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ー人生ー

#25

「プレゼント」

夜になり軸柊奏の明かりは、いつもより柔らかかった。ツリーはない、飾りも少ない。
それでも、空気はどこか特別だ。
「プレゼント交換、しよっか」
弦音が言い出したのは、完全に予想通りだった。
「聞いてない」 
「人生はサプライズでできてるから」
「それは言い訳だ」
いつものように言い合いが始まる。
小さな包みが、テーブルに並んだ。紙袋、リボン、無骨な箱。佳世は、少し戸惑いながら受け取った。
「……わたしも、もらっていいのですか」
「もちろん」
当たり前かのように言葉を返す。
開けると中にあったのは、小さなマフラー。
「寒いから」
それだけの言葉。
それだけで、佳世の目が潤む。
「……あったかい」
夏紀は、楽譜を受け取った。
晴馿からだった。
「……これ」
「昔の曲だ。歌いやすい」
「……ありがとう」
弦音は、スペルの前に小さな箱を置いた。
「はい、神様」
「嫌な呼び方だな」
中に入っていたのは、古い懐中時計。
止まっている。
「……動かないじゃん」
「だからいいんでしょ」
弦音は笑う。
「止まった時間も、ちゃんと持ってていいって証拠」
スペルは、言葉を失った。
忘れなくていい、抱えたままでいい。
それは許しだった。
「……ずるいな」
そう言って、スペルは時計を握る。外では、雪が降り始めていた。街中の賑やかさとは対照的に軸柊奏では静かに、確かに。
「メリークリスマス」
そんな風に誰かが言う。
止まったものを、抱えたまま。
それでも、人生は鳴る。
この家で、今日も。

作者メッセージ

目指せ!200回視聴!

2026/02/12 09:48

徒花
ID:≫ 5.NCXqW.yLBqg
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創作長期ファンタジー天文

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