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テイクバック ナイト

#2

賑わっている商店街。の、裏路地の静かなお店に亀のおじいさんが入っていく。
カウンターの奥でパソコンを叩いていたジルファは手を止め、ほとんど訪れないお客さんを迎え入れる。
「すまないねぇ……このぱーそなる、こんぺーたーとな、故障したのかのぉ…」
申し訳なさそうに笑いながらジルファにそう言う。
見たことのない顔だ。
このお店に来るのは初めて、か。
「失礼ですが、お名前は?」
「あぁ、ガレット。陸亀のガレットじゃよ」
ガレットさん、優しそうなおじいさんだな……。
「ガレットさんですね、操作方法の何がわからないんですか?」
「そのなぁ…開いたら、なんにもないんじゃよ…絵のデーターも入っていたんじゃよ」
ガレットさんの話を聞きつつ、借りたパソコンを開く。
しかし、画面に並んでいたのはエラーコードですらない、ただの『空白』。
「もともとは、わしの趣味で絵を描くあぷりけぇしょんとやらと、絵をとうこうしていたぴくしなんちゃらやら色々あったのじゃが……朝起きるとこれでのう……」
嫌な胸さわぎがした。
ガレットさん自身が消した可能性もある。
が、この人に認知症が発症しているとは思えない。
それに、エラーコードすらないパソコンを作れるとは思えない。
最初に入っているはずのアプリすら、全部なくなっている。
「ガレットさん、他の人にこのパソコンを触らせたことは?」
「孫と共同で使っているんじゃよ、でも……孫はアナログ派でこのパソコンを使って絵を書くところなど見たことないわい。」
じゃあ……誰が?
その時、外で車のブレーキ音が聴こえた。
「ガレットさん、隠れてください」
「え?あ、あぁ」
困惑しつつも指示に従い俺の後ろに隠れるガレットさんを見つつ、俺はブレーキ音の聴こえたほうえと耳を向ける。
くぐもったこどもの泣き声が聴こえる。多分、ガムテープか布で口を覆われてる。
それと、銃に弾を入れる音。
「ガレットさん、裏口に案内します。そこで耳を塞いで待っていてください」
「店員さんは?」
「俺は電話をしに行きます。大丈夫です、すぐに戻ってきますよ」
不安そうな顔をするガレットさんを安全な場所まで連れていき、一回店に戻る。
「キルフィア、事件発生だ。来れるか?」
「了解!」
無線からキルフィアの楽しそうな声が弾ける。
「おい店員!ここに亀の老害がやってきたろ?どこに行った?」
「さぁ…?俺は何も。というより、敵に背後を見せて平気ですか」
手下どもが後ろを見た瞬間にキルフィアのゴリラ並みの力で全員が投げ飛ばされていく。
「ヒーローの登場よ!」
「残念だな、二秒半遅れている」
「だってパオのホットケーキ美味しいんだもの!仕方ないでしょ?」
二人はグータッチをした。敵は店の中で倒れている。
が、エンジン音がし、車が遠ざかっていく音がした。
「逃げたか……」
「で?被害者のガレットさんはどこ?」
「裏口に居てもらってる。いくぞ」
二人は急いで裏口へと走っていった。
「貴方がガレットさん?」
裏口の前には耳を抑えて震えているガレットさんが居た。
彼はゆっくりと怯えた顔をあげた。
「あぁ、店員さん……無事だったんじゃな。…そちらのお嬢さんは?」
「私はキルフィア!大丈夫!さっきの奴らは全員私がぶっ飛ばしておいたわ!」
キルフィアを物珍しそうに、でも少し怯えながら見るガレットさんを安心させるようにキルフィアはニコッと微笑みながら手を貸した。
その様子を静かに見ながら、ジルファは次のステップを考えていた。
「……ガレットさん、ここは危険です。多分、さっき逃げた奴らは仲間に応援を呼ぶだろう。あいつらの狙いは貴方だ。もう、貴方の家も安全じゃない」
ジルファは素早く手元にあったボタンを押し、店のシャッターを下げた。
「俺達の家に来てください。少なくとも、貴方の家よりは安心でしょう」
色々作業をしながら言うジルファに戸惑うガレットさん。
そんなガレットさんの背中を、キルフィアは優しく、でも力強くぽんっと叩いた。
「だいじょぉぶ!私達の家は安全だし!マスターのコーヒー、絶対に気に入るはずよ!」

2026/03/06 21:06

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