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ー人生ー

#15

「悩むものか」

人には誰しも悩みがある、それは人間も神も同じだ。それは合理的人間も同じだ。
「誰か一緒に夏祭りいこうぜ」
普段の晴馿からは考えられない言葉が出た。
『せいろさん...急にどうしたのですか?』
つかさず佳世が聞き返す。
「ちょっと悩みを解消に」
「でも、今日私と佳世、弦音はやることがあるわ」
最近は嫌な予感だらけだな。
      スタタタッー
「おいスペル、俺を置いて逃げるな」
ソーシャルディスタンスの十倍の距離に逃げる。
「まあせっかくだし言ってあげようよ〜!」
自分は行かないからと弦音は後押しする。
「じゃあ明日決定な」
・・・・・━━━━━━夏祭り当日━━━━━・・・・・❦
軸柊奏の玄関は、いつもより少し騒がしかった。外から流れてくる太鼓の音と、甘ったるい屋台の匂いが、家の中まで入り込んでくる。
スペルは鏡の前で浴衣の帯を直しながら、わかりやすく眉をひそめていた。
何度結び直しても、どこか落ち着かない。
「……なんで私まで行く流れになるの」
ぽつりと零した言葉に、背後から即答が返る。
「厄払いだ」
晴馿は淡々と草履を履きながら言った。
「悩みを抱えた存在が非日常空間に身を置くことで、精神的負荷が軽減される可能性が高い」
「可能性で人生を動かすな」
「人生は選択と統計の集合体だ」
言い返そうとした、その時。
「ねえねえ」
天井から顔を出した弦音が、にやにやしながら言った。
「神ってさ、祭り行くとテンション上がるタイプ?」
「上がらない」
「嘘だね」
弦音は満足そうに頷き、ひらひらと手を振る。
「いってらっしゃーい。迷子にならないでね」
その言葉を最後に、弦音は姿を消した。
こうして半ば強制的に、スペルと晴馿は祭りへ向かうことになった。
提灯の光が連なり、人の波がゆっくりと流れている。
その賑やかさに、スペルは思わず目を細めた。
「……うるさい」
「それが祭りだ」
「知ってる」
金魚すくいの前で足が止まる。
覗き込むように水槽を見るスペルに、晴馿が即座に釘を刺す。
「神の力は禁止だ」
「使わないってば」
——結果、紙は開始三秒で破れた。
金魚は優雅に泳ぎ去る。まるで見下すかのように
「こんな奴一発ボカンなのに……納得いかない」
「水圧と紙質の問題だ」
「言い方が理系すぎる」

焼きそばを買い、人混みから少し外れた場所で並んで食べる。
風に乗って花火の火薬の匂いがした。
「あっそういえば悩み消えたか」
晴馿は悩む、何か悩んでいると言う感覚が心を埋め尽くしている。言葉にできるものではないなら、説明できやしない。
「悩みって、そんな簡単に消えるもんじゃないか」
唐突な問いに、晴馿は少し考える。
その瞬間、花火が夜空を割った。
ドン、という音に、スペルは思わず肩を跳ねさせる。
「うぉ!」
「ビビリがw」
「お前もボカンと一発かましてやろうか」
晴馿は何も言わず、一歩前に立った。
音は変わらないが、不思議と落ち着く。
夜空に広がる光を見上げながら、スペルは小さく息を吐いた。
悩みは消えない。
答えも、まだない。
「また来ような、今度は夏紀も佳世も弦音もつれて」




作者メッセージ

恋愛感情は一切ないと言うことだけど以後お見知りおいてください・:* .\(( °ω° ))/.:

2026/02/05 22:21

徒花
ID:≫ 5.NCXqW.yLBqg
コメント

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創作長期ファンタジー天文

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