それは弦音の唐突な一言から始まった。
「自己PRをしよ〜! いえーい」
その場にいた全員が、一拍遅れて固まる。
「……えっと、自己PRとは」
佳世が首を傾げると、夏紀は少し考えてから優しく答えた。
「簡単に言えば、自分のことを紹介するやつかな」
「めんどくさーい」
ソファにだらけたスペルが即座に切り捨てる。
「今更だろ」
晴馿も追撃した。
面倒くさがり陣営の完璧な連携に、弦音は頬を膨らませる。
「え〜!いいじゃん!みんなを知れるチャンスじゃん!」
大きな声で言いながら、スペルの肩を揺さぶる
「今まで何を見てきたんだ」
「見てたけど! ちゃんと“言葉にする”のは別!」
弦音は腕を組み、じっと二人を睨む。
「ね、佳世はやってみたいよね?」
『……ちょっと、きになります』
佳世の正直な返答に、弦音は勢いよく頷いた。
「ほら! 多数決!」
「少数だけどな」
とは言いつつ、スペルは小さくため息をついた。
「……で、何を言えばいい」
「名前、性格、長所短所、あと一言!」
「履歴書か」
「楽しくやろうよ!」
一瞬の沈黙のあと、スペルは観念したように口を開く。
「スペル・アルオクイス。神。長所は死なない。短所も死なない」
「重っ!」
夏紀が即座に突っ込む。
「日常編で出す自己PRじゃない!」
「事実だ」
「もっとこう、親しみ!」
スペルは少し考えたあと、ぽつりと言った。
「……甘いものが好き」
『そうなんですか』
佳世の目が輝く。
「それ!そう言うのが欲しかった!」
「意外だろ」
その声は、ほんの少し柔らかかった。
「次、晴馿!」
「はいはい」
晴馿は肩をすくめる。
「晴馿。面倒なこと嫌い。長所は生き延びるのが得意。短所はそれしか考えてない」
「自己分析が鋭すぎる」
「褒めてない」
次は夏紀だった。
「夏紀。音楽が好き。あと……泣き虫」
「自分で言うんだ」
「事実だから」
少し照れたように笑う。
最後に佳世が前に出る。
『佳世です。すきなのは、ごはんと、ねることです』
一文一文息を吸いながら佳世は話す。
「なんか、俺らがやばい奴みたいで嫌だな」
「マジそれ」
大きな声でまた弦音は叫ぶ。
「はい!自己PR終了〜!」
「結局、何だったんだ」
「日常確認?」
意味は分からない。
でも、誰も席を立たなかった。
騒がしくて、どうでもよくて、
それでも確かに、ここには日常があった。
それだけで、今は十分だった。
「自己PRをしよ〜! いえーい」
その場にいた全員が、一拍遅れて固まる。
「……えっと、自己PRとは」
佳世が首を傾げると、夏紀は少し考えてから優しく答えた。
「簡単に言えば、自分のことを紹介するやつかな」
「めんどくさーい」
ソファにだらけたスペルが即座に切り捨てる。
「今更だろ」
晴馿も追撃した。
面倒くさがり陣営の完璧な連携に、弦音は頬を膨らませる。
「え〜!いいじゃん!みんなを知れるチャンスじゃん!」
大きな声で言いながら、スペルの肩を揺さぶる
「今まで何を見てきたんだ」
「見てたけど! ちゃんと“言葉にする”のは別!」
弦音は腕を組み、じっと二人を睨む。
「ね、佳世はやってみたいよね?」
『……ちょっと、きになります』
佳世の正直な返答に、弦音は勢いよく頷いた。
「ほら! 多数決!」
「少数だけどな」
とは言いつつ、スペルは小さくため息をついた。
「……で、何を言えばいい」
「名前、性格、長所短所、あと一言!」
「履歴書か」
「楽しくやろうよ!」
一瞬の沈黙のあと、スペルは観念したように口を開く。
「スペル・アルオクイス。神。長所は死なない。短所も死なない」
「重っ!」
夏紀が即座に突っ込む。
「日常編で出す自己PRじゃない!」
「事実だ」
「もっとこう、親しみ!」
スペルは少し考えたあと、ぽつりと言った。
「……甘いものが好き」
『そうなんですか』
佳世の目が輝く。
「それ!そう言うのが欲しかった!」
「意外だろ」
その声は、ほんの少し柔らかかった。
「次、晴馿!」
「はいはい」
晴馿は肩をすくめる。
「晴馿。面倒なこと嫌い。長所は生き延びるのが得意。短所はそれしか考えてない」
「自己分析が鋭すぎる」
「褒めてない」
次は夏紀だった。
「夏紀。音楽が好き。あと……泣き虫」
「自分で言うんだ」
「事実だから」
少し照れたように笑う。
最後に佳世が前に出る。
『佳世です。すきなのは、ごはんと、ねることです』
一文一文息を吸いながら佳世は話す。
「なんか、俺らがやばい奴みたいで嫌だな」
「マジそれ」
大きな声でまた弦音は叫ぶ。
「はい!自己PR終了〜!」
「結局、何だったんだ」
「日常確認?」
意味は分からない。
でも、誰も席を立たなかった。
騒がしくて、どうでもよくて、
それでも確かに、ここには日常があった。
それだけで、今は十分だった。
- 1.「人生」
- 2.「奇跡の星」
- 3.「夏紀」
- 4.「とある隣人は」
- 5.「立場」
- 6.徒花の行方
- 7.「幼女は」
- 8.「笑顔」
- 9.「軸柊奏」
- 10.徒花の行方
- 11.「居場所」
- 12.「弦の音」
- 13.「答え」
- 14.「日常編」
- 15.「悩むものか」
- 16.「歪み」
- 17.「信頼」
- 18.「余命」
- 19.「時歌」
- 20.「日常編」
- 21.「神として」
- 22.「忘却列車」
- 23.「微熱」
- 24.「クリスマス」
- 25.「プレゼント」
- 26.「鳴っている」
- 27.「バレンタイン」
- 28.「日常」
- 29.「誰」
- 30.「戦場」
- 31.「アレス」
- 32.「日常編」
- 33.「破会議壊」
- 34.「徒花の行方」
- 35.「戦の予兆」
- 36.「日常編」