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ー人生ー

#14

「日常編」

  ガチャ
「ただいまー」
スペルは両手いっぱいの買い物袋を抱えて帰ってきた。
「……誰だ、卵を一番下に入れたの」
玄関で既に一人ボヤきながら靴を脱ぐ。
その瞬間——
    ボンッ
台所の方から、なにか爆発未満の音がした。
「……?」
嫌な予感しかしない。
「おーい、生存確認」
返事はない。
代わりに、もくもくと湯気。
「……嫌な予感しかしない(二回目)」
台所を覗くと、そこには——
「わぁ」
鍋を囲む佳世、弦音、夏紀、そして腕を組む晴馿。
「……なにしてる」
『……りょうり、です』
佳世はエプロンを着ていた。
サイズが合っていない。
「サプライズなんだってさ!」
弦音が無駄に元気よく言う。
「サプライズは事前に危険度を申告してよ」
「火も包丁も管理下だ」
晴馿が即座にフォローする。
「管理下って言い方がもう怖い」
鍋の中を見る。
野菜は大きさがまちまち。
明らかに人参が主張しすぎている。
「……人参、恨みでもある?」
『……すきだから』
えぇと控えめに唸る。
スペルは買い物袋を置き、佳世の横にしゃがむ。
「初めてか」
『……はい』
「よし」
即座に立ち上がる。
「じゃあ私は味見係だね!」
「え?」
「責任重大だから」
「それ責任放棄では」
夏紀のツッコミを無視して、鍋が完成するのを待つ。
    コトコト
「……できました」
佳世が恐る恐る器を差し出す。
「いただきます」
一口。
「……」
全員、固唾を呑む。
「……うん」
「うん!?」
『……ど、どうですか』
「人参が自己主張強めだが、スープとしては合格」
「合格なんだ」
「なんたって私とスペルは神の舌だからね!」
「絶対嘘」
佳世は数秒固まって——
『……やった』
小さくガッツポーズ。
弦音が拍手。
「初料理成功〜!」
晴馿は静かに一言。
「次は塩、もう少し減らせ」
『……はい』
「素直だね」
スペルは器を空にして、笑う。
「また作ってみようか」
スペルはそう口を挟む
『……はい!』
この家は今日も騒がしい。
でも、うるさいだけじゃない。
「……ただいまって言うと、忙しいな」
そう呟くと、
「それ、褒め言葉だよ」
夏紀が笑った。
——帰る場所は、案外うるさい方がいい。

作者メッセージ

こういう日常会も投稿していこうと思います!ϵ( 'Θ' )϶

2026/02/05 17:07

徒花
ID:≫ 5.NCXqW.yLBqg
コメント

この小説につけられたタグ

創作長期ファンタジー天文

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