「演技をつかったものとかどうですか」
栞月の提案に愛依、もとい二子里は目を輝かせた。
「それいい!即興劇とかやりたい!」
「でも二人だと少し物足りなくないですか?」
と私が言うと、栞月さんはスマホを見ながら
「あ、ならちょうど良い人いますよ」
と、呟いてスマホにまた目を映した。
数分後──
「失礼しま〜す」
スタジオに入ってきたのは、首にヘッドホンを掛けた人だった。
ふわっとした茶髪ショートに黒パーカー。気だるげな雰囲気なのに、どこか目を引く。
「あ〜、初めまして、こもって言いま〜す」
神無月こも、人気急上昇中の声優だ。アニメ好きの愛依さんが以前ずっと語っていた人物でもある。
「えっ!?こもちゃん!?」
「おや、知ってくれてたんだ〜。嬉しいなぁ」
柔らかく笑う姿は、どこにでもいそうなお姉さん。だがマイク前に立った瞬間、その空気が変わった。
「じゃあ試しに、敵役お願いします」
スタッフがそう言うと、こもさんは軽く喉を鳴らした。敵役...
『……っはは、この程度か。今の時代のヒトも、大したものではないな。』
低く冷たい声がスタジオに響く。さっきまでの穏やかな人物と同一とは思えず、全員が息を呑んだ。
「うわ……鳥肌立った……」と愛依さん。
「すご……」栞月さんまで真顔になる。
しかし次の瞬間。
『大変ですっ、〇〇さんっ! 今、やばい事件が起こってます……!!』
今度は明るく慌てた少女の声。さらに、
『ぼ、僕は……別に、何でも……えぇっ!? ごめんなさいぃ……!』
気弱な少年役まで完璧に演じ切った。
「同じ人!?」
思わず私も声を上げる。こもさんは照れたように笑った。
「いや〜、声変えるの好きなんですよねぇ。ゲームのボイス真似とか昔からやってたので〜」
「大型企画、決まりじゃないですか?」
栞月さんがそう言うと、愛依さんは勢いよく立ち上がった。
「演技、音楽、声劇全部混ぜよう!」
「え、また無茶言ってません?」
「マネちゃん、頑張って!」
そう言って笑う二子里さんの横で、こもさんが小さく手を挙げる。
「……あの〜、スケジュールだけは優しくお願いしますねぇ?」
その場に笑いが広がる。
だが私は知っている。この三人が揃った時点で、
[太字]普通の企画[/太字]では終わらないことを。
栞月の提案に愛依、もとい二子里は目を輝かせた。
「それいい!即興劇とかやりたい!」
「でも二人だと少し物足りなくないですか?」
と私が言うと、栞月さんはスマホを見ながら
「あ、ならちょうど良い人いますよ」
と、呟いてスマホにまた目を映した。
数分後──
「失礼しま〜す」
スタジオに入ってきたのは、首にヘッドホンを掛けた人だった。
ふわっとした茶髪ショートに黒パーカー。気だるげな雰囲気なのに、どこか目を引く。
「あ〜、初めまして、こもって言いま〜す」
神無月こも、人気急上昇中の声優だ。アニメ好きの愛依さんが以前ずっと語っていた人物でもある。
「えっ!?こもちゃん!?」
「おや、知ってくれてたんだ〜。嬉しいなぁ」
柔らかく笑う姿は、どこにでもいそうなお姉さん。だがマイク前に立った瞬間、その空気が変わった。
「じゃあ試しに、敵役お願いします」
スタッフがそう言うと、こもさんは軽く喉を鳴らした。敵役...
『……っはは、この程度か。今の時代のヒトも、大したものではないな。』
低く冷たい声がスタジオに響く。さっきまでの穏やかな人物と同一とは思えず、全員が息を呑んだ。
「うわ……鳥肌立った……」と愛依さん。
「すご……」栞月さんまで真顔になる。
しかし次の瞬間。
『大変ですっ、〇〇さんっ! 今、やばい事件が起こってます……!!』
今度は明るく慌てた少女の声。さらに、
『ぼ、僕は……別に、何でも……えぇっ!? ごめんなさいぃ……!』
気弱な少年役まで完璧に演じ切った。
「同じ人!?」
思わず私も声を上げる。こもさんは照れたように笑った。
「いや〜、声変えるの好きなんですよねぇ。ゲームのボイス真似とか昔からやってたので〜」
「大型企画、決まりじゃないですか?」
栞月さんがそう言うと、愛依さんは勢いよく立ち上がった。
「演技、音楽、声劇全部混ぜよう!」
「え、また無茶言ってません?」
「マネちゃん、頑張って!」
そう言って笑う二子里さんの横で、こもさんが小さく手を挙げる。
「……あの〜、スケジュールだけは優しくお願いしますねぇ?」
その場に笑いが広がる。
だが私は知っている。この三人が揃った時点で、
[太字]普通の企画[/太字]では終わらないことを。