馬車は静かに夜道を進んでいた。
窓の外では、街の灯りが少しずつ減り、代わりに星が数を増していく。
「綺麗……」
ミュトスは思わず声に出した。父は小さく笑う。
「研究者らしい反応だな」
「星は、いつ見ても新しいです」
同じ空のはずなのに、場所が変わるだけで違って見える。それだけで、胸が少し弾んだ。
やがて馬車は、街外れの石造りの塔の前で止まった。質素だが、どこか空へ伸びようとする意志を感じる建物だ。
「ここよ」
扉を開けた瞬間、ひんやりとした空気が肌を撫でた。
中には数人の男たちが集まっている。
「お連れしました」
父の声に、一斉に視線が集まった。
「彼女が、ミュトスだ」
最初に近づいてきたのは、年配の男だった。落ち着いた態度で、安心感がある。
「私はアトミス。この場をまとめている」
「初めまして。ミュトスです」
彼女がはっきりと挨拶すると、アトミスは満足そうに頷いた。
「いい目をしている」
少し離れたところで、慌てて頭を下げる女がいる。
「り、リトスと申します……本日はお越しいただき……その……」
「よろしくお願いします」
ミュトスがにこやかに返すと、リトスはほっとしたように息を吐いた。
その時だった。
「ええ〜!ほんとに来てくれましたよアトミスさん!」
弾んだ声と共に、青年が駆け寄ってくる。
「初めまして! ジニアスって言います!」
距離が近い。だが不思議と嫌ではない。彼は目を輝かせ、少し前のめりだ。
「会えるの楽しみにしてたんです。星の本、あんなに読んでる人、なかなかいないから」
「そうなんですか?」
「うん! 尊敬してます!」
ミュトスは一瞬驚き、それからくすりと笑った。
「ありがとう。嬉しいです」
その笑顔に、ジニアスはさらに嬉しそうに頷く。アトミスが咳払いをした。
「さて、改めて話そう。我々が何を見ているのかを」
ミュトスは望遠鏡の並ぶ室内を見回した。怖さよりも、期待の方が勝っている。
「はい。ぜひ」
星を追い続ける者たちの輪の中で、彼女はまっすぐ前を向いていた。
――ここから始まるのだ、と。
窓の外では、街の灯りが少しずつ減り、代わりに星が数を増していく。
「綺麗……」
ミュトスは思わず声に出した。父は小さく笑う。
「研究者らしい反応だな」
「星は、いつ見ても新しいです」
同じ空のはずなのに、場所が変わるだけで違って見える。それだけで、胸が少し弾んだ。
やがて馬車は、街外れの石造りの塔の前で止まった。質素だが、どこか空へ伸びようとする意志を感じる建物だ。
「ここよ」
扉を開けた瞬間、ひんやりとした空気が肌を撫でた。
中には数人の男たちが集まっている。
「お連れしました」
父の声に、一斉に視線が集まった。
「彼女が、ミュトスだ」
最初に近づいてきたのは、年配の男だった。落ち着いた態度で、安心感がある。
「私はアトミス。この場をまとめている」
「初めまして。ミュトスです」
彼女がはっきりと挨拶すると、アトミスは満足そうに頷いた。
「いい目をしている」
少し離れたところで、慌てて頭を下げる女がいる。
「り、リトスと申します……本日はお越しいただき……その……」
「よろしくお願いします」
ミュトスがにこやかに返すと、リトスはほっとしたように息を吐いた。
その時だった。
「ええ〜!ほんとに来てくれましたよアトミスさん!」
弾んだ声と共に、青年が駆け寄ってくる。
「初めまして! ジニアスって言います!」
距離が近い。だが不思議と嫌ではない。彼は目を輝かせ、少し前のめりだ。
「会えるの楽しみにしてたんです。星の本、あんなに読んでる人、なかなかいないから」
「そうなんですか?」
「うん! 尊敬してます!」
ミュトスは一瞬驚き、それからくすりと笑った。
「ありがとう。嬉しいです」
その笑顔に、ジニアスはさらに嬉しそうに頷く。アトミスが咳払いをした。
「さて、改めて話そう。我々が何を見ているのかを」
ミュトスは望遠鏡の並ぶ室内を見回した。怖さよりも、期待の方が勝っている。
「はい。ぜひ」
星を追い続ける者たちの輪の中で、彼女はまっすぐ前を向いていた。
――ここから始まるのだ、と。