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作者による勝手な解釈,独自の世界観設定あり。苦手な方は回れ右。
前を歩く雪先生の後に続いて見慣れない校舎に足を踏み入れる。
静まり返った廊下には二人分の靴音がかすかに反響した。
上を見上げるとガラス越しに灰色の雲が広がっているのが見えた。
一直線に伸びている廊下に並行してはめられているガラスの両側には丸い照明が並んでいる。
ふと横を見ると階段があった。
校内が白色なのに対してこちらは黒色。
よく見ると一段一段がエスカレーターのように動いていた。
そして,先程から度々見られる宙に浮かんだ半透明のタッチパネル。
それには何も映っておらず,画面はどれも真っ暗だった。
中には地面に落下したのであろうものもあった。
「着きましたよ。ここが2-Iの教室です。私は先に入って他の生徒にあなたのことを伝えますので,あなたは私が呼んだら入ってきてください。」
校舎内を見回しているうちにどうやら教室に到着したようだった。
雪先生はそう言うと扉を開けて教室に入っていった。
******
「[漢字]香取[/漢字][ふりがな]かんどり[/ふりがな] [漢字]梨那[/漢字][ふりがな]りな[/ふりがな]っていいます。リナって呼んでくれたら嬉しいです。よろしくお願いします」
2-Iの生徒全員からの視線に微かに顔が火照るのを感じながらリナは雪先生に促され,軽く自己紹介をした。
その後すぐに教室内から拍手が聞こえてきた。
「席は一先ず...そこの席にしましょうか。」
そう言って雪先生が指した座席はちょうど希の一つ前の席だった。
返事代わりに軽く頷き,リナは指された席に座った。
******
「うちのクラスは大体班分け終わったなー。で,後はリナだけか?」
いつの間にかリナとすっかり打ち解けている武典が,教室を見渡し言った。
「あ,リナは班分けのこととか先生から聞いた?」
「えっと,今朝のニュースで言ってたやつだよね?ロボットに対抗するために戦闘する人とそうでない人を分けるって...」
「そうそう!じゃあ詳しく説明するから__」
武典に連れられ,リナは話し合いの輪の中へと入っていった。
(相変わらず恐ろしいコミュ力してんな...)
出会ってすぐの転校生とずっと前から友達だったと錯覚するほど親し気に話す武典を見ていた希はそんなことを考えていた。
「じゃあグループ分けについて改めて説明するね」
トランスボードの故障及び使用不可能により学校側が急遽取り寄せたノートを広げ,学級委員長の武典が言う。
グループ分けというのはKOKOROたち(以下,ロボット軍と呼ぶことにする)に対抗するために政府が出した案のことを指している。
武典の持つノートにはこう記述されていた。
[明朝体]戦闘部隊(戦場に赴いて戦う)
近接攻撃班:主に直接ロボット軍と対峙し,戦闘を行う。強化薬を用いる。
遠距離攻撃班:近接攻撃班の援護を行う。強化薬を用いる。
情報収集部隊(主に敵の情報集め,班によっては戦闘あり)
情報改竄班:敵の情報源のハッキング等,オプティマル社以外の企業のシステムの防衛
情報収集班:潜入捜査等,戦闘をする場合もある。場合によって強化薬を用いることもある。
製造班:武器や通信機器の製造等 強化薬の研究・改良[/明朝体]
「...とまあグループ分けはこんな感じになってる。リナちゃんはこっから自分ができそうだと思うものを選んで」
ノートからリナへと視線を移し,常名が言った。
彼女も武典と同じく学級委員長である。
コミュニケーション能力は武典に劣るものの,クラス全体をよりまとめる力を持っているのは間違いなく常名の方だった。
「分かった。...じゃあ私は......」
これ,とノートに書いてある班の一つを指差すリナ。
どうやらクラスメイト達が予想していた班とは真逆の班を彼女は選んだようで,大半の生徒が驚いた顔をしていた。
「本当にその班?」
リナの丁度右隣に立っていた[漢字]千城台[/漢字][ふりがな]ちしろだい[/ふりがな] [漢字]幸田[/漢字][ふりがな]こうで[/ふりがな]が思わずそう呟いた。
華奢な体付きに加え,動作の一つ一つからあどけなさを感じるリナが選んだのは何をもってか"近接攻撃班"だった。
これには誰よりも思いやりを持っているといっても相応しい幸田でなくとも彼女を心配するのは無理もない。
「うん。私は近接攻撃班がいいかな」
やわらかい口調でありながらも,リナはきっぱりとそう言った。
そんな彼女と一瞬目が合った希はどきっとした。
初めて見た時もそうだったがこうして正面からきちんと見るとリナがいかに整った容姿をしているかが分かったからだ。
肩よりやや下あたりまで伸ばされたストレートの赤髪は,教室の壁に取り付けられた丸い窓から風が入ってくる度にサラサラとなびいている。
ぱっちりとした二重に,どこまでも透き通っているかのような綺麗な桃色の瞳が彼女の美しさをより引き立てているようだった。
「リナちゃんって運動,得意なの?」
再び幸田が彼女に質問を投げかけた。
「得意って自信をもって言えるほどではないけど...これくらいなら」
そう言ってリナはクラスメイト全員の前で後方回転とバク宙を披露してみせた。
おおー,という感心と驚きの入り混じった声があがった。
そこからリナの近接攻撃班希望に反対する者は一人もいなくなった。
それどころか,最近来た転校生がイカツい,と暫くの間校内で騒がれることとなる。
******
[明朝体]プシュー[/明朝体]
空気が抜けた風船のような音と共に,カプセル型宇宙船のハッチが開いた。
「ふぁー長かった。ようやく自由に動けるー!」
中から飛び出してきたのは[漢字]氷室[/漢字][ふりがな]ひむろ[/ふりがな] [漢字]泡影[/漢字][ふりがな]ほうよう[/ふりがな]。
政府からの要請を受けてアンドラからやってきた人物の一人だった。
「それで,暴走している機械というのはどこにいはるんや?」
続いてハッチから顔を覗かせたのは[漢字]一ノ瀬[/漢字][ふりがな]いちのせ[/ふりがな] [漢字]眞奈美[/漢字][ふりがな]まなみ[/ふりがな]。
後頭部あたりできっちりお団子にまとめられた髪には,銀色の月の飾りで彩られた簪が日光を反射し,美しい銀色の光を放っていた。
「へぇー,ここが地球なのかー。噂通りアンドラに激似だね!」
一見人間のように見える彼女はアイドル型AIの[漢字]唄音[/漢字][ふりがな]うたね[/ふりがな]。
純白のチュールとオーガンジーを何枚も重ねて作られたチュチュが彼女が動く度ふわふわと揺れている。
「まず[漢字]地球[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]に着いたら"セントラル"に来いと言われてますさかい,まずはそこに向かうのがよろしいんとちゃいますか?」
「そだね~...皆,行こっか!」
眞奈美の冷静な判断に泡影が返事をする。
それにより,アンドラからの使者たちはセントラルと呼ばれる場所へと足を進めていった。
静まり返った廊下には二人分の靴音がかすかに反響した。
上を見上げるとガラス越しに灰色の雲が広がっているのが見えた。
一直線に伸びている廊下に並行してはめられているガラスの両側には丸い照明が並んでいる。
ふと横を見ると階段があった。
校内が白色なのに対してこちらは黒色。
よく見ると一段一段がエスカレーターのように動いていた。
そして,先程から度々見られる宙に浮かんだ半透明のタッチパネル。
それには何も映っておらず,画面はどれも真っ暗だった。
中には地面に落下したのであろうものもあった。
「着きましたよ。ここが2-Iの教室です。私は先に入って他の生徒にあなたのことを伝えますので,あなたは私が呼んだら入ってきてください。」
校舎内を見回しているうちにどうやら教室に到着したようだった。
雪先生はそう言うと扉を開けて教室に入っていった。
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「[漢字]香取[/漢字][ふりがな]かんどり[/ふりがな] [漢字]梨那[/漢字][ふりがな]りな[/ふりがな]っていいます。リナって呼んでくれたら嬉しいです。よろしくお願いします」
2-Iの生徒全員からの視線に微かに顔が火照るのを感じながらリナは雪先生に促され,軽く自己紹介をした。
その後すぐに教室内から拍手が聞こえてきた。
「席は一先ず...そこの席にしましょうか。」
そう言って雪先生が指した座席はちょうど希の一つ前の席だった。
返事代わりに軽く頷き,リナは指された席に座った。
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「うちのクラスは大体班分け終わったなー。で,後はリナだけか?」
いつの間にかリナとすっかり打ち解けている武典が,教室を見渡し言った。
「あ,リナは班分けのこととか先生から聞いた?」
「えっと,今朝のニュースで言ってたやつだよね?ロボットに対抗するために戦闘する人とそうでない人を分けるって...」
「そうそう!じゃあ詳しく説明するから__」
武典に連れられ,リナは話し合いの輪の中へと入っていった。
(相変わらず恐ろしいコミュ力してんな...)
出会ってすぐの転校生とずっと前から友達だったと錯覚するほど親し気に話す武典を見ていた希はそんなことを考えていた。
「じゃあグループ分けについて改めて説明するね」
トランスボードの故障及び使用不可能により学校側が急遽取り寄せたノートを広げ,学級委員長の武典が言う。
グループ分けというのはKOKOROたち(以下,ロボット軍と呼ぶことにする)に対抗するために政府が出した案のことを指している。
武典の持つノートにはこう記述されていた。
[明朝体]戦闘部隊(戦場に赴いて戦う)
近接攻撃班:主に直接ロボット軍と対峙し,戦闘を行う。強化薬を用いる。
遠距離攻撃班:近接攻撃班の援護を行う。強化薬を用いる。
情報収集部隊(主に敵の情報集め,班によっては戦闘あり)
情報改竄班:敵の情報源のハッキング等,オプティマル社以外の企業のシステムの防衛
情報収集班:潜入捜査等,戦闘をする場合もある。場合によって強化薬を用いることもある。
製造班:武器や通信機器の製造等 強化薬の研究・改良[/明朝体]
「...とまあグループ分けはこんな感じになってる。リナちゃんはこっから自分ができそうだと思うものを選んで」
ノートからリナへと視線を移し,常名が言った。
彼女も武典と同じく学級委員長である。
コミュニケーション能力は武典に劣るものの,クラス全体をよりまとめる力を持っているのは間違いなく常名の方だった。
「分かった。...じゃあ私は......」
これ,とノートに書いてある班の一つを指差すリナ。
どうやらクラスメイト達が予想していた班とは真逆の班を彼女は選んだようで,大半の生徒が驚いた顔をしていた。
「本当にその班?」
リナの丁度右隣に立っていた[漢字]千城台[/漢字][ふりがな]ちしろだい[/ふりがな] [漢字]幸田[/漢字][ふりがな]こうで[/ふりがな]が思わずそう呟いた。
華奢な体付きに加え,動作の一つ一つからあどけなさを感じるリナが選んだのは何をもってか"近接攻撃班"だった。
これには誰よりも思いやりを持っているといっても相応しい幸田でなくとも彼女を心配するのは無理もない。
「うん。私は近接攻撃班がいいかな」
やわらかい口調でありながらも,リナはきっぱりとそう言った。
そんな彼女と一瞬目が合った希はどきっとした。
初めて見た時もそうだったがこうして正面からきちんと見るとリナがいかに整った容姿をしているかが分かったからだ。
肩よりやや下あたりまで伸ばされたストレートの赤髪は,教室の壁に取り付けられた丸い窓から風が入ってくる度にサラサラとなびいている。
ぱっちりとした二重に,どこまでも透き通っているかのような綺麗な桃色の瞳が彼女の美しさをより引き立てているようだった。
「リナちゃんって運動,得意なの?」
再び幸田が彼女に質問を投げかけた。
「得意って自信をもって言えるほどではないけど...これくらいなら」
そう言ってリナはクラスメイト全員の前で後方回転とバク宙を披露してみせた。
おおー,という感心と驚きの入り混じった声があがった。
そこからリナの近接攻撃班希望に反対する者は一人もいなくなった。
それどころか,最近来た転校生がイカツい,と暫くの間校内で騒がれることとなる。
******
[明朝体]プシュー[/明朝体]
空気が抜けた風船のような音と共に,カプセル型宇宙船のハッチが開いた。
「ふぁー長かった。ようやく自由に動けるー!」
中から飛び出してきたのは[漢字]氷室[/漢字][ふりがな]ひむろ[/ふりがな] [漢字]泡影[/漢字][ふりがな]ほうよう[/ふりがな]。
政府からの要請を受けてアンドラからやってきた人物の一人だった。
「それで,暴走している機械というのはどこにいはるんや?」
続いてハッチから顔を覗かせたのは[漢字]一ノ瀬[/漢字][ふりがな]いちのせ[/ふりがな] [漢字]眞奈美[/漢字][ふりがな]まなみ[/ふりがな]。
後頭部あたりできっちりお団子にまとめられた髪には,銀色の月の飾りで彩られた簪が日光を反射し,美しい銀色の光を放っていた。
「へぇー,ここが地球なのかー。噂通りアンドラに激似だね!」
一見人間のように見える彼女はアイドル型AIの[漢字]唄音[/漢字][ふりがな]うたね[/ふりがな]。
純白のチュールとオーガンジーを何枚も重ねて作られたチュチュが彼女が動く度ふわふわと揺れている。
「まず[漢字]地球[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]に着いたら"セントラル"に来いと言われてますさかい,まずはそこに向かうのがよろしいんとちゃいますか?」
「そだね~...皆,行こっか!」
眞奈美の冷静な判断に泡影が返事をする。
それにより,アンドラからの使者たちはセントラルと呼ばれる場所へと足を進めていった。