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アテアベ最高!
ちなみにもう一つは苺味だった。
「はーいアテネ!ハッピーバレンタイン!」
にこにこ笑顔でリボンに巻かれた小包を渡してくるこの青年はアベル。私の同居人で、恋人だ。
「アンタ…相変わらずそういうイベント好きよね」
アベルの手作りチョコににっこにこな心のうちは明かさず、あくまで平静を装い私は小包を受け取る。
「えへへ〜俺お菓子作り好きだしさ。アテネに食べて欲しいんだぁ!」
なんだこの天使は。私が養う。あ、一緒に暮らしてるんだった。
「そ、まぁありがたくいただくわ」
よっしゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!もう今ならどんな辛いことでも耐えられる!だって!!アベルの!!!手作りスイーツ!!!!
いや『どんな』は無理だなアベルと別れるとか無理無理無理無理。
「…?どうしたのアテネ?」
突然黙った(脳内は大絶叫していたが)私を不審がったのか、アベルは首をこてんとかしげて聞いてきた。
「なっ、なんデもなイよッッ!?」
唐突な可愛いの暴力。思わず声が裏返ってしまった。
「めっちゃ声裏返ってるけど…だいじょぶ?熱ある?」
瞬間、アベルの綺麗な顔が私の眼前に近づいた。
「〜〜!?!?」
ぴとり、とアベルの額が私の額にくっつく。少し温度の高いそれが原因か、それとも別の何かか、私の顔には熱が集まっていく。
「ちょっと、アベル!?」
「へ、ちょ、アテネほんと大丈夫!?顔真っ赤だよ!?」
アンタが原因だよ!!!と言いたくなったが、流石に押し黙る。今までクールキャラでやってきたのに、今更アベルに内心デレデレとか恥ずか死ぬ。
「大丈夫よ……」
いや心拍数は(アベルの可愛さによって)爆上がりだけれども。これ以上心配をさせないためにも、私は話題を変えた。
「で……このツツミの中には何が入ってるの?」
「えへ、聞いちゃいますぅ〜?」
口に手をあて、嬉しそうにアベルはにまにまと笑った。細められた目が、本当に楽しそうで、いやそれよりも色っぽくて、私はキュンとする。
「はいはい…何が入ってるのよ?」
だがしかし、私はそんな気持ちをおくびにも出さず、あくまで『やれやれ』と言うふうにアベルに再度問う。
「んもぉツれないなぁ」
残念そうな表情を作ったかと思うと一転、アベルは花の咲いたような笑顔で言った。
「その中には、チョコロンが入ってるよ!」
「え……?は、ちょこ…なんて??」
聞きなれない言葉だ。いや初めて聞いた。やっぱりお菓子方面の知識だとアベルに負けてしまうな、とか考えながら、私はアベルきいた。
「チョコロン!マカロンをチョコで包んだお菓子だよ!」
初めて作ったんだけど結構上手くできたから美味しいと思う!と、アベルはにこやかに笑う。
「開けてみて」
アベルに言われるがまま、私は可愛らしくラッピングされたそれをあける。中に入ってるのは、ミルクチョコとホワイトチョコに包まれた丸くて小さな物体。おそらく、チョコロンと呼ばれたもの。
「へぇ…これが」
ミルクチョコの方をすっと摘むと、甘いチョコに匂いが鼻腔に届いた。
「食べて!」
「うん」
ワクワク、といったふうなアベルの顔を横目に、私はそのチョコロンを一口食べた。
「ん!!」
美味しい。ミルクチョコだとは思うが、甘さは控えめだ。でもそれが良くて、マカロンの甘さが際立っている。そしてこの味は…
「抹茶?」
「そう、抹茶味だよ!」
食べた後を見ると、緑色の断面。やっぱり抹茶味か。
「おいしー?」
きらきらとした瞳で問いかけるアベルに、私は正直に答えた。
「とっても!」
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