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作者による勝手な解釈,独自の世界観設定あり。苦手な方は回れ右。
希のクラス,2-Iで先生の説明が行われていたのと同時期に,優真のクラスの2-Gでも同じように担任教師の[漢字]鐙塚[/漢字][ふりがな]あぶつか[/ふりがな] [漢字]鹿井[/漢字][ふりがな]かのい[/ふりがな]によって同じような説明を受けていた。
こちらも"自分たちが戦う"ということを知ってからはどんよりとした空気が教室内を支配していた。
鐙塚先生が居なくなってからも誰も一言も喋ろうとはしない。
彼の説明は雪先生よりも幾分か穏やかな印象だったような気もするがそれでも生徒たちの不安感を払拭することは出来なかったようだ。
軽く溜息をついて優真は窓の外に映る景色を眺める。
すると自分たちの心境を表しているかのような曇り空と白く細長い建物が目に入った。
あれこそがオプティマル社の本社である。
遠くにあるということもあり見た感じ乗っ取りが起きているようには思えないが鹿井先生の説明が正しいのならあの中には大勢のロボット達がいるのだろう。
「どうなるんだろうな...俺たち」
頬杖を突きひとりごちしていると,生徒全員のボードに校長の[漢字]八椚[/漢字][ふりがな]やつくぬぎ[/ふりがな] [漢字]真岡[/漢字][ふりがな]もおか[/ふりがな]の姿が現れた。
それにより全員が改めて姿勢を正す。
「皆さん,おはようございます。担任の先生から連絡事項の説明は聞きましたね?」
時間がないのだろう,八椚校長はいきなり本題に入った。
「一つ一つ順を追って説明したいところですが今は時間がありません。ですので今後の指針を手短に説明しますね。まず始めに,私達人間は様々なやり方でロボットと戦うことになります。実際に戦うこともあれば画面越しに戦うことも...。」
心を抉るような言葉が次々と彼の口から飛び出る。
と同時に聞いているこちらも十分辛いがそれを自らの口で伝えなければならない校長はもっと辛いんだろうな,と優真は思った。
「私達はロボットのハッキングに対抗できるようにするための技術を学ばなければならないでしょう。しかし,既に政府は"アンドラ"からの協力要請も行っています。」
アンドラ,というのは地球から遠く離れた惑星。近頃の宇宙開発の技術はすさまじく,オプティマル社もその支援をしていたということで銀河系を遠く離れた場所にある惑星でさえも10分程度で辿り着くことができるようになった。
生態系や環境がパラレルワールドと言っても過言ではないほど似ており,何よりも人間と同じ言語や生活をしている人々がいたことでアンドラと地球はすぐに友好関係を結んだ。
今ではお互いの惑星からの旅行者も年々増加傾向にある。
そんなアンドラに住む人々だが地球人と明らかに異なる点が一つあった。
それは"生まれながらに能力を所持している"という点だった。
彼らは手から炎や氷を出現させたり物を浮かしたりすることが出来た。
1500年前に流行っていたらしいファンタジー小説というものに登場しそうな"魔法"という存在に近いものだ。
それに加え人間離れした抜群の身体能力を誇る者だっている。
地球人はそれに似た力を科学技術によってカバーしているがアンドラ人達にはそれが必要ない。
(確かにオプティマル社の製品が全て使用不可能となった今,アンドラ人に頼るのは無難だが...)
(いくら仲が良いとはいえそんな自分たちにかなりリスクを伴うこと引き受けるか...?)
優真もアンドラには一度だが行ったことがある。
現地の人は皆親切で一人だが友達だってできた。
「...アンドラの人々が協力するとは思えないと思っている人もいるかもしれませんが...」
気づけば今まさに優真が考えていることを八椚校長が話していた。
図星だった。
校長に心を見透かされているような気がして,彼は考えるのを止めた。
「[小文字]!?まさか...[/小文字]皆さん,たった今,アンドラの人たちが我々に協力することを決めたそうです!」
耳にはめたインフォーマーから受け取った情報をすぐさま伝える真岡。
[小文字]「え,つまりそれって_」[/小文字]
[小文字]「アンドラの人たち,協力してくれるんだ...」[/小文字]
[小文字]「ひとまず安心だね。」[/小文字]
教室内の数か所で小さな声で会話するクラスメイトの姿が窺えた。
言葉にせずとも安堵とまだ晴れぬ不安感混じりの顔でお互いに顔を見合わせる者もいた。
「しかしながらこれまで私達は生活を送るうえで必要な技術をの9割近くをオプティマル社に頼ってきました。これからは今まで通りの生活を送ることは不可能に等しいでしょうね。ですので_____!?」
真岡の耳に装着されているインフォーマーから突然不可解な音が鳴りだした。
危険を感じた彼がそれを外し机に置いたその瞬間...
[大文字][大文字]ドカン!![/大文字][/大文字]
インフォーマーは爆発を起こした。
幸い出火はなく校長にも怪我はなかったが机は大きく凹み,あたりにはインフォーマーを構成していたであろう部品の破片が飛散していた。
すぐにその処理をしようと動いた機械も同じような爆発を起こし,動かなくなった。
「どうやらサーバー乗っ取りの支障がもう生じてきましたね。これからはオプティマル社の製品には十分注意するように。......話は変わりますが今からロボットに対抗するための政府より出された案に沿ってグループ分けを__
そこからボードに今後校長の姿が映ることはなかった。
「え...噓だろ?」
「あ,そっか。これもオプティマル社の製品だから...」
ようやく教室がざわめきだした。
「こっからはこのボードもただ宙に浮かぶ半透明の板でしかなくなるわけだ...」
真っ黒になった画面を見つめながら優真は独り呟いた。
******
学校中のトランスボードが一つ残らず使用不可能となると,全校生徒が体育館に自らの足で集まるほかなかった。
その場にいた全員が面倒くささと不便さを感じると共に,オプティマル社の製品のありがたみを再認識することとなった。
そこから校長の話を聞き再び教室に戻る...ということがようやく終わった。
「あー...こんなに時間が掛かるとは。話聞きいてただけのはずなのに疲れたー」
あっという間にやってきた昼休みの時間。
誰もいない屋上にて,優真は希と昼ご飯を食べながら話していた。
昼ご飯と言っても錠剤一つで済むので会話がメインなのだが。
「校長先生の話では明日から戦闘訓練を受ける人とハッキングの技術を学ぶ人と情報収集をする人に分かれるって言ってたよね。優真はどうするの?」
フェンス越しに見える町をぼんやり見つめながら希は尋ねてきた。
「俺はやるとしたらハッキングかな。今までオプティマル社に入りたくてずっとその技術を勉強してきたから。」
希の隣でフェンスに背中をあずけながら,優真は答えた。
「じゃあ僕とは別れちゃうね...僕はあの中だったら実際に戦ったりするのが一番向いてるから」
希のこの言葉で,優真は彼がどこか遠くへ行ってしまうような気がした。
戦場へ出向いて戦うというというのはいつだって[打消し]"死"[/打消し]というリスクと隣り合わせだから。
人と話すということが苦手である優真にとって,たった一人の大親友が居なくなってしまうというのは嫌だから。
「本当に...それにすんのか?」
何となく予想はついていた。
この高校の生徒は他校に比べて身体能力が高い人がいる中でも希は間違いなくその上位に入る実力を持っているから。
人一倍正義感のある彼なら間違いなく戦闘を選択すると思っていたから。
それでも,優真は彼が傷つくことなく生きてほしかった。
「うん」
きっぱりとそう言う希の瞳にははっきりとした決意を感じた。
「そっか...。」
僅かな沈黙が流れた後。
[明朝体]キーンコーンカーンコーン...[/明朝体]
聞き慣れないチャイムが聞こえてきた。
その音に我に返った2人は校長の言葉を思いだした。
ー「今日からは授業及び休憩時間の終わり等はチャイムを鳴らしておしらせしますので,覚えておくように。」
「これがチャイムか」
「そうみたいだね」
2人はその音に素直に従うことにした。
その後,こんな状況下で2-Iに一人の転校生がやってくることとなる。
こちらも"自分たちが戦う"ということを知ってからはどんよりとした空気が教室内を支配していた。
鐙塚先生が居なくなってからも誰も一言も喋ろうとはしない。
彼の説明は雪先生よりも幾分か穏やかな印象だったような気もするがそれでも生徒たちの不安感を払拭することは出来なかったようだ。
軽く溜息をついて優真は窓の外に映る景色を眺める。
すると自分たちの心境を表しているかのような曇り空と白く細長い建物が目に入った。
あれこそがオプティマル社の本社である。
遠くにあるということもあり見た感じ乗っ取りが起きているようには思えないが鹿井先生の説明が正しいのならあの中には大勢のロボット達がいるのだろう。
「どうなるんだろうな...俺たち」
頬杖を突きひとりごちしていると,生徒全員のボードに校長の[漢字]八椚[/漢字][ふりがな]やつくぬぎ[/ふりがな] [漢字]真岡[/漢字][ふりがな]もおか[/ふりがな]の姿が現れた。
それにより全員が改めて姿勢を正す。
「皆さん,おはようございます。担任の先生から連絡事項の説明は聞きましたね?」
時間がないのだろう,八椚校長はいきなり本題に入った。
「一つ一つ順を追って説明したいところですが今は時間がありません。ですので今後の指針を手短に説明しますね。まず始めに,私達人間は様々なやり方でロボットと戦うことになります。実際に戦うこともあれば画面越しに戦うことも...。」
心を抉るような言葉が次々と彼の口から飛び出る。
と同時に聞いているこちらも十分辛いがそれを自らの口で伝えなければならない校長はもっと辛いんだろうな,と優真は思った。
「私達はロボットのハッキングに対抗できるようにするための技術を学ばなければならないでしょう。しかし,既に政府は"アンドラ"からの協力要請も行っています。」
アンドラ,というのは地球から遠く離れた惑星。近頃の宇宙開発の技術はすさまじく,オプティマル社もその支援をしていたということで銀河系を遠く離れた場所にある惑星でさえも10分程度で辿り着くことができるようになった。
生態系や環境がパラレルワールドと言っても過言ではないほど似ており,何よりも人間と同じ言語や生活をしている人々がいたことでアンドラと地球はすぐに友好関係を結んだ。
今ではお互いの惑星からの旅行者も年々増加傾向にある。
そんなアンドラに住む人々だが地球人と明らかに異なる点が一つあった。
それは"生まれながらに能力を所持している"という点だった。
彼らは手から炎や氷を出現させたり物を浮かしたりすることが出来た。
1500年前に流行っていたらしいファンタジー小説というものに登場しそうな"魔法"という存在に近いものだ。
それに加え人間離れした抜群の身体能力を誇る者だっている。
地球人はそれに似た力を科学技術によってカバーしているがアンドラ人達にはそれが必要ない。
(確かにオプティマル社の製品が全て使用不可能となった今,アンドラ人に頼るのは無難だが...)
(いくら仲が良いとはいえそんな自分たちにかなりリスクを伴うこと引き受けるか...?)
優真もアンドラには一度だが行ったことがある。
現地の人は皆親切で一人だが友達だってできた。
「...アンドラの人々が協力するとは思えないと思っている人もいるかもしれませんが...」
気づけば今まさに優真が考えていることを八椚校長が話していた。
図星だった。
校長に心を見透かされているような気がして,彼は考えるのを止めた。
「[小文字]!?まさか...[/小文字]皆さん,たった今,アンドラの人たちが我々に協力することを決めたそうです!」
耳にはめたインフォーマーから受け取った情報をすぐさま伝える真岡。
[小文字]「え,つまりそれって_」[/小文字]
[小文字]「アンドラの人たち,協力してくれるんだ...」[/小文字]
[小文字]「ひとまず安心だね。」[/小文字]
教室内の数か所で小さな声で会話するクラスメイトの姿が窺えた。
言葉にせずとも安堵とまだ晴れぬ不安感混じりの顔でお互いに顔を見合わせる者もいた。
「しかしながらこれまで私達は生活を送るうえで必要な技術をの9割近くをオプティマル社に頼ってきました。これからは今まで通りの生活を送ることは不可能に等しいでしょうね。ですので_____!?」
真岡の耳に装着されているインフォーマーから突然不可解な音が鳴りだした。
危険を感じた彼がそれを外し机に置いたその瞬間...
[大文字][大文字]ドカン!![/大文字][/大文字]
インフォーマーは爆発を起こした。
幸い出火はなく校長にも怪我はなかったが机は大きく凹み,あたりにはインフォーマーを構成していたであろう部品の破片が飛散していた。
すぐにその処理をしようと動いた機械も同じような爆発を起こし,動かなくなった。
「どうやらサーバー乗っ取りの支障がもう生じてきましたね。これからはオプティマル社の製品には十分注意するように。......話は変わりますが今からロボットに対抗するための政府より出された案に沿ってグループ分けを__
そこからボードに今後校長の姿が映ることはなかった。
「え...噓だろ?」
「あ,そっか。これもオプティマル社の製品だから...」
ようやく教室がざわめきだした。
「こっからはこのボードもただ宙に浮かぶ半透明の板でしかなくなるわけだ...」
真っ黒になった画面を見つめながら優真は独り呟いた。
******
学校中のトランスボードが一つ残らず使用不可能となると,全校生徒が体育館に自らの足で集まるほかなかった。
その場にいた全員が面倒くささと不便さを感じると共に,オプティマル社の製品のありがたみを再認識することとなった。
そこから校長の話を聞き再び教室に戻る...ということがようやく終わった。
「あー...こんなに時間が掛かるとは。話聞きいてただけのはずなのに疲れたー」
あっという間にやってきた昼休みの時間。
誰もいない屋上にて,優真は希と昼ご飯を食べながら話していた。
昼ご飯と言っても錠剤一つで済むので会話がメインなのだが。
「校長先生の話では明日から戦闘訓練を受ける人とハッキングの技術を学ぶ人と情報収集をする人に分かれるって言ってたよね。優真はどうするの?」
フェンス越しに見える町をぼんやり見つめながら希は尋ねてきた。
「俺はやるとしたらハッキングかな。今までオプティマル社に入りたくてずっとその技術を勉強してきたから。」
希の隣でフェンスに背中をあずけながら,優真は答えた。
「じゃあ僕とは別れちゃうね...僕はあの中だったら実際に戦ったりするのが一番向いてるから」
希のこの言葉で,優真は彼がどこか遠くへ行ってしまうような気がした。
戦場へ出向いて戦うというというのはいつだって[打消し]"死"[/打消し]というリスクと隣り合わせだから。
人と話すということが苦手である優真にとって,たった一人の大親友が居なくなってしまうというのは嫌だから。
「本当に...それにすんのか?」
何となく予想はついていた。
この高校の生徒は他校に比べて身体能力が高い人がいる中でも希は間違いなくその上位に入る実力を持っているから。
人一倍正義感のある彼なら間違いなく戦闘を選択すると思っていたから。
それでも,優真は彼が傷つくことなく生きてほしかった。
「うん」
きっぱりとそう言う希の瞳にははっきりとした決意を感じた。
「そっか...。」
僅かな沈黙が流れた後。
[明朝体]キーンコーンカーンコーン...[/明朝体]
聞き慣れないチャイムが聞こえてきた。
その音に我に返った2人は校長の言葉を思いだした。
ー「今日からは授業及び休憩時間の終わり等はチャイムを鳴らしておしらせしますので,覚えておくように。」
「これがチャイムか」
「そうみたいだね」
2人はその音に素直に従うことにした。
その後,こんな状況下で2-Iに一人の転校生がやってくることとなる。