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死ネタ、非公式カップリング等あります。地雷な方はお下がりくださいませ。
夢か現か幻か
「ボク星にナルンダ」
ソイツ…マホロアはそう言った。
「はぁ?」
ボクは、彼なりのジョークか、少し前にあった事件の話題かと思って、乗ってやることにした。
「星のマホロア〜ってか?」
「マァソウカモネ」
長年の付き合いだからわかる。わかってしまう。これは、ジョークじゃない。
そして、「星」に込められた意味にも。
「嘘だろ?虚言の魔術師」
でもボクは、最後まで信じない。コイツはたまに、ボクでもわからないような嘘をつく。
「ホントだヨォ」
あぁ…いつもの虚言ならよかったのに。月のような目に、ハイライトがなく、影が落ちていれば、それは言いにくい真実を語る時のアホロアだ。
「ボクネ、明日、星にナルンダ」
星になる。それは
______死______
「だからサ、ボクに、哀れな魔術師に、[漢字]ひとときの夢を見せてヨ[/漢字][ふりがな]願いを叶えてヨ[/ふりがな]」
「ネェ、道化師サン?」
自分の死すらも、笑い話に変えろというのか、コイツは。ニタリと三日月に歪められた瞳は、相変わらず綺麗だった。絶対に言ってやらないが。
「あぁ、見せてやるサ、お前に、夢を」
それが道化師ってもんだ。それに、ボクらの縁に水臭いのなんていらないだろう?
「で、何すんのサ」
「ンーーーボク、コノ時間から20時間後に死ぬからナァ…」
「今からって…!」
今が午前8時だから…大体明日の午前4時くらいか
「時間な…」
「だよネェ…」
もっと早く言ってくれれば、もうちょっとなんかできたのに。
「マァ、キミの魔法でどうにかなるダロウシ。」
「過大評価しすぎなのサ」
コイツは[漢字]魔法[/漢字][ふりがな]奇跡[/ふりがな]を信じすぎだ。元々奇跡を追い続けたハルカンドラ一族の末裔だからだろうか。それとも、自身が魔術師だからだろうか。手に入らないものへの憧れは、誰も彼も同じらしい。
「ジャア一つ目ネ」
「一つ目って…何個あるのサ?」
多少は魔法で補えるからと言って、別にあの彗星のようになんでも叶えられるわけではないのだが。
「ンー三つカナ」
マホロアは瞳を三日月型にして、イタズラっぽく笑った。
「で?一つ目は?」
「一つ目ハ___」
「ドコカ、ココから遠い場所デ星が見たいナ」
いつものオーバーなテンションの時のトーンとは違う、どちらかといえば素に近い、ボクですらたまにしか聞かない声。
相変わらず細められている目は、キラキラとしていて、銀河でもみているようだった。
「マァ別に一人で行けるケド」
「んだよ」
「マァ一緒についてきてほしいカラ、オネガイ!」
ああぁん?きゅるるんと効果音がつきそうなあざとさで上目遣いしてくるマホロア。だが怒ってるのはそういうことじゃない。
「ローアで行くのか?」
「ン?モチロン。ボクは術式がないと遠くマデいけないカラネ」
そう言いながら、マホロアはローアのキーボード前までふわふわと飛んでいく。思わずその後ろ姿をグッと掴んだ。
「お前はボクに願ったんだ。ボクが【夢】を叶えなきゃ意味がない!」
本当は、そんなこと微塵も思ってない。できれば、コイツの最後の記憶には、走馬灯には、ボクが写っていて欲しい…なぁんて考えていた。
「⁉︎」
ボクの剣幕に気押されたのか、目を白黒させた後、こくりと頷いた。
「キミがイイナラ…イイケド……?」
グッとマホロアの手を引っ張って、ローアのドアに駆け寄る。空気を読んだ天翔ける船はそっと扉を開けてくれた。
「デ、ドウスンノ?」
「んーーあ。おいマホロア、乗れ」
そう言ってボクは自分の帽子の上を指差す。マホロアは目を丸くした。
「ハァ?ナニ言ってんノ?」
「そのままの意味だぜ?」
ボクがそう言っても、このアホは目を不服そうにしたまま変えようとしない。
「お前は長い間飛行できないだろ?ローア使わないんだし、こうしたほうがいーだろ?」
「マァ…そうかもしれないケド…」
「ほれほれ、さっさと乗ってちょーよ」
コイツはあまり大きくない。ボクの帽子の上になら載せられる。というより、コイツに魔術を使わせるわけにはいかない。
「ほれ、早く乗れ」
しぶしぶと言った感じで、マホロアは低空飛行しながらボクの上に乗った。帽子のふわふわしたところを、コイツの手がきゅっと掴んでいる。かわ…って何思ってんだボク。
「屈辱だヨォ」
ポーカーフェイスを忘れてるぞ、とボクが言ったら、また悔しそうな顔をした。
「じゃあ…そこらへんの星が綺麗に見えるとこまで…しゅっぱーつ」
クリスタルのような羽をだし、ふわりと浮かぶ。頭上からワッ、と声が聞こえた。
宇宙では、星々がきらきらと瞬いていた。下を見れば、主張の激しい星(物理)が相変わらず光っている。
「どーだ?普段生で見れない景色は」
ボクはからかいの意を込めて聞いた。
「……エ⁉︎__アッ…ウン、綺麗だヨォ」
よほど見惚れていたのだろう。返事までに間があった。
「そんなにキレイなのサ?」
「ウン。あんまり見る機会ないからネ」
ほとんど船デノ移動ダシ、アノ星はソンナコトできる時間なんてナカッタシ。そう付け加えるとマホロアは黙った。どうやら、もうしばらく星を眺めることにしたようだ。
「へー」
マホロアは、あまり自分のことについて話さない。知っていることとすれば、「故郷はいいところじゃなかったこと」「嘘をつく生き方しかできなかったこと」だ。
「ア、ソコの星で降ろして」
頭上から指さされた星は、一面緑で覆われていた。それはそうとまるで乗り物のような言い方だ。
「ボクはタクシーかっての」
「実際ソウデショ?」
マホロアはニタッと笑った。こういう笑い方の方が、コイツには似合う。
「へいへい…おりますよーっと」
高度を徐々に下げつつ、適当な降り場所を探す。
「お」
ちょうど良さそうなところを見つけたので、ふわりと降り立つ。少し葉が舞い上がった。
「わわ!」
顔あたりに葉が当たったのだろう、頭の上で軽く悲鳴が聞こえた。
「ほれほれ、降りてちょーよ」
「お前がのっけたんダロウガッ」
何か言った気がするが、聞こえないふりをした。
「ほら、お前のお望み通り、『星のよく見えるところ』についたぜ」
「……アリガト」
普段全くと言ってもいいほど聞かない、コイツの素直な感謝。それを聞いて、思わず固まってしまった。
「……明日槍でも降るのか?」
「ボクはそれを見ることはデキナイケドネ」
いつものジョーダンっぽい言葉だが、ブラックジョークすぎる。
「で、どこ行くんだ」
聞きたくない。故に露骨に話を変えた。マホロアは少しニヤッとした後、すぐ表情を変えて口を開いた。
「少し開けた場所…野原がアルンダ。ココはまだ日が昇らないからネ。いい星が見らレル」
確かに、まだ暗い。ポップスターは明るかったのに。
「イコ」
その声を聞いた時には、マホロアは少し先でこちらを振り返っていた。
「へいへい」
その先は、真っ暗な森。別に不気味とは感じない。
「♪〜♫」
前から、鼻歌が聞こえてくる。そんなに嬉しいのだろうか。そういえばコイツもなかなかに星が好きだった。
「なんの曲なのサ?」
ゴキゲンなマホロアの隣により、耳元で声をかける。そうすれば、ぴゃっと可愛い悲鳴をあげて、軽く飛び上がった。
「ナッ…ナナナナンナンダヨォ!」
「ぷっ…アッハハハハッ‼︎ぴゃって…!ぴゃって!」
笑うつもりはなかったが、反応があんまりにも面白いので思わず笑ってしまった。
「笑うなヨォ‼︎」
そう言った途端、出口に向かってマホロアはかけだしてしまった。恥ずかしかったのだろう。
「かわ…」
「ってバカじゃねぇのボク…」
そう独り言を言って、走り去った(飛び去った?)マホロアを追いかけた。
「やっと追いついた…」
飛べばよかったのだが、めんどくさいので律儀に走って追いかけた。そのため、体力に自信のあるボクでもへとへとだ。
「遅かったネ」
「お前が走ったんだろ!」
ボクがそういえばマホロアは顔を赤くして反論した。
「ナッ…!ソレハキミが耳元でッ!」
「はいはい」
ボクはそれを聞き流す。
「で?ここで見ると」
そこは、だだっ広い草原。そういやポップスターにもこんなとこあったっけ。
地面には小さな花々が申し訳なさそうに生えている。白いの、青いの、赤いの、黄色いの、色とりどりだが、ポップスターのには負ける。
なんて考えていたら、マホロアがボクを引っ張った。
「コッチ」
引っ張られるがまま歩いていくと、草原の真ん中らしきところについた。そこだけやけに大きい花が円形に咲いている。
「ン」
見るとマホロアはもう座って(?)いた。この顔は…座れということなのだろう。
勝手にそう考えて、ボクもマホロアの隣にぽすっと座った。
「ネェ…ボクが星になったらサ、キミはアノ空の中カラ探してクレル?」
「は」
いつの間にか寝っ転がっていたマホロアは、星を眺めながら聞いてきた。
その話題は、ボクが触れたくなかった話題。ボクもそこまで冷たいわけじゃない。コイツが、とも___お気に入りのおもちゃがなくなるなんて悲しい。
「さぁな、気が向いたら探すかもしれないのサ」
「ソレハザンネン」
思ってもないくせに。
きらきらひかるほしがひとつふたつみっつ
ほしをれんそうさせるあいつは
きみのなかにいすわってて
憎らしい
「アレは…」
ボクはひたすらマホロアの話を聞いていた。コイツ星好きだったんだな、とか思いながら。ボクも旅をしてきた身だ、時折旅の話をしてやると嬉しそうに笑う。
マホロアの話は主に星座や、その星の豆知識やらなんやらだった。割と面白い。
「デネ…」
今はある星の伝説を聞いてる最中だ。話も盛り上がってきたという頃、ぐぅ〜と腹の虫が悲しそうに鳴いた。
横を見れば、マホロアが手で顔を覆ってる。
「腹…減ったのか?」
ボクがそう聞くとマホロアは少し黙った後頷いた。
「ジャアふたつ目のお願いネ」
円形の花畑の中、起き上がったマホロアはこちらを向いて言った。
「美味しいモノが食べたいナァ」
かわい子ぶりっこで、神に願うようなポーズ。おまけに上目遣いときた。フツウの人ならお願いを聞いちゃうだろう。だがボクは騙されない。これがウソだって知ってるからだ。まぁ今回のはジョークだし、もともと聞いてやるつもりではあったが。
「はいはい、偉大なる虚言の魔術師様のお願いだ、叶えてやりますよー」
「さっすがマルク!」
またもやきゃぴっと効果音がつきそうな動きをするマホロア。ボクは慣れているのでスルーで。
「で、どこいくんだ?」
コイツのことなら、ある程度はリサーチ済みだと踏んでの質問だ。
「エート…」
やっぱりリサーチ済みだったか。そしたら「美味しいものを食べる」という願いも前々から考えていたのかな、とか思ったがそれは一旦置いておくことにした。
マホロアが言うには、この星から少し離れた場所にあるところの料理が美味しいのだという。
どんなのかなと考えているとふと、頭の上が少し重くなったように感じた。
「早くイッテヨ」
上の方から声が聞こえる。乗ったのか、あんなに嫌がっていたのに。
「お前が自分から乗るなんて」
面白かったんで、少しからかってみた。
「コノほうが効率いいデショ」
なんと言う塩対応だと思ったが、この時ボクは知らなかった。頭の上で、マホロアがはにかんでいることに。
見渡す限り、星、星、星、たまに流れ星。どっちにしろ星。
んだよアイツ、 少し離れてる〜とか言いやがって。めちゃくちゃ遠いじゃねぇか。
と心の中で悪態をつきながらボクは黙々と飛んでいる。マホロアに話しかけても上の空だからだ。
「マホロア〜」
この飛行中何度目かの呼びかけ。しかし返事は返ってこなかった。
頭の上のことなので何が起こっているのか分かりかねるが、どーせ星でもみてるんだろう。最初の飛行は返事くらい返してくれたのに。コイツの星好きも大概だな。
とか考えていたら、帽子を軽く叩かれた。
「ソコノ黄色っぽい星だヨォ」
返事をするつもりだったのに、ボクの口からは別の言葉が出る。
「やっとしゃべった」
あ、と思った。これではまるで機嫌が悪いみたいじゃないか(実際悪かったのだが。今はなんとも思っていない)。絶対に空気が悪くなる(宇宙なので空気はないのだが)。
「ア、ゴメン。もしかし話しかけてタ?星見るのに夢中デ…」
思わず叫びそうになった。コイツが素直に謝るなんて。絶対に自分の非を認めようとしないコイツが。
急に黙ったボクを不審がったのか、少しイラついたような声でマホロアは言った。
「ナニ?ボクがスナオに謝るのがソンナニ珍しいワケ?」
よかったいつものマホロアだ。
「いや、別に」
「黄色の星だな」
「ヨロシクネ。タクシーサン」
マホロアは、仕返し、と言わんばかりにからかってきた。ボクも負けじという。
「誰がタクシーだ!」
結論から言おう。料理は美味しかった。だが、ボクは食レポなんてできないので割愛させていただく。何を食べたかだって?その星…フーダァスターの郷土料理を食べた。チーズとトマトのリゾットみたいなやつ。すごく美味しかった。
リゾットを食べてほっぺたが落ちそうになっているマホロアはすごく面白かったが、これはボクだけの秘密とさせていただく。
その後ちょっとした観光もした。名物はなんと人形だそうだ。料理じゃないのか。温泉に入ったり、おやつを軽く食べたり、そんなことをしてたら観光が終わる頃には夕方になっていた。
夕方ということは…そう、夕ご飯だ!
ちなみに本日の夕飯は、カニクリームコロッケ定食だった。これがとんでもなく美味しい。サクッとした衣。熱々のカニクリーム。(マホロア熱くて火傷していた。ネコミミだからだろうか)
すっかり日が落ちた頃、ボクたちはフーダァスターを旅立った。
三つ目のお願いは
『ポップスターに帰りたい』
だそうだ。別に願わなくたって連れてってやるのに。
そんなに信用がないんだろうか。
マホロアは、星を見るのをやめてボクと話し込んでいた。
魔術の話、魔法の話、科学の話…はボクにはわからなかったが、とにかく色々な話をした。2人とも旅人だ。話が尽きることなど到底ない。
さまざまな話をしているうちに、ポップスターについてしまった。時刻は午前0時。長い間休まず飛んでいたからだろうか。少し飛ぶ速度が落ちて、着くのが遅くなってしまった。
「ほれ、ついたぞ」
「アリガト」
ふわりとマホロアがおり、頭の重さがなくなった。
「少し…話してもイイカナ」
なんだよ、そんな改まって、というとマホロアは少し困ったように笑った。
「アト、4時間ナンダ」
聞きたくない。
「ボクが生きられるノ」
やめて
「しにたくないナァ」
そう言って、マホロアは泣きそうな声と顔で笑った。
話をした。タイムリミットは4時間もない。だからいろんな話をした。これまで辿ってきた冒険のことを。ボクの夢を。冒険といったらカービィだったので、ボクの知る限りの冒険譚を話したら、マホロアはカラカラと笑った。
「そんなことがあったんだネェ」
「あぁ」
「これからも、いろんなことがあると思うぜ」
死ぬと知っているのに、先のことを話すなんて、馬鹿げてる。でも話さずにはいられない。だって、ボクの未来にキミがいないなんて昨日まで考えたことなかったから。
残り30分
「ナンデボクが死ぬのかっていうとネ」
突然、マホロアが口を開いた。
「マスタークラウンの影響ナンダ」
マスタークラウン。その王冠を被ったものに絶対的な力を与える代わりに、その魂を啜るという、ハルカンドラの呪具。
「アレに気に入られちゃったのが運の尽きってネ」
マホロアは過去、マスタークラウンを手にしようと、いや、マスタークラウンに魅入られたことがあった。
「しかも被っちゃったからネ。啜られに啜られて、ボクのタマシイは消えそうナンダ」
でもアイツは倒したはずだろ、ボクがそういったら、マホロアは困ったように笑って言った。
「倒したカラと言って、なくなったタマシイが戻るワケじゃナイ」
ザンネンダケドネと付け加えて。
「今日は星を見てばっかだったカラ最後に日の出デモ見ようカナ」
気づけば、もうお日様が顔を出そうとする時間だ。
「ア、アッチだネ」
マホロアが指差す方を見れば、おてんと様の頭が出ている。
「ネェマルク」
太陽を見ていたマホロアが、くるりとこちらを向いた。
残り10分
「ネェマルク。覚えてないかもダケド…ボクがサ、ずっとマエ、夢を語ったことがあったデショ?」
忘れるワケない。
「その翌日サ、キミ、花をくれたデショ?」
覚えてるサ
「キレーナ…蒼い薔薇」
そう言った途端、マホロアは悲しそうに笑った。
「魔法で作ったのカナ。夢を語った翌日だったカラ、いい花言葉でもあるのかって調べたンダ」
「そしたら…花言葉は『不可能』ダッテ。キミはからかってたんだネ。ボクはあの夢をホンキで叶えたカッタノニ」
違う、ボクが渡したあの薔薇の意味は、伝えたかった意味は
だがボクは、声を出すことができなかった。だって…
マホロアの身体が、蒼い花弁になって舞っている。そう、これは…薔薇の花弁。
「マホ…身体が…」
やっとの思いで出した言葉は、本当に言いたかったものとは別のものだった。
「アァ…タイムリミットが近いんだネ」
なんでもないことのように言う。もうすぐ、死ぬのに。
「デネ、話の続き」
「ボクサ、叶えたヨ。キミが無理ダッテ、不可能ダッテ言った夢。叶えたヨ」
涙をぽろぽろこぼしながらマホロアは勝ち誇ったように笑った。
「ダカラ…ザマァミヤガレマルク‼︎」
「ボクは叶えたゾ!夢を!テーマパークを作る夢を!」
叫ぶたびに、花弁が風に舞う。朝日に照らされて舞い落ちる花弁とマホロアを、綺麗だ思った。
「マタネ、ボクのダイッキライで大好きなヒト」
ボクは、『あの花の本当の意味は』とか、『ボクもキミが大好きだった』とか言おうとしたが、どれも言葉にならず、離散していった。
そしてボクが何も言えぬまま一際強い風が吹いて、マホロアの全身は、蒼い花弁となって消えた。
「クソッタレが…」
ボクはそう悪態をついた後、ただ蒼い花吹雪の中で泣くことしかできなかった。
ソイツ…マホロアはそう言った。
「はぁ?」
ボクは、彼なりのジョークか、少し前にあった事件の話題かと思って、乗ってやることにした。
「星のマホロア〜ってか?」
「マァソウカモネ」
長年の付き合いだからわかる。わかってしまう。これは、ジョークじゃない。
そして、「星」に込められた意味にも。
「嘘だろ?虚言の魔術師」
でもボクは、最後まで信じない。コイツはたまに、ボクでもわからないような嘘をつく。
「ホントだヨォ」
あぁ…いつもの虚言ならよかったのに。月のような目に、ハイライトがなく、影が落ちていれば、それは言いにくい真実を語る時のアホロアだ。
「ボクネ、明日、星にナルンダ」
星になる。それは
______死______
「だからサ、ボクに、哀れな魔術師に、[漢字]ひとときの夢を見せてヨ[/漢字][ふりがな]願いを叶えてヨ[/ふりがな]」
「ネェ、道化師サン?」
自分の死すらも、笑い話に変えろというのか、コイツは。ニタリと三日月に歪められた瞳は、相変わらず綺麗だった。絶対に言ってやらないが。
「あぁ、見せてやるサ、お前に、夢を」
それが道化師ってもんだ。それに、ボクらの縁に水臭いのなんていらないだろう?
「で、何すんのサ」
「ンーーーボク、コノ時間から20時間後に死ぬからナァ…」
「今からって…!」
今が午前8時だから…大体明日の午前4時くらいか
「時間な…」
「だよネェ…」
もっと早く言ってくれれば、もうちょっとなんかできたのに。
「マァ、キミの魔法でどうにかなるダロウシ。」
「過大評価しすぎなのサ」
コイツは[漢字]魔法[/漢字][ふりがな]奇跡[/ふりがな]を信じすぎだ。元々奇跡を追い続けたハルカンドラ一族の末裔だからだろうか。それとも、自身が魔術師だからだろうか。手に入らないものへの憧れは、誰も彼も同じらしい。
「ジャア一つ目ネ」
「一つ目って…何個あるのサ?」
多少は魔法で補えるからと言って、別にあの彗星のようになんでも叶えられるわけではないのだが。
「ンー三つカナ」
マホロアは瞳を三日月型にして、イタズラっぽく笑った。
「で?一つ目は?」
「一つ目ハ___」
「ドコカ、ココから遠い場所デ星が見たいナ」
いつものオーバーなテンションの時のトーンとは違う、どちらかといえば素に近い、ボクですらたまにしか聞かない声。
相変わらず細められている目は、キラキラとしていて、銀河でもみているようだった。
「マァ別に一人で行けるケド」
「んだよ」
「マァ一緒についてきてほしいカラ、オネガイ!」
ああぁん?きゅるるんと効果音がつきそうなあざとさで上目遣いしてくるマホロア。だが怒ってるのはそういうことじゃない。
「ローアで行くのか?」
「ン?モチロン。ボクは術式がないと遠くマデいけないカラネ」
そう言いながら、マホロアはローアのキーボード前までふわふわと飛んでいく。思わずその後ろ姿をグッと掴んだ。
「お前はボクに願ったんだ。ボクが【夢】を叶えなきゃ意味がない!」
本当は、そんなこと微塵も思ってない。できれば、コイツの最後の記憶には、走馬灯には、ボクが写っていて欲しい…なぁんて考えていた。
「⁉︎」
ボクの剣幕に気押されたのか、目を白黒させた後、こくりと頷いた。
「キミがイイナラ…イイケド……?」
グッとマホロアの手を引っ張って、ローアのドアに駆け寄る。空気を読んだ天翔ける船はそっと扉を開けてくれた。
「デ、ドウスンノ?」
「んーーあ。おいマホロア、乗れ」
そう言ってボクは自分の帽子の上を指差す。マホロアは目を丸くした。
「ハァ?ナニ言ってんノ?」
「そのままの意味だぜ?」
ボクがそう言っても、このアホは目を不服そうにしたまま変えようとしない。
「お前は長い間飛行できないだろ?ローア使わないんだし、こうしたほうがいーだろ?」
「マァ…そうかもしれないケド…」
「ほれほれ、さっさと乗ってちょーよ」
コイツはあまり大きくない。ボクの帽子の上になら載せられる。というより、コイツに魔術を使わせるわけにはいかない。
「ほれ、早く乗れ」
しぶしぶと言った感じで、マホロアは低空飛行しながらボクの上に乗った。帽子のふわふわしたところを、コイツの手がきゅっと掴んでいる。かわ…って何思ってんだボク。
「屈辱だヨォ」
ポーカーフェイスを忘れてるぞ、とボクが言ったら、また悔しそうな顔をした。
「じゃあ…そこらへんの星が綺麗に見えるとこまで…しゅっぱーつ」
クリスタルのような羽をだし、ふわりと浮かぶ。頭上からワッ、と声が聞こえた。
宇宙では、星々がきらきらと瞬いていた。下を見れば、主張の激しい星(物理)が相変わらず光っている。
「どーだ?普段生で見れない景色は」
ボクはからかいの意を込めて聞いた。
「……エ⁉︎__アッ…ウン、綺麗だヨォ」
よほど見惚れていたのだろう。返事までに間があった。
「そんなにキレイなのサ?」
「ウン。あんまり見る機会ないからネ」
ほとんど船デノ移動ダシ、アノ星はソンナコトできる時間なんてナカッタシ。そう付け加えるとマホロアは黙った。どうやら、もうしばらく星を眺めることにしたようだ。
「へー」
マホロアは、あまり自分のことについて話さない。知っていることとすれば、「故郷はいいところじゃなかったこと」「嘘をつく生き方しかできなかったこと」だ。
「ア、ソコの星で降ろして」
頭上から指さされた星は、一面緑で覆われていた。それはそうとまるで乗り物のような言い方だ。
「ボクはタクシーかっての」
「実際ソウデショ?」
マホロアはニタッと笑った。こういう笑い方の方が、コイツには似合う。
「へいへい…おりますよーっと」
高度を徐々に下げつつ、適当な降り場所を探す。
「お」
ちょうど良さそうなところを見つけたので、ふわりと降り立つ。少し葉が舞い上がった。
「わわ!」
顔あたりに葉が当たったのだろう、頭の上で軽く悲鳴が聞こえた。
「ほれほれ、降りてちょーよ」
「お前がのっけたんダロウガッ」
何か言った気がするが、聞こえないふりをした。
「ほら、お前のお望み通り、『星のよく見えるところ』についたぜ」
「……アリガト」
普段全くと言ってもいいほど聞かない、コイツの素直な感謝。それを聞いて、思わず固まってしまった。
「……明日槍でも降るのか?」
「ボクはそれを見ることはデキナイケドネ」
いつものジョーダンっぽい言葉だが、ブラックジョークすぎる。
「で、どこ行くんだ」
聞きたくない。故に露骨に話を変えた。マホロアは少しニヤッとした後、すぐ表情を変えて口を開いた。
「少し開けた場所…野原がアルンダ。ココはまだ日が昇らないからネ。いい星が見らレル」
確かに、まだ暗い。ポップスターは明るかったのに。
「イコ」
その声を聞いた時には、マホロアは少し先でこちらを振り返っていた。
「へいへい」
その先は、真っ暗な森。別に不気味とは感じない。
「♪〜♫」
前から、鼻歌が聞こえてくる。そんなに嬉しいのだろうか。そういえばコイツもなかなかに星が好きだった。
「なんの曲なのサ?」
ゴキゲンなマホロアの隣により、耳元で声をかける。そうすれば、ぴゃっと可愛い悲鳴をあげて、軽く飛び上がった。
「ナッ…ナナナナンナンダヨォ!」
「ぷっ…アッハハハハッ‼︎ぴゃって…!ぴゃって!」
笑うつもりはなかったが、反応があんまりにも面白いので思わず笑ってしまった。
「笑うなヨォ‼︎」
そう言った途端、出口に向かってマホロアはかけだしてしまった。恥ずかしかったのだろう。
「かわ…」
「ってバカじゃねぇのボク…」
そう独り言を言って、走り去った(飛び去った?)マホロアを追いかけた。
「やっと追いついた…」
飛べばよかったのだが、めんどくさいので律儀に走って追いかけた。そのため、体力に自信のあるボクでもへとへとだ。
「遅かったネ」
「お前が走ったんだろ!」
ボクがそういえばマホロアは顔を赤くして反論した。
「ナッ…!ソレハキミが耳元でッ!」
「はいはい」
ボクはそれを聞き流す。
「で?ここで見ると」
そこは、だだっ広い草原。そういやポップスターにもこんなとこあったっけ。
地面には小さな花々が申し訳なさそうに生えている。白いの、青いの、赤いの、黄色いの、色とりどりだが、ポップスターのには負ける。
なんて考えていたら、マホロアがボクを引っ張った。
「コッチ」
引っ張られるがまま歩いていくと、草原の真ん中らしきところについた。そこだけやけに大きい花が円形に咲いている。
「ン」
見るとマホロアはもう座って(?)いた。この顔は…座れということなのだろう。
勝手にそう考えて、ボクもマホロアの隣にぽすっと座った。
「ネェ…ボクが星になったらサ、キミはアノ空の中カラ探してクレル?」
「は」
いつの間にか寝っ転がっていたマホロアは、星を眺めながら聞いてきた。
その話題は、ボクが触れたくなかった話題。ボクもそこまで冷たいわけじゃない。コイツが、とも___お気に入りのおもちゃがなくなるなんて悲しい。
「さぁな、気が向いたら探すかもしれないのサ」
「ソレハザンネン」
思ってもないくせに。
きらきらひかるほしがひとつふたつみっつ
ほしをれんそうさせるあいつは
きみのなかにいすわってて
憎らしい
「アレは…」
ボクはひたすらマホロアの話を聞いていた。コイツ星好きだったんだな、とか思いながら。ボクも旅をしてきた身だ、時折旅の話をしてやると嬉しそうに笑う。
マホロアの話は主に星座や、その星の豆知識やらなんやらだった。割と面白い。
「デネ…」
今はある星の伝説を聞いてる最中だ。話も盛り上がってきたという頃、ぐぅ〜と腹の虫が悲しそうに鳴いた。
横を見れば、マホロアが手で顔を覆ってる。
「腹…減ったのか?」
ボクがそう聞くとマホロアは少し黙った後頷いた。
「ジャアふたつ目のお願いネ」
円形の花畑の中、起き上がったマホロアはこちらを向いて言った。
「美味しいモノが食べたいナァ」
かわい子ぶりっこで、神に願うようなポーズ。おまけに上目遣いときた。フツウの人ならお願いを聞いちゃうだろう。だがボクは騙されない。これがウソだって知ってるからだ。まぁ今回のはジョークだし、もともと聞いてやるつもりではあったが。
「はいはい、偉大なる虚言の魔術師様のお願いだ、叶えてやりますよー」
「さっすがマルク!」
またもやきゃぴっと効果音がつきそうな動きをするマホロア。ボクは慣れているのでスルーで。
「で、どこいくんだ?」
コイツのことなら、ある程度はリサーチ済みだと踏んでの質問だ。
「エート…」
やっぱりリサーチ済みだったか。そしたら「美味しいものを食べる」という願いも前々から考えていたのかな、とか思ったがそれは一旦置いておくことにした。
マホロアが言うには、この星から少し離れた場所にあるところの料理が美味しいのだという。
どんなのかなと考えているとふと、頭の上が少し重くなったように感じた。
「早くイッテヨ」
上の方から声が聞こえる。乗ったのか、あんなに嫌がっていたのに。
「お前が自分から乗るなんて」
面白かったんで、少しからかってみた。
「コノほうが効率いいデショ」
なんと言う塩対応だと思ったが、この時ボクは知らなかった。頭の上で、マホロアがはにかんでいることに。
見渡す限り、星、星、星、たまに流れ星。どっちにしろ星。
んだよアイツ、 少し離れてる〜とか言いやがって。めちゃくちゃ遠いじゃねぇか。
と心の中で悪態をつきながらボクは黙々と飛んでいる。マホロアに話しかけても上の空だからだ。
「マホロア〜」
この飛行中何度目かの呼びかけ。しかし返事は返ってこなかった。
頭の上のことなので何が起こっているのか分かりかねるが、どーせ星でもみてるんだろう。最初の飛行は返事くらい返してくれたのに。コイツの星好きも大概だな。
とか考えていたら、帽子を軽く叩かれた。
「ソコノ黄色っぽい星だヨォ」
返事をするつもりだったのに、ボクの口からは別の言葉が出る。
「やっとしゃべった」
あ、と思った。これではまるで機嫌が悪いみたいじゃないか(実際悪かったのだが。今はなんとも思っていない)。絶対に空気が悪くなる(宇宙なので空気はないのだが)。
「ア、ゴメン。もしかし話しかけてタ?星見るのに夢中デ…」
思わず叫びそうになった。コイツが素直に謝るなんて。絶対に自分の非を認めようとしないコイツが。
急に黙ったボクを不審がったのか、少しイラついたような声でマホロアは言った。
「ナニ?ボクがスナオに謝るのがソンナニ珍しいワケ?」
よかったいつものマホロアだ。
「いや、別に」
「黄色の星だな」
「ヨロシクネ。タクシーサン」
マホロアは、仕返し、と言わんばかりにからかってきた。ボクも負けじという。
「誰がタクシーだ!」
結論から言おう。料理は美味しかった。だが、ボクは食レポなんてできないので割愛させていただく。何を食べたかだって?その星…フーダァスターの郷土料理を食べた。チーズとトマトのリゾットみたいなやつ。すごく美味しかった。
リゾットを食べてほっぺたが落ちそうになっているマホロアはすごく面白かったが、これはボクだけの秘密とさせていただく。
その後ちょっとした観光もした。名物はなんと人形だそうだ。料理じゃないのか。温泉に入ったり、おやつを軽く食べたり、そんなことをしてたら観光が終わる頃には夕方になっていた。
夕方ということは…そう、夕ご飯だ!
ちなみに本日の夕飯は、カニクリームコロッケ定食だった。これがとんでもなく美味しい。サクッとした衣。熱々のカニクリーム。(マホロア熱くて火傷していた。ネコミミだからだろうか)
すっかり日が落ちた頃、ボクたちはフーダァスターを旅立った。
三つ目のお願いは
『ポップスターに帰りたい』
だそうだ。別に願わなくたって連れてってやるのに。
そんなに信用がないんだろうか。
マホロアは、星を見るのをやめてボクと話し込んでいた。
魔術の話、魔法の話、科学の話…はボクにはわからなかったが、とにかく色々な話をした。2人とも旅人だ。話が尽きることなど到底ない。
さまざまな話をしているうちに、ポップスターについてしまった。時刻は午前0時。長い間休まず飛んでいたからだろうか。少し飛ぶ速度が落ちて、着くのが遅くなってしまった。
「ほれ、ついたぞ」
「アリガト」
ふわりとマホロアがおり、頭の重さがなくなった。
「少し…話してもイイカナ」
なんだよ、そんな改まって、というとマホロアは少し困ったように笑った。
「アト、4時間ナンダ」
聞きたくない。
「ボクが生きられるノ」
やめて
「しにたくないナァ」
そう言って、マホロアは泣きそうな声と顔で笑った。
話をした。タイムリミットは4時間もない。だからいろんな話をした。これまで辿ってきた冒険のことを。ボクの夢を。冒険といったらカービィだったので、ボクの知る限りの冒険譚を話したら、マホロアはカラカラと笑った。
「そんなことがあったんだネェ」
「あぁ」
「これからも、いろんなことがあると思うぜ」
死ぬと知っているのに、先のことを話すなんて、馬鹿げてる。でも話さずにはいられない。だって、ボクの未来にキミがいないなんて昨日まで考えたことなかったから。
残り30分
「ナンデボクが死ぬのかっていうとネ」
突然、マホロアが口を開いた。
「マスタークラウンの影響ナンダ」
マスタークラウン。その王冠を被ったものに絶対的な力を与える代わりに、その魂を啜るという、ハルカンドラの呪具。
「アレに気に入られちゃったのが運の尽きってネ」
マホロアは過去、マスタークラウンを手にしようと、いや、マスタークラウンに魅入られたことがあった。
「しかも被っちゃったからネ。啜られに啜られて、ボクのタマシイは消えそうナンダ」
でもアイツは倒したはずだろ、ボクがそういったら、マホロアは困ったように笑って言った。
「倒したカラと言って、なくなったタマシイが戻るワケじゃナイ」
ザンネンダケドネと付け加えて。
「今日は星を見てばっかだったカラ最後に日の出デモ見ようカナ」
気づけば、もうお日様が顔を出そうとする時間だ。
「ア、アッチだネ」
マホロアが指差す方を見れば、おてんと様の頭が出ている。
「ネェマルク」
太陽を見ていたマホロアが、くるりとこちらを向いた。
残り10分
「ネェマルク。覚えてないかもダケド…ボクがサ、ずっとマエ、夢を語ったことがあったデショ?」
忘れるワケない。
「その翌日サ、キミ、花をくれたデショ?」
覚えてるサ
「キレーナ…蒼い薔薇」
そう言った途端、マホロアは悲しそうに笑った。
「魔法で作ったのカナ。夢を語った翌日だったカラ、いい花言葉でもあるのかって調べたンダ」
「そしたら…花言葉は『不可能』ダッテ。キミはからかってたんだネ。ボクはあの夢をホンキで叶えたカッタノニ」
違う、ボクが渡したあの薔薇の意味は、伝えたかった意味は
だがボクは、声を出すことができなかった。だって…
マホロアの身体が、蒼い花弁になって舞っている。そう、これは…薔薇の花弁。
「マホ…身体が…」
やっとの思いで出した言葉は、本当に言いたかったものとは別のものだった。
「アァ…タイムリミットが近いんだネ」
なんでもないことのように言う。もうすぐ、死ぬのに。
「デネ、話の続き」
「ボクサ、叶えたヨ。キミが無理ダッテ、不可能ダッテ言った夢。叶えたヨ」
涙をぽろぽろこぼしながらマホロアは勝ち誇ったように笑った。
「ダカラ…ザマァミヤガレマルク‼︎」
「ボクは叶えたゾ!夢を!テーマパークを作る夢を!」
叫ぶたびに、花弁が風に舞う。朝日に照らされて舞い落ちる花弁とマホロアを、綺麗だ思った。
「マタネ、ボクのダイッキライで大好きなヒト」
ボクは、『あの花の本当の意味は』とか、『ボクもキミが大好きだった』とか言おうとしたが、どれも言葉にならず、離散していった。
そしてボクが何も言えぬまま一際強い風が吹いて、マホロアの全身は、蒼い花弁となって消えた。
「クソッタレが…」
ボクはそう悪態をついた後、ただ蒼い花吹雪の中で泣くことしかできなかった。
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