文字サイズ変更

ー人生ー

#20

「日常編」

それは弦音の唐突な一言から始まった。
「自己PRをしよ〜! いえーい」
その場にいた全員が、一拍遅れて固まる。
「……えっと、自己PRとは」
佳世が首を傾げると、夏紀は少し考えてから優しく答えた。
「簡単に言えば、自分のことを紹介するやつかな」
「めんどくさーい」
ソファにだらけたスペルが即座に切り捨てる。
「今更だろ」
晴馿も追撃した。
面倒くさがり陣営の完璧な連携に、弦音は頬を膨らませる。
「え〜!いいじゃん!みんなを知れるチャンスじゃん!」
大きな声で言いながら、スペルの肩を揺さぶる
「今まで何を見てきたんだ」
「見てたけど! ちゃんと“言葉にする”のは別!」
弦音は腕を組み、じっと二人を睨む。
「ね、佳世はやってみたいよね?」
『……ちょっと、きになります』
佳世の正直な返答に、弦音は勢いよく頷いた。
「ほら! 多数決!」
「少数だけどな」
とは言いつつ、スペルは小さくため息をついた。
「……で、何を言えばいい」
「名前、性格、長所短所、あと一言!」
「履歴書か」
「楽しくやろうよ!」
一瞬の沈黙のあと、スペルは観念したように口を開く。
「スペル・アルオクイス。神。長所は死なない。短所も死なない」
「重っ!」
夏紀が即座に突っ込む。
「日常編で出す自己PRじゃない!」
「事実だ」
「もっとこう、親しみ!」
スペルは少し考えたあと、ぽつりと言った。
「……甘いものが好き」
『そうなんですか』
佳世の目が輝く。
「それ!そう言うのが欲しかった!」
「意外だろ」
その声は、ほんの少し柔らかかった。
「次、晴馿!」
「はいはい」
晴馿は肩をすくめる。
「晴馿。面倒なこと嫌い。長所は生き延びるのが得意。短所はそれしか考えてない」
「自己分析が鋭すぎる」
「褒めてない」
次は夏紀だった。
「夏紀。音楽が好き。あと……泣き虫」
「自分で言うんだ」
「事実だから」
少し照れたように笑う。
最後に佳世が前に出る。
『佳世です。すきなのは、ごはんと、ねることです』
一文一文息を吸いながら佳世は話す。
「なんか、俺らがやばい奴みたいで嫌だな」
「マジそれ」
大きな声でまた弦音は叫ぶ。
「はい!自己PR終了〜!」
「結局、何だったんだ」
「日常確認?」
意味は分からない。
でも、誰も席を立たなかった。
騒がしくて、どうでもよくて、
それでも確かに、ここには日常があった。
それだけで、今は十分だった。

作者メッセージ

日常編は穏やかな雰囲気でいいですね〜!
・:* .\(( °ω° ))/.:

2026/02/07 06:32

徒花
ID:≫ 5.NCXqW.yLBqg
コメント

この小説につけられたタグ

創作長期ファンタジー天文

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は徒花さんに帰属します

TOP