夜になり軸柊奏の明かりは、いつもより柔らかかった。ツリーはない、飾りも少ない。
それでも、空気はどこか特別だ。
「プレゼント交換、しよっか」
弦音が言い出したのは、完全に予想通りだった。
「聞いてない」
「人生はサプライズでできてるから」
「それは言い訳だ」
いつものように言い合いが始まる。
小さな包みが、テーブルに並んだ。紙袋、リボン、無骨な箱。佳世は、少し戸惑いながら受け取った。
「……わたしも、もらっていいのですか」
「もちろん」
当たり前かのように言葉を返す。
開けると中にあったのは、小さなマフラー。
「寒いから」
それだけの言葉。
それだけで、佳世の目が潤む。
「……あったかい」
夏紀は、楽譜を受け取った。
晴馿からだった。
「……これ」
「昔の曲だ。歌いやすい」
「……ありがとう」
弦音は、スペルの前に小さな箱を置いた。
「はい、神様」
「嫌な呼び方だな」
中に入っていたのは、古い懐中時計。
止まっている。
「……動かないじゃん」
「だからいいんでしょ」
弦音は笑う。
「止まった時間も、ちゃんと持ってていいって証拠」
スペルは、言葉を失った。
忘れなくていい、抱えたままでいい。
それは許しだった。
「……ずるいな」
そう言って、スペルは時計を握る。外では、雪が降り始めていた。街中の賑やかさとは対照的に軸柊奏では静かに、確かに。
「メリークリスマス」
そんな風に誰かが言う。
止まったものを、抱えたまま。
それでも、人生は鳴る。
この家で、今日も。
それでも、空気はどこか特別だ。
「プレゼント交換、しよっか」
弦音が言い出したのは、完全に予想通りだった。
「聞いてない」
「人生はサプライズでできてるから」
「それは言い訳だ」
いつものように言い合いが始まる。
小さな包みが、テーブルに並んだ。紙袋、リボン、無骨な箱。佳世は、少し戸惑いながら受け取った。
「……わたしも、もらっていいのですか」
「もちろん」
当たり前かのように言葉を返す。
開けると中にあったのは、小さなマフラー。
「寒いから」
それだけの言葉。
それだけで、佳世の目が潤む。
「……あったかい」
夏紀は、楽譜を受け取った。
晴馿からだった。
「……これ」
「昔の曲だ。歌いやすい」
「……ありがとう」
弦音は、スペルの前に小さな箱を置いた。
「はい、神様」
「嫌な呼び方だな」
中に入っていたのは、古い懐中時計。
止まっている。
「……動かないじゃん」
「だからいいんでしょ」
弦音は笑う。
「止まった時間も、ちゃんと持ってていいって証拠」
スペルは、言葉を失った。
忘れなくていい、抱えたままでいい。
それは許しだった。
「……ずるいな」
そう言って、スペルは時計を握る。外では、雪が降り始めていた。街中の賑やかさとは対照的に軸柊奏では静かに、確かに。
「メリークリスマス」
そんな風に誰かが言う。
止まったものを、抱えたまま。
それでも、人生は鳴る。
この家で、今日も。
- 1.「人生」
- 2.「奇跡の星」
- 3.「夏紀」
- 4.「とある隣人は」
- 5.「立場」
- 6.徒花の行方
- 7.「幼女は」
- 8.「笑顔」
- 9.「軸柊奏」
- 10.徒花の行方
- 11.「居場所」
- 12.「弦の音」
- 13.「答え」
- 14.「日常編」
- 15.「悩むものか」
- 16.「歪み」
- 17.「信頼」
- 18.「余命」
- 19.「時歌」
- 20.「日常編」
- 21.「神として」
- 22.「忘却列車」
- 23.「微熱」
- 24.「クリスマス」
- 25.「プレゼント」
- 26.「鳴っている」
- 27.「バレンタイン」
- 28.「日常」
- 29.「誰」
- 30.「戦場」
- 31.「アレス」
- 32.「日常編」
- 33.「破会議壊」
- 34.「徒花の行方」
- 35.「戦の予兆」
- 36.「日常編」