文字サイズ変更

ーαστέριー

#19

「続ける」

地下室の装置は、低く規則的な唸りを保っていた。
一・二秒。こちらの周期。
一秒。向こうの周期。
半拍の差は、もう揺らがない。崩壊も融合も起こらず、ただ二つの時間が並走している。
「安定しています……」
リトスが計器を見つめながら呟く。石壁の亀裂は止まり、懐中時計も正しい鼓動に戻っていた。
未来から七回の信号が届く。以前より速いが、もう追いつこうとはしない。重なれば壊れると、向こうも理解したのだ。
ミュトスは静かに言う。
「未来を救うのではありません」
アトミスが視線を向ける。
「では、何をする」
「固定させない」
未来の塔は、恐れて立ち止まり、不完全な接続を続けた。その歪みが崩壊を招いた。完成を求め、止まったことが原因だった。
「私たちは止まりません。完成もしません」
メイが小さく笑う。
「未完成を選ぶわけだ」
「はい。流れ続けることが、安定です」
装置は脈打つ。向こうも応答する。触れない。だが断たれもしない。距離ではなく、関係としての時間差。
ジニアスが空を仰ぐ。
「未来より先に進めばいいんですね」
「ええ。でも追い越しません。並び続けます」
星は沈黙している。けれど今、その沈黙は空白ではない。半拍の差を抱えた二つの世界が、同時に息をしている。
ミュトスは懐中時計を握りしめ、静かに微笑んだ。
「――まだ途中です」
   ━────── •●• ──────━
拝啓、ミュトスへ
元気にやっていると研究所の方々から聞きました。私は貴方の両親であることを光栄に思い、今日もまた過ごしていきます。アトミスさんは、何やらこの研究の説明をしてくれたのだけど、難しい事ということだけ理解できたわ。いつでもお気軽に帰ってきてください。貴方が幸せである事を願っています。
   ━────── •●• ──────━

作者メッセージ

完結に近づいていくのを感じて寂しいですね。

2026/02/15 13:07

徒花
ID:≫ 5.NCXqW.yLBqg
コメント

この小説につけられたタグ

天文貴族価値観

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は徒花さんに帰属します

TOP