言った。
「装置の即時停止と資料の提出を命ずる」
メイは背筋を伸ばし、声をはっきりさせた。
「私たちの研究は、危険ではありません。危険なのは、途中でやめて無秩序に触れることです」
役人の一人が鼻を鳴らした。
「半端な実験で市民や国家に害を及ぼしたらどうする? それでも安全だと言うのか」
メイは一歩前に出る。
「装置の理論、安定化の計算、すべて公開できます。秘密はもう作りません」
長官が疑わしげに目を細める。
「しかし、理論は紙の上でしかない。現実での安全性を保証できるのか?」
「保証は、研究そのものです」
メイは塔の方向を指さした。
「地下で私たちは未来を観測し、崩壊を未然に防いできました。手順もすべて記録済みです」
別の役人が声を荒げる。
「民衆は怖がる! 魔術のような装置だと噂になっている!」
メイは静かに言った。
「だからこそ、隠さず説明します。恐怖は無知から生まれるのです。理論と手順を公開することで、安全を理解してもらいます」
長官が目を伏せ、書類を軽く握り直す。
「……もし万一、何かが起きた場合、責任はどう取る」
メイは微笑みを抑えて答えた。
「責任は、研究者として私たちが負います。恐れるあまり止めるのではなく、理解のもとで進めてください」
周囲に小さなざわめきが起きる。官吏たちの間で議論が始まった。
「理論通りなら安全か……」
「記録を公開させるなら監督下で許可できるかもしれん」
メイは深呼吸した。
「理解されるまで時間はかかります。それでも隠すより、議論を交わしたほうが安全です」
長官はしばらく沈黙し、やがて小さく頷いた。
「ならば、一定の条件下での継続を認める。ただし、監督を置く」
「ありがとうございます。塔の中で待っています。私たちは隠しません、止めません」
地上と地下、恐れと理解。二つの[漢字]時間[/漢字][ふりがな]しゅんかん[/ふりがな]は、少しだけ並走を許された。