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わぁ
舞台で踊る人形達
「いい?シベラ」
顔に涙のペイントをした彼女…リベルが、ワタシに問いかける。
「うん、もちろん」
ほんの少し不安を残しながら、ワタシは頷いた。
ワタシ…シベラ・ロックと、彼女…リベル・ルックはコンビのピエロだった。二人で面白おかしく、この移動劇場を盛り上げてきた。
ワタシ達二人が働く、ルヴィー・サーカスは、世界を股にかける移動サーカス団だ。各地の人に笑いと感動を届け、人々を笑顔にしてきた。
今日は、そんなワタシ達のさいごのショー。そろそろ、座長以外の入れ替えの時期だ。
ワタシとリベルは十三期生。次のルヴィー・サーカスは、十四期生がなんとかしてくれる。ワタシ達は、もうお役御免だ。
こういった、期生さいごのサーカスのショーは盛り上がるから、いろんな人がやってくる。流石に全員は見られないから、時間ごとにショーを分けてやるのだが…とりわけ、夜時間のショーは人気がある。十二期生も、十一期生も、それより前の期生達のショーも、どれも夜時間の予約が殺到していた。なぜって、夜時間が一番盛り上がるから。
そう、文字通り、期生最期のショーなのだ。
ワタシ達は、役目を終えた劇団員は、最期のショーを死で飾る。
文字通り、最期。文字通り、フィナーレ。このサーカスは、劇団員を殺すようなショーを行ってきた。
なぜ、こんな普通のサーカス団が世界から人気を博しているのか。その地位を、不動のものにしているのか。憧れていた時はなんの疑問にも思わなかった。でも、入団した後、その実態を知ることになった。
「わぁ…っ!」
ワタシがルヴィー・サーカスを見たのは、まだ幼い頃だった。母に連れられてみたサーカス。そこだけが、まるで世界から剥離したようで。煌めくその場所が、まるで天国のように見えた。
「すごいっ、すごいなぁ…!」
タネも仕掛けもわからないマジック。無謀に見える空中ブランコ。消える人体。全てが、ワタシの目を惹きつけた。
そこから、ワタシはルヴィー・サーカスに入るために必死に努力したんだ。ワタシを笑顔にしてくれたように、ワタシも誰かを笑顔にしたい。そんな夢を掲げながら。
「やった!やったぁ!!」
努力の末、ワタシは無事ルヴィー・サーカスに入団することができた。合格通知が来たときは、全力で飛び跳ねたものだ。
__後から、それは地獄への片道切符だったことを知る。
「__じゃあ、シベラ。キミは今日からクラウンだ。その命尽きる時まで、[漢字]ピエロ[/漢字][ふりがな]愚者[/ふりがな]でいてくれよ」
座長から告げられた死の宣告。
「……え、?」
その日から、地獄が始まった。
見ている時はなんとも思わなかった一つ一つのショーが、やってみると地獄でしかなかった。とても過激で、失敗したら大怪我どころじゃ済まなそうなものばかり。何人もの仲間が、練習で生き絶えていくのを見た。次のショーで死ぬかも、そんな不安を抱えながら、ワタシとリベルは踊り続けてきた。まるで、ネジを巻けば動く人形のように。
唯一の救いは、一緒にクラウンとなったリベルの存在だった。ワタシ達二人は、死の恐怖に怯えながら、笑顔を貼り付け踊っていたのだ。
でも、形ある物はいつか壊れる。人形も人間も同じだ。
今日は、ワタシとリベルがのいる十三期生の[漢字]最期のショー[/漢字][ふりがな]ラストショー[/ふりがな]。皆、恐怖で引き攣った笑みを浮かべながら、月明かりのライトに照らされにいく。
舞台袖から出た先に見えるは、観客の笑顔。これからヒトが死ぬのに、その顔は期待と興奮に満ちていて。大好きだった人の笑顔が、今は“不気味だ“としか感じられなかった。
「さァさァ、少年少女、紳士淑女の皆様!今宵は十三期生のラストショー!ぜひ楽しんでいってください!」
座長の明るい声が響く。その声に、人々は魅せられる。
「彼らの最期を、どうか笑顔で!」
ワタシ達は、舞台上で踊る人形。たとえその舞台が、断頭台だったとしても、上がらなくてはいけない。
『ミナサマ、今宵のショー、楽しんでいってくださいネ!』
ワタシとリベルの声が、重なった。
顔に涙のペイントをした彼女…リベルが、ワタシに問いかける。
「うん、もちろん」
ほんの少し不安を残しながら、ワタシは頷いた。
ワタシ…シベラ・ロックと、彼女…リベル・ルックはコンビのピエロだった。二人で面白おかしく、この移動劇場を盛り上げてきた。
ワタシ達二人が働く、ルヴィー・サーカスは、世界を股にかける移動サーカス団だ。各地の人に笑いと感動を届け、人々を笑顔にしてきた。
今日は、そんなワタシ達のさいごのショー。そろそろ、座長以外の入れ替えの時期だ。
ワタシとリベルは十三期生。次のルヴィー・サーカスは、十四期生がなんとかしてくれる。ワタシ達は、もうお役御免だ。
こういった、期生さいごのサーカスのショーは盛り上がるから、いろんな人がやってくる。流石に全員は見られないから、時間ごとにショーを分けてやるのだが…とりわけ、夜時間のショーは人気がある。十二期生も、十一期生も、それより前の期生達のショーも、どれも夜時間の予約が殺到していた。なぜって、夜時間が一番盛り上がるから。
そう、文字通り、期生最期のショーなのだ。
ワタシ達は、役目を終えた劇団員は、最期のショーを死で飾る。
文字通り、最期。文字通り、フィナーレ。このサーカスは、劇団員を殺すようなショーを行ってきた。
なぜ、こんな普通のサーカス団が世界から人気を博しているのか。その地位を、不動のものにしているのか。憧れていた時はなんの疑問にも思わなかった。でも、入団した後、その実態を知ることになった。
「わぁ…っ!」
ワタシがルヴィー・サーカスを見たのは、まだ幼い頃だった。母に連れられてみたサーカス。そこだけが、まるで世界から剥離したようで。煌めくその場所が、まるで天国のように見えた。
「すごいっ、すごいなぁ…!」
タネも仕掛けもわからないマジック。無謀に見える空中ブランコ。消える人体。全てが、ワタシの目を惹きつけた。
そこから、ワタシはルヴィー・サーカスに入るために必死に努力したんだ。ワタシを笑顔にしてくれたように、ワタシも誰かを笑顔にしたい。そんな夢を掲げながら。
「やった!やったぁ!!」
努力の末、ワタシは無事ルヴィー・サーカスに入団することができた。合格通知が来たときは、全力で飛び跳ねたものだ。
__後から、それは地獄への片道切符だったことを知る。
「__じゃあ、シベラ。キミは今日からクラウンだ。その命尽きる時まで、[漢字]ピエロ[/漢字][ふりがな]愚者[/ふりがな]でいてくれよ」
座長から告げられた死の宣告。
「……え、?」
その日から、地獄が始まった。
見ている時はなんとも思わなかった一つ一つのショーが、やってみると地獄でしかなかった。とても過激で、失敗したら大怪我どころじゃ済まなそうなものばかり。何人もの仲間が、練習で生き絶えていくのを見た。次のショーで死ぬかも、そんな不安を抱えながら、ワタシとリベルは踊り続けてきた。まるで、ネジを巻けば動く人形のように。
唯一の救いは、一緒にクラウンとなったリベルの存在だった。ワタシ達二人は、死の恐怖に怯えながら、笑顔を貼り付け踊っていたのだ。
でも、形ある物はいつか壊れる。人形も人間も同じだ。
今日は、ワタシとリベルがのいる十三期生の[漢字]最期のショー[/漢字][ふりがな]ラストショー[/ふりがな]。皆、恐怖で引き攣った笑みを浮かべながら、月明かりのライトに照らされにいく。
舞台袖から出た先に見えるは、観客の笑顔。これからヒトが死ぬのに、その顔は期待と興奮に満ちていて。大好きだった人の笑顔が、今は“不気味だ“としか感じられなかった。
「さァさァ、少年少女、紳士淑女の皆様!今宵は十三期生のラストショー!ぜひ楽しんでいってください!」
座長の明るい声が響く。その声に、人々は魅せられる。
「彼らの最期を、どうか笑顔で!」
ワタシ達は、舞台上で踊る人形。たとえその舞台が、断頭台だったとしても、上がらなくてはいけない。
『ミナサマ、今宵のショー、楽しんでいってくださいネ!』
ワタシとリベルの声が、重なった。
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