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特にないよ!
ゆうしゃのいないせかい
「行くのか?」
じっちゃんにそう聞かれたが、迷うわけにはいかない。
「うん。ぼくは行かなきゃなんだ。ぼくがあんなバケモノを生んじゃったんだから。ケジメはつけなきゃ」
じっちゃんは頭の上に疑問符を浮かべている。知らない方が身のためだ。
「いってくるね」
ぼくがそう告げると、じっちゃんは大きな声を出して引き留めた。体が悪いのに、大丈夫だろうか。
「お前はすぐ死ぬだろうからな。これをくれてやる。」
そう言って渡されたのは、家の家宝。不死の石だ。
「これっ!父さんと母さんの形見の…!」
「お前は弱い。まだたったの13だ。弱くて弱虫なお前のことだ。どうせモンスターを殺せずポックリ死ぬだろう」
「せっかくこれがあるのに渡さず見殺しにしたなんて後味が悪いからな」
なーんて誤魔化すじっちゃん。ほんと素直じゃないんだから。
「ありがたく受け取るよ」
ほのかに紅く光る石を握りしめ、ぼくは決意した。
三年前、ぼくが生み出してしまったバケモノを、あのバカを殺す決意を。
それから十年。最初はモンスターを殺せず、攻撃もろくに避けれず死んでばっかだったな。今もモンスターを殺せないけど。
ああでも、攻撃を避けるのと、傷の手当は上手くなったんだよ?
本当に、そんなことばっかうまくなっちゃったんだ。
「魔王…強いだろうな」
スライムすら倒せない。こんなぼくが魔王を殺せるのかな。
「不安…だな」
気がつけば筆を持って、ハガキに不安を綴っていた。
「『一般勇者[Lv.1]。
敵を倒すことができません。
倒そうと思っていても、どうしても逃がしてしまいます。
スライムにさえあざ笑われている始末です。
家族や親族には「1匹くらい倒せ。」と言われています。
友人には「お前は優しすぎる。」と言われます。
勇者である手前、敵を倒さないといけないのでしょうか。
そうなら、どうすれば敵を倒せるようになりますか。』っと…」
「別に、そこらのモンスターは倒したいわけじゃないけど…こっちの方が興味を持ってくれる人いるよね」
「ああ〜…強い仲間がいたら魔王を殺せるのかな」
嫌になって上を見上げると、憎らしいほどの満点の星空がぼくを嘲笑うように見下ろしていた。
「ほんっと…なにやってんだろ」
十年旅を続けてるのに、まだLv1。
何もかも憎らしくて、八つ当たりのようにもらった手紙を握りしめた。
くしゃっと紙が潰れる音がした。
「勇者はいないのにね」
勇者が悪を倒すものなら、悪を倒そうとしないぼくはなんなんだろうか。
「何者でもないのかな」
そっちの方がいいかもなぁ
なぁんて考えながら、もう読む気になれない手紙を焚き火の中に放った。
「でもぼくは勇者になっちゃったからさ」
「[漢字]これ[/漢字][ふりがな]名前[/ふりがな]はもういらないよ」
業火の中で、名前が、[打消し]セイラ[/打消し]が爆ぜた。
これは、バカな勇者がおかしな仲間と会って魔王を殺すために立ち上がる、そんな馬鹿げたお話の前日譚。
「もう、バカでいるしか、自分を保っていられないんだ」
__だって、この世界を滅ぼす元凶を作ったのはぼくなんだから。__
じっちゃんにそう聞かれたが、迷うわけにはいかない。
「うん。ぼくは行かなきゃなんだ。ぼくがあんなバケモノを生んじゃったんだから。ケジメはつけなきゃ」
じっちゃんは頭の上に疑問符を浮かべている。知らない方が身のためだ。
「いってくるね」
ぼくがそう告げると、じっちゃんは大きな声を出して引き留めた。体が悪いのに、大丈夫だろうか。
「お前はすぐ死ぬだろうからな。これをくれてやる。」
そう言って渡されたのは、家の家宝。不死の石だ。
「これっ!父さんと母さんの形見の…!」
「お前は弱い。まだたったの13だ。弱くて弱虫なお前のことだ。どうせモンスターを殺せずポックリ死ぬだろう」
「せっかくこれがあるのに渡さず見殺しにしたなんて後味が悪いからな」
なーんて誤魔化すじっちゃん。ほんと素直じゃないんだから。
「ありがたく受け取るよ」
ほのかに紅く光る石を握りしめ、ぼくは決意した。
三年前、ぼくが生み出してしまったバケモノを、あのバカを殺す決意を。
それから十年。最初はモンスターを殺せず、攻撃もろくに避けれず死んでばっかだったな。今もモンスターを殺せないけど。
ああでも、攻撃を避けるのと、傷の手当は上手くなったんだよ?
本当に、そんなことばっかうまくなっちゃったんだ。
「魔王…強いだろうな」
スライムすら倒せない。こんなぼくが魔王を殺せるのかな。
「不安…だな」
気がつけば筆を持って、ハガキに不安を綴っていた。
「『一般勇者[Lv.1]。
敵を倒すことができません。
倒そうと思っていても、どうしても逃がしてしまいます。
スライムにさえあざ笑われている始末です。
家族や親族には「1匹くらい倒せ。」と言われています。
友人には「お前は優しすぎる。」と言われます。
勇者である手前、敵を倒さないといけないのでしょうか。
そうなら、どうすれば敵を倒せるようになりますか。』っと…」
「別に、そこらのモンスターは倒したいわけじゃないけど…こっちの方が興味を持ってくれる人いるよね」
「ああ〜…強い仲間がいたら魔王を殺せるのかな」
嫌になって上を見上げると、憎らしいほどの満点の星空がぼくを嘲笑うように見下ろしていた。
「ほんっと…なにやってんだろ」
十年旅を続けてるのに、まだLv1。
何もかも憎らしくて、八つ当たりのようにもらった手紙を握りしめた。
くしゃっと紙が潰れる音がした。
「勇者はいないのにね」
勇者が悪を倒すものなら、悪を倒そうとしないぼくはなんなんだろうか。
「何者でもないのかな」
そっちの方がいいかもなぁ
なぁんて考えながら、もう読む気になれない手紙を焚き火の中に放った。
「でもぼくは勇者になっちゃったからさ」
「[漢字]これ[/漢字][ふりがな]名前[/ふりがな]はもういらないよ」
業火の中で、名前が、[打消し]セイラ[/打消し]が爆ぜた。
これは、バカな勇者がおかしな仲間と会って魔王を殺すために立ち上がる、そんな馬鹿げたお話の前日譚。
「もう、バカでいるしか、自分を保っていられないんだ」
__だって、この世界を滅ぼす元凶を作ったのはぼくなんだから。__
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