閲覧前に必ずご確認ください
ちょい暴力表現あります。
「えと…これは?」
ボクの目の前には、『こうげき』、『こうどう』、『アイテム』、『にげる』と表示された欄がある。
「これはコマンド。これを選択して、行動するんだ」
ネロの説明を聞き、ボクはそっと『たたかう』コマンドを押した。
ピッと音がなって、『リーフラヴィット』(あのモンスターの名前だろう)という文字と、緑色のバーが表示される。
「その緑のは…体力、HPだよ」
「え、えいちぴー?」
「ヒットポイントの略」
なるほど…
「で、その名前を選択して」
言われるがまま、『リーフラヴィット』を選択する。すると、ザシュッと音が鳴って、相手の近くに数字が表示された。
「20…?」
「それはダメージ数。後一回で殺せるよ」
また『たたかう』を選択してみると、体力が三分の一ほどになっているのがわかった。
「今は魔法が使えないから何もないけど…Lvを上げれば『たたかう』を選択した後に、物理か魔法か選べるようになるよ」
魔法…!それは子供の夢っ‼︎
ボクが目をキラキラさせていたら、ネロが怒った。
「ほら!敵のターンが来るよ!」
ネロがそう言ったと同時に、敵の攻撃が来た。
「!?」
たくさんの葉っぱがボクを囲っている。
円形に広がっている葉が、現れた順に飛んできた。
「わわわッ!」
まだ囲っている葉に気をつけながら、飛んでくる葉を避ける。
最後の一枚を避け終わったら、相手のターンは終了した。
「はぁ…はぁ…っ」
息が上がっている。すっごく疲れた。当たることはなかったが…あの鋭い葉が当たったらと思うとゾッとする。
「ほらほら、休んでる場合じゃないよ」
この鬼畜妖精がッ‼︎
と言いたいところだが、余計疲れるのでやめておく。
「ほら、『たたかう』を選択して」
『たたかう』
ザシュッ‼︎
肉を切り裂く音がして、モンスターは灰になった。
「おめでとう!」
ネロはケラケラ笑っているが、ボクはそれどころじゃない。
なんだろう、この高揚感は、この興奮は。
『you Win! 10の経験値と20ゴールドを獲得! Lvが上がった!』
そんな合成音声が聞こえた。
それからボクはLvをあげるためにどんどんモンスターを殺した。何度も被弾したが、ネロに教えてもらったそこらへんに生えている『薬草』を使って回復した。
Lvをあげるのって、強くなるのって楽しい。どんどん強い敵に会えるのが嬉しい!
確かに死ぬこともあった。でも、ネロの忠告通りこまめにセーブしてたから大丈夫だった。あーでも、時を巻き戻した時Lvが元に戻っちゃうのは残念だ。
「セナ、嫌な気配がする」
ネロの声が聞こえて、軽快に草を踏んでいたボクの足は止まった。
「ボス?」
「多分」
ネロはいつになく真剣だ。
「別にだいじょーぶだよ」
今のLvは10。負ける気がしない。
というか嬉しい。そこらのモンスターはボクにとってもう雑魚同然。ちょうど強い敵と戦いたいと思っていたところだ。
「…油断は危険だよ」
「だいじょぶだよ。セーブするし」
そう、この時ボクは油断していた。
強いと言っても、2、3回やれば倒せるだろうと、たかを括っていたのだ。
そんなに簡単なわけがないのに。
「ッ!」
また死んだ。これで34回目だ。
敵の名前はシードキング。
木の形をしているモンスターだ。
もう一戦、とボクはロードする。いい加減に死んで欲しいものだ。
「セナ、焦ってもいいことないよ」
「…わかってるよネロ」
そう言ってボクはナイフを握り直した。
「お前はなぜモンスターを殺す?」
聞き飽きたよ。そのセリフ。
でも、ここで別のアクションをしたらどうなるんだろう。
「Lvをあげるため、だよ」
「なぜだ?」
…リアクションあり。
低く唸るように木々の葉が揺れた。
「魔王を倒すために、力が必要なんだ」
「魔王様は…」
キングが何か言った気がするけど…ちゃんと聞けばよかったな。
「いや、なんでもない」
「早く始めよう」
「そのつもりだよ」
暗い森の中、ナイフが鈍く光った。
あたり一面葉、葉、葉。たまにツル。
飛んでくる葉や、四方八方から伸びるツル。それらをいくつかかすりながら避け続ける。
何が難しいかって、予告のない薔薇の花だ。
ツルの出所と反対側からたまに出る薔薇。案外攻撃力が高いのだが、なにぶんそこまで意識が回らない。
それで20回は死んだ。
『たたかう』
『たたかう』
『たたかう』
『たたかう』
『アイテム』
『たたかう』
『たたかう』
『たたかう』
『アイテム』
『たたかう』
『アイテム』
『たたかう』
Lvが上がって、攻撃力も最初の頃とは段違いのはずなのに。シードキングは一向に死なない。
「ッう‼︎」
腕に、足に、顔に攻撃が当たる。痛い。
やっと四分の一まで削った。でももう回復アイテムはない。
回復魔法は使えないし…どうしたら、勝ち目はあるのか。
自分のターンだからとうだうだ考えていたら、今まで黙っていたネロが口を開いた。
「キミは魔法を覚えたでしょ?」
そうだ。Lvをあげるうちに、攻撃魔法をいくつか覚えたんだ。
でも聞くかわからないし、焦りすぎて頭から抜け落ちていた。
「本当は教えないつもりだったんだけど…キミがあんまりにもカワイソウだから教えたげるよ!」
呆れ顔で笑うネロは、やはり勇者の導き手なんだと思った。
「アイツには、『炎』の魔法が効くはずだ。なんてったって『木』だからね」
確かに。
元になっている物に聞くことをすればいいのか。
「よしッ!」
ボクは迷わず『たたかう』を選ぶ。そして『マホウ』を選択した。
「フレイア!」
「なッ!」
ボクの殺意と執念が、業火となってモンスターを燃やす。
「あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“ッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
耳をつんざくような断末魔をあげて、シードキングは灰になった。
「かった…の………?」
ティロン、
軽快な電子音。Lvの上がる音だ。
だがボクは何もできずに、膝から崩れ落ちた。
「かっ…たぁ…よかったぁぁ…!」
安心したら涙が出てきた。
「ホンッットよかったよ」
「ネロは見てただけじゃん」
手伝ってくれたってよかったのに、と悪態をつけば、ネロは少し怒ったような顔をした。
「はぁぁ⁉︎ジューブン手伝ったげたでしょ⁉︎ぼくの助言がなかったらキミ勝てなかったよね⁉︎」
「うぐッ」
痛いところを突かれた。
「か、勝てたけど…??」
「ウソだね」
勝ち誇ったような顔をするネロ。うーーームカつく!
「ウソじゃないもーん!!」
「いーや!ウソだね‼︎」
言い合ってる間、ボクは頭の中では別のことを考えていた。
そういえば、ボクと勇者様が出会った時も、木のモンスターだったな、と。
勇者様が使っていたのも、火の魔法だったな、と。
「因果かなぁ…」
「はぇ?」
ケンカの最中、ボクが突拍子もないことを言う物だから、ネロは間抜けな声を出した。
「いや…勇者様のこと思い出してたんだ」
「あぁ…シエルのこと?」
「うん。ボクはちょっとLvを上げただけで調子に乗っちゃったけど…あの頃70Lv超えてたでしょ?なのに調子に乗らず、謙虚でいた勇者様ってすごいなって」
魔王城に行く前なんだ。70と言わず80、90Lvくらいあったかもしれない。
「んーシエルは…」
急に黙ったネロ。どうしたの、と聞いてみたが、なんでもないとはぐらかされてしまった。
「__で、キミもこれに懲りたら2度と調子になんて乗らないように!」
「はい…」
数秒経った後、ボクは座ったまま、ネロは浮いたまま吹き出した。
ボクの目の前には、『こうげき』、『こうどう』、『アイテム』、『にげる』と表示された欄がある。
「これはコマンド。これを選択して、行動するんだ」
ネロの説明を聞き、ボクはそっと『たたかう』コマンドを押した。
ピッと音がなって、『リーフラヴィット』(あのモンスターの名前だろう)という文字と、緑色のバーが表示される。
「その緑のは…体力、HPだよ」
「え、えいちぴー?」
「ヒットポイントの略」
なるほど…
「で、その名前を選択して」
言われるがまま、『リーフラヴィット』を選択する。すると、ザシュッと音が鳴って、相手の近くに数字が表示された。
「20…?」
「それはダメージ数。後一回で殺せるよ」
また『たたかう』を選択してみると、体力が三分の一ほどになっているのがわかった。
「今は魔法が使えないから何もないけど…Lvを上げれば『たたかう』を選択した後に、物理か魔法か選べるようになるよ」
魔法…!それは子供の夢っ‼︎
ボクが目をキラキラさせていたら、ネロが怒った。
「ほら!敵のターンが来るよ!」
ネロがそう言ったと同時に、敵の攻撃が来た。
「!?」
たくさんの葉っぱがボクを囲っている。
円形に広がっている葉が、現れた順に飛んできた。
「わわわッ!」
まだ囲っている葉に気をつけながら、飛んでくる葉を避ける。
最後の一枚を避け終わったら、相手のターンは終了した。
「はぁ…はぁ…っ」
息が上がっている。すっごく疲れた。当たることはなかったが…あの鋭い葉が当たったらと思うとゾッとする。
「ほらほら、休んでる場合じゃないよ」
この鬼畜妖精がッ‼︎
と言いたいところだが、余計疲れるのでやめておく。
「ほら、『たたかう』を選択して」
『たたかう』
ザシュッ‼︎
肉を切り裂く音がして、モンスターは灰になった。
「おめでとう!」
ネロはケラケラ笑っているが、ボクはそれどころじゃない。
なんだろう、この高揚感は、この興奮は。
『you Win! 10の経験値と20ゴールドを獲得! Lvが上がった!』
そんな合成音声が聞こえた。
それからボクはLvをあげるためにどんどんモンスターを殺した。何度も被弾したが、ネロに教えてもらったそこらへんに生えている『薬草』を使って回復した。
Lvをあげるのって、強くなるのって楽しい。どんどん強い敵に会えるのが嬉しい!
確かに死ぬこともあった。でも、ネロの忠告通りこまめにセーブしてたから大丈夫だった。あーでも、時を巻き戻した時Lvが元に戻っちゃうのは残念だ。
「セナ、嫌な気配がする」
ネロの声が聞こえて、軽快に草を踏んでいたボクの足は止まった。
「ボス?」
「多分」
ネロはいつになく真剣だ。
「別にだいじょーぶだよ」
今のLvは10。負ける気がしない。
というか嬉しい。そこらのモンスターはボクにとってもう雑魚同然。ちょうど強い敵と戦いたいと思っていたところだ。
「…油断は危険だよ」
「だいじょぶだよ。セーブするし」
そう、この時ボクは油断していた。
強いと言っても、2、3回やれば倒せるだろうと、たかを括っていたのだ。
そんなに簡単なわけがないのに。
「ッ!」
また死んだ。これで34回目だ。
敵の名前はシードキング。
木の形をしているモンスターだ。
もう一戦、とボクはロードする。いい加減に死んで欲しいものだ。
「セナ、焦ってもいいことないよ」
「…わかってるよネロ」
そう言ってボクはナイフを握り直した。
「お前はなぜモンスターを殺す?」
聞き飽きたよ。そのセリフ。
でも、ここで別のアクションをしたらどうなるんだろう。
「Lvをあげるため、だよ」
「なぜだ?」
…リアクションあり。
低く唸るように木々の葉が揺れた。
「魔王を倒すために、力が必要なんだ」
「魔王様は…」
キングが何か言った気がするけど…ちゃんと聞けばよかったな。
「いや、なんでもない」
「早く始めよう」
「そのつもりだよ」
暗い森の中、ナイフが鈍く光った。
あたり一面葉、葉、葉。たまにツル。
飛んでくる葉や、四方八方から伸びるツル。それらをいくつかかすりながら避け続ける。
何が難しいかって、予告のない薔薇の花だ。
ツルの出所と反対側からたまに出る薔薇。案外攻撃力が高いのだが、なにぶんそこまで意識が回らない。
それで20回は死んだ。
『たたかう』
『たたかう』
『たたかう』
『たたかう』
『アイテム』
『たたかう』
『たたかう』
『たたかう』
『アイテム』
『たたかう』
『アイテム』
『たたかう』
Lvが上がって、攻撃力も最初の頃とは段違いのはずなのに。シードキングは一向に死なない。
「ッう‼︎」
腕に、足に、顔に攻撃が当たる。痛い。
やっと四分の一まで削った。でももう回復アイテムはない。
回復魔法は使えないし…どうしたら、勝ち目はあるのか。
自分のターンだからとうだうだ考えていたら、今まで黙っていたネロが口を開いた。
「キミは魔法を覚えたでしょ?」
そうだ。Lvをあげるうちに、攻撃魔法をいくつか覚えたんだ。
でも聞くかわからないし、焦りすぎて頭から抜け落ちていた。
「本当は教えないつもりだったんだけど…キミがあんまりにもカワイソウだから教えたげるよ!」
呆れ顔で笑うネロは、やはり勇者の導き手なんだと思った。
「アイツには、『炎』の魔法が効くはずだ。なんてったって『木』だからね」
確かに。
元になっている物に聞くことをすればいいのか。
「よしッ!」
ボクは迷わず『たたかう』を選ぶ。そして『マホウ』を選択した。
「フレイア!」
「なッ!」
ボクの殺意と執念が、業火となってモンスターを燃やす。
「あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“ッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
耳をつんざくような断末魔をあげて、シードキングは灰になった。
「かった…の………?」
ティロン、
軽快な電子音。Lvの上がる音だ。
だがボクは何もできずに、膝から崩れ落ちた。
「かっ…たぁ…よかったぁぁ…!」
安心したら涙が出てきた。
「ホンッットよかったよ」
「ネロは見てただけじゃん」
手伝ってくれたってよかったのに、と悪態をつけば、ネロは少し怒ったような顔をした。
「はぁぁ⁉︎ジューブン手伝ったげたでしょ⁉︎ぼくの助言がなかったらキミ勝てなかったよね⁉︎」
「うぐッ」
痛いところを突かれた。
「か、勝てたけど…??」
「ウソだね」
勝ち誇ったような顔をするネロ。うーーームカつく!
「ウソじゃないもーん!!」
「いーや!ウソだね‼︎」
言い合ってる間、ボクは頭の中では別のことを考えていた。
そういえば、ボクと勇者様が出会った時も、木のモンスターだったな、と。
勇者様が使っていたのも、火の魔法だったな、と。
「因果かなぁ…」
「はぇ?」
ケンカの最中、ボクが突拍子もないことを言う物だから、ネロは間抜けな声を出した。
「いや…勇者様のこと思い出してたんだ」
「あぁ…シエルのこと?」
「うん。ボクはちょっとLvを上げただけで調子に乗っちゃったけど…あの頃70Lv超えてたでしょ?なのに調子に乗らず、謙虚でいた勇者様ってすごいなって」
魔王城に行く前なんだ。70と言わず80、90Lvくらいあったかもしれない。
「んーシエルは…」
急に黙ったネロ。どうしたの、と聞いてみたが、なんでもないとはぐらかされてしまった。
「__で、キミもこれに懲りたら2度と調子になんて乗らないように!」
「はい…」
数秒経った後、ボクは座ったまま、ネロは浮いたまま吹き出した。