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勇者が死んだ!

#10

第九話

「えと…これは?」
 ボクの目の前には、『こうげき』、『こうどう』、『アイテム』、『にげる』と表示された欄がある。
「これはコマンド。これを選択して、行動するんだ」
 ネロの説明を聞き、ボクはそっと『たたかう』コマンドを押した。
 ピッと音がなって、『リーフラヴィット』(あのモンスターの名前だろう)という文字と、緑色のバーが表示される。
「その緑のは…体力、HPだよ」
「え、えいちぴー?」
「ヒットポイントの略」
 なるほど…
「で、その名前を選択して」
 言われるがまま、『リーフラヴィット』を選択する。すると、ザシュッと音が鳴って、相手の近くに数字が表示された。
「20…?」
「それはダメージ数。後一回で殺せるよ」
 また『たたかう』を選択してみると、体力が三分の一ほどになっているのがわかった。
「今は魔法が使えないから何もないけど…Lvを上げれば『たたかう』を選択した後に、物理か魔法か選べるようになるよ」
 魔法…!それは子供の夢っ‼︎
 ボクが目をキラキラさせていたら、ネロが怒った。
「ほら!敵のターンが来るよ!」
 ネロがそう言ったと同時に、敵の攻撃が来た。
「!?」
 たくさんの葉っぱがボクを囲っている。
 円形に広がっている葉が、現れた順に飛んできた。
「わわわッ!」
 まだ囲っている葉に気をつけながら、飛んでくる葉を避ける。
 最後の一枚を避け終わったら、相手のターンは終了した。
「はぁ…はぁ…っ」
 息が上がっている。すっごく疲れた。当たることはなかったが…あの鋭い葉が当たったらと思うとゾッとする。
「ほらほら、休んでる場合じゃないよ」
 この鬼畜妖精がッ‼︎
 と言いたいところだが、余計疲れるのでやめておく。
「ほら、『たたかう』を選択して」

『たたかう』

 ザシュッ‼︎

 肉を切り裂く音がして、モンスターは灰になった。
「おめでとう!」
 ネロはケラケラ笑っているが、ボクはそれどころじゃない。
 なんだろう、この高揚感は、この興奮は。
『you Win! 10の経験値と20ゴールドを獲得! Lvが上がった!』
 そんな合成音声が聞こえた。


 それからボクはLvをあげるためにどんどんモンスターを殺した。何度も被弾したが、ネロに教えてもらったそこらへんに生えている『薬草』を使って回復した。
 Lvをあげるのって、強くなるのって楽しい。どんどん強い敵に会えるのが嬉しい!
 確かに死ぬこともあった。でも、ネロの忠告通りこまめにセーブしてたから大丈夫だった。あーでも、時を巻き戻した時Lvが元に戻っちゃうのは残念だ。
「セナ、嫌な気配がする」
 ネロの声が聞こえて、軽快に草を踏んでいたボクの足は止まった。
「ボス?」
「多分」
 ネロはいつになく真剣だ。
「別にだいじょーぶだよ」
 今のLvは10。負ける気がしない。
 というか嬉しい。そこらのモンスターはボクにとってもう雑魚同然。ちょうど強い敵と戦いたいと思っていたところだ。
「…油断は危険だよ」
「だいじょぶだよ。セーブするし」
 そう、この時ボクは油断していた。
 強いと言っても、2、3回やれば倒せるだろうと、たかを括っていたのだ。


 そんなに簡単なわけがないのに。


「ッ!」
 また死んだ。これで34回目だ。
 
 敵の名前はシードキング。
 木の形をしているモンスターだ。
 もう一戦、とボクはロードする。いい加減に死んで欲しいものだ。
「セナ、焦ってもいいことないよ」
「…わかってるよネロ」
 そう言ってボクはナイフを握り直した。

「お前はなぜモンスターを殺す?」
 聞き飽きたよ。そのセリフ。
 でも、ここで別のアクションをしたらどうなるんだろう。
「Lvをあげるため、だよ」
「なぜだ?」
 …リアクションあり。
 低く唸るように木々の葉が揺れた。
「魔王を倒すために、力が必要なんだ」
「魔王様は…」
 キングが何か言った気がするけど…ちゃんと聞けばよかったな。
「いや、なんでもない」
「早く始めよう」
「そのつもりだよ」
 暗い森の中、ナイフが鈍く光った。

 あたり一面葉、葉、葉。たまにツル。
 飛んでくる葉や、四方八方から伸びるツル。それらをいくつかかすりながら避け続ける。
 何が難しいかって、予告のない薔薇の花だ。
 ツルの出所と反対側からたまに出る薔薇。案外攻撃力が高いのだが、なにぶんそこまで意識が回らない。
 それで20回は死んだ。

『たたかう』

『たたかう』

『たたかう』

『たたかう』

『アイテム』

『たたかう』

『たたかう』

『たたかう』

『アイテム』

『たたかう』

『アイテム』

『たたかう』

 Lvが上がって、攻撃力も最初の頃とは段違いのはずなのに。シードキングは一向に死なない。
「ッう‼︎」
 腕に、足に、顔に攻撃が当たる。痛い。
 やっと四分の一まで削った。でももう回復アイテムはない。
 回復魔法は使えないし…どうしたら、勝ち目はあるのか。
 自分のターンだからとうだうだ考えていたら、今まで黙っていたネロが口を開いた。
「キミは魔法を覚えたでしょ?」
 そうだ。Lvをあげるうちに、攻撃魔法をいくつか覚えたんだ。
 でも聞くかわからないし、焦りすぎて頭から抜け落ちていた。
「本当は教えないつもりだったんだけど…キミがあんまりにもカワイソウだから教えたげるよ!」
 呆れ顔で笑うネロは、やはり勇者の導き手なんだと思った。

「アイツには、『炎』の魔法が効くはずだ。なんてったって『木』だからね」
 確かに。
 元になっている物に聞くことをすればいいのか。
「よしッ!」
 ボクは迷わず『たたかう』を選ぶ。そして『マホウ』を選択した。
「フレイア!」
「なッ!」
 ボクの殺意と執念が、業火となってモンスターを燃やす。
「あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“あ“ッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!」
 耳をつんざくような断末魔をあげて、シードキングは灰になった。
「かった…の………?」
 ティロン、
 軽快な電子音。Lvの上がる音だ。
 だがボクは何もできずに、膝から崩れ落ちた。
「かっ…たぁ…よかったぁぁ…!」
 安心したら涙が出てきた。
「ホンッットよかったよ」
「ネロは見てただけじゃん」
 手伝ってくれたってよかったのに、と悪態をつけば、ネロは少し怒ったような顔をした。
「はぁぁ⁉︎ジューブン手伝ったげたでしょ⁉︎ぼくの助言がなかったらキミ勝てなかったよね⁉︎」
「うぐッ」
 痛いところを突かれた。
「か、勝てたけど…??」
「ウソだね」
 勝ち誇ったような顔をするネロ。うーーームカつく!
「ウソじゃないもーん!!」
「いーや!ウソだね‼︎」
 言い合ってる間、ボクは頭の中では別のことを考えていた。
 そういえば、ボクと勇者様が出会った時も、木のモンスターだったな、と。
 勇者様が使っていたのも、火の魔法だったな、と。
「因果かなぁ…」
「はぇ?」
 ケンカの最中、ボクが突拍子もないことを言う物だから、ネロは間抜けな声を出した。
「いや…勇者様のこと思い出してたんだ」
「あぁ…シエルのこと?」
「うん。ボクはちょっとLvを上げただけで調子に乗っちゃったけど…あの頃70Lv超えてたでしょ?なのに調子に乗らず、謙虚でいた勇者様ってすごいなって」
 魔王城に行く前なんだ。70と言わず80、90Lvくらいあったかもしれない。
「んーシエルは…」
 急に黙ったネロ。どうしたの、と聞いてみたが、なんでもないとはぐらかされてしまった。
「__で、キミもこれに懲りたら2度と調子になんて乗らないように!」
「はい…」
 数秒経った後、ボクは座ったまま、ネロは浮いたまま吹き出した。

作者メッセージ

 なッッッッげ!!!!シリーズ最長だろこれ……
 あ、毎度お馴染みマイクラです。
 唐突ですがまたぼく参加型をやろうか迷っていましてね……
 はいはいわかりますよ。ゆうぱは??え、まほろり完結してないよね??



 そうですよ!!!完結してませんよ!
 でも参加型って完結してるのみたことないような……ま!くりいむさんとかなら完結させてくれますね!!(風評被害)
 唇切ってちょー痛いです。(´・ω・`)
 で、新しい参加型なんですけど…戦争をモチーフにしようかなって。最近授業でやり始めたんですよ。
 あ、後ボクこれから冬休み入るので更新頻度上がると思います。
 じゃ  また次回、生きてたら。

2025/01/16 16:22

マイクラ大好き
ID:≫ 1i/SHtijT00Ts
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