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テイクバック ナイト

#1

怪しい夜の幕開け

会場には、多種多様な動物達が居た。
立派なたてがみを整え、宝石を身に纏っているライオンの紳士に、華奢な体
「素晴らしい絵でしょう?これを手に入れるのに、少々強引な手段を使いましたがね」
目の前で得意げに笑ってみせる今回の獲物 バグロンに、私は微笑む。
「ええ、本当に素晴らしい絵ですわ」
コイツ、盗んだくせによく言うわね。
心の中で悪態をつきつつ、耳を動かし、ダクトに潜んでいるジルファへ暗号を送る。
「この絵は油絵でしょうか、上手に色を扱っていらっしゃるのね」
バグロンの耳が少し動く。深掘りしてきて苛ついた証拠だ。
コイツは絵画の良さをわかっていない。が、有名になれるからという理由で絵師を脅し買い取っただけの素人。
その時、耳に入れていた通信機から低い声が聞こえる。
『キルフィア、余計な挑発はやめろ』
相変わらず冷静で、ちっとも面白みのない奴。
愛想笑いでもしておけばいいのに。
”別 に も う す ぐ 逃 げ る し い い で しょ”
耳を小刻みに動かし、ジルファにそう送った後、満面の笑みを浮かべてバグロンを見る。
「もう少し近づいてもよろしいですか?私、油絵が好きなもので」
「……いいでしょう」
不機嫌ながらも、私が高貴な令嬢だと知って黙るバグロン。
その姿があまりにも滑稽で面白い。
『お前の辞書に加減という言葉はないのか?』
少し苛立った声が耳に響く。
ジルファには喜怒哀楽の怒しかないのかしら……
『はぁ…三十秒後”星”を発動させる。それまでには離れておけ。』
”了解”
右耳を一回パタンと倒して返事をした。
「ありがとうございます。とても素敵な絵でしたわ」
にこりと微笑み、バグロンの元を離れる。
「私はこれで、失礼いたします」
残り十秒。
バグロンが私を睨んでいるのが背中越しに伝わる。
そんなに感情を出したら周りにモロバレじゃない?
廊下に出て、通気口を開ける。
頭につけていた偽の宝石を投げ捨て、スルリと通気路の中に入り、進んでいく。
その瞬間、明かりが消え、あたりは不安と恐怖で支配された。
しかし、すぐに明かりは戻った。
周りが安心する中、一人だけ焦っているものが居た。
バグロンだ。
「私の絵画が!絵画がない!!」
…今日もテイクバック成功。
私はそう思いながら、ジルファの居る屋上まで進んでいった。

2026/01/26 20:56

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