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作者による勝手な解釈,独自の世界観設定あり。苦手な方は回れ右。
ガラガラ,と音を立てながら教室のドアを開ける。
そこにはすでにほとんどの生徒がいた。
「ねーねーニュース聞いた~?」
「聞いた聞いた。KOKOROがやらかしちゃったやつだよね」
「私の家庭も買おうかってなってたんだけど買わなくて正解だった」
「それな」
「ていうか開発者でもサーバーを停止させられないってどういうことなんだろ?」
「KOKOROがハッキングした的な?」
「あー...あり得るかも」
教室内は今朝のニュースで持ち切りだった。
あちこちから"KOKORO"という単語が聞こえてくる。
(本当にどうなっちゃうんだろ...)
多少の危機感を感じながらも希は席につく。
するとその隣に人の形をしたホログラムが音もなく出現した。
「よっ,希!おはよー!」
声の主は希のクラスメイト,[漢字]本田[/漢字][ふりがな]ほんだ[/ふりがな] [漢字]武典[/漢字][ふりがな]たけのり[/ふりがな]だった。
「おはよー...あれ,ホログラム出席ってことは今家に居るの?体調不良?」
「そーそー。つってもさっき薬飲んだらすぐ治ったんだけどなー。家出るの面倒くさいからこっちにしたわ」
そんな会話を交わしながら武典は希の隣の席に座る。
ホログラムとは思えないほど精巧さに思わずまじまじと見つめてしまう。
が,これもオプティマル社の開発したものだと思うと少し怖いような気もした。
******
担任が教室に現れたのは数分後のことだった。
「わっ!?先生が来たー!」
「急げっ!!」
それに気付いて慌てて席に着く生徒たち。
と言っても半数以上は武典のようにホログラムでの出席であり,実際には家に居るのだが。
「おはようございます。皆さん,トランスボードは見ましたか?」
相変わらず生徒が慌てて着席する様子には目もくれず話しだす先生。
そんな彼女は生徒たちからは雪先生と呼ばれることが多かった。
[漢字]薄片[/漢字][ふりがな]はくへん[/ふりがな] [漢字]雪[/漢字][ふりがな]ゆき[/ふりがな]先生。
クールな性格に整った容姿を兼ね備えているところが特に男子からの人気の対象だった。
希もその例外ではない。
表裏等ないかのように振る舞う彼女の姿にどこか憧れを抱いていた。
「やっぱあの先生いつ見ても綺麗だよなー。希もそう思うだろ?」
雪先生の指示通りにトランスボードを開きながら,武典は希に同意を求めるかのように訊いた。
「うん」
と希は軽く頷いた。
先生が綺麗だと思うのは本心だし,隠す必要もなかったから。
しかし前触れもなく現れるのはいい加減止めてほしいのだが。
武典に続いて希もトランスボードを起動する。
起動,と言ってもただ空中に弧を描くだけという単純な動作だ。
これが開発されてからというもの,まずノートなんて物は無くなった。
いや,使われなくなった,という方が正しいのだろうか。
この空中に浮かぶボードを見るだけで今日一日の予定や連絡事項,授業内容等を一目で把握することができる。
これも例の大企業の製品だった。
「えっ...先生,これは一体......」
誰よりも早くトランスボードを確認した[漢字]泊崎[/漢字][ふりがな]はっさき[/ふりがな] [漢字]常名[/漢字][ふりがな]ひたな[/ふりがな]がその内容を見て青ざめた顔で雪先生へと視線を移した。
同じくボードの内容を確認し終えた生徒たちから困惑や驚きの声があがる。
「噓だろ,あの事件ここまで酷くなってんの?」
「やっぱインフォーマー付けとかないとニュースはすぐ追いつけなくなっちゃうね」
「校内使用禁止ってのどうにかなんないかな」
「そんなことよりもこれ,どういうことなんだろ?」
「KOKOROが戦争を起こすだなんて..」
[大文字]「静かに!」[/大文字]
雪先生の一言によって教室内のざわめきは一つ残らず消え去った。
普段怒鳴ったりしない先生が大声を出したのだから当然と言えば当然だった。
たちまち静まり返った生徒一人一人を見回しながら彼女は再び口を開いた。
「今朝のニュースで何となく察していた人もいるかもしれませんがそのボードに書いてあることは紛れもない[下線]事実[/下線]です。今からそれについて説明しますのでよく聞くように。」
いよいよ誰もが顔を青くした。
それでも言葉を発しようとする者は誰一人としていない。
「では,単刀直入に言いますと__」
雪先生も希たちと同じようにボードを起動する。
黒板代わりにもなるそのボードには錠剤のような写真が表示されていた。
「どうやら私達人間はどうやらロボットと戦争をしなければならないようです」
顔色一つ変えずに彼女は淡々と残酷なことを言った。
「本来は開発者であるオプティマル社がKOKOROの心臓とも言えるサーバーを停止及び破壊すれば済んだのですが...」
「[漢字]KOKORO[/漢字][ふりがな]むこう[/ふりがな]は最先端の技術が組み込まれたロボットです。」
「こうなることを予測してサーバーをハッキングしたのでしょう。ですのでロボット達を止めることは誰にも出来ないのです。」
ここまでは生徒用のボードに載っている内容だった。
しかし,生徒たちが注目しているのは誰もが先生の出したボードに映し出されている薬の写真の方だった。
これについての記述は一切なかった。
「現在オプティマル社の本社はKOKOROによって完全に乗っ取られています。この短時間で恐ろしい量のロボット達を味方に付けてね。」
知りたくもない情報が次々と脳へと飛び込んでくる。
希は今すぐにでも雪先生から目をそらしたい気分だった。
だが出来なかった。
自分がずっと気になっていたその写真を,先生が指したから。
「私達人間はそのロボットを破壊し,サーバーの主導権を取り戻さなくてはならない。ですが戦闘訓練を受けている人間などこの国にはほとんど居ないでしょうね。そこで...」
「数分前に開発されたこの薬を使うのです。」
雪先生がボードを軽くスクロールすると薬に関する説明がずらっと並んだ画面が表示された。
「身体能力...強化......」
それは自分たちが戦わなければならないということを示していた。
それに動揺したのか常名の口から思わず言葉が漏れた。
しかしそれを気にする者はいなかった。
全員が同じ心境だったから。
「ですので本日の授業は全て中止となります。数分後に校長先生からお話がありますのでそれまで教室で待機しておいてください。では。」
そう言い残し,雪先生は教室を後にした。
そこにはすでにほとんどの生徒がいた。
「ねーねーニュース聞いた~?」
「聞いた聞いた。KOKOROがやらかしちゃったやつだよね」
「私の家庭も買おうかってなってたんだけど買わなくて正解だった」
「それな」
「ていうか開発者でもサーバーを停止させられないってどういうことなんだろ?」
「KOKOROがハッキングした的な?」
「あー...あり得るかも」
教室内は今朝のニュースで持ち切りだった。
あちこちから"KOKORO"という単語が聞こえてくる。
(本当にどうなっちゃうんだろ...)
多少の危機感を感じながらも希は席につく。
するとその隣に人の形をしたホログラムが音もなく出現した。
「よっ,希!おはよー!」
声の主は希のクラスメイト,[漢字]本田[/漢字][ふりがな]ほんだ[/ふりがな] [漢字]武典[/漢字][ふりがな]たけのり[/ふりがな]だった。
「おはよー...あれ,ホログラム出席ってことは今家に居るの?体調不良?」
「そーそー。つってもさっき薬飲んだらすぐ治ったんだけどなー。家出るの面倒くさいからこっちにしたわ」
そんな会話を交わしながら武典は希の隣の席に座る。
ホログラムとは思えないほど精巧さに思わずまじまじと見つめてしまう。
が,これもオプティマル社の開発したものだと思うと少し怖いような気もした。
******
担任が教室に現れたのは数分後のことだった。
「わっ!?先生が来たー!」
「急げっ!!」
それに気付いて慌てて席に着く生徒たち。
と言っても半数以上は武典のようにホログラムでの出席であり,実際には家に居るのだが。
「おはようございます。皆さん,トランスボードは見ましたか?」
相変わらず生徒が慌てて着席する様子には目もくれず話しだす先生。
そんな彼女は生徒たちからは雪先生と呼ばれることが多かった。
[漢字]薄片[/漢字][ふりがな]はくへん[/ふりがな] [漢字]雪[/漢字][ふりがな]ゆき[/ふりがな]先生。
クールな性格に整った容姿を兼ね備えているところが特に男子からの人気の対象だった。
希もその例外ではない。
表裏等ないかのように振る舞う彼女の姿にどこか憧れを抱いていた。
「やっぱあの先生いつ見ても綺麗だよなー。希もそう思うだろ?」
雪先生の指示通りにトランスボードを開きながら,武典は希に同意を求めるかのように訊いた。
「うん」
と希は軽く頷いた。
先生が綺麗だと思うのは本心だし,隠す必要もなかったから。
しかし前触れもなく現れるのはいい加減止めてほしいのだが。
武典に続いて希もトランスボードを起動する。
起動,と言ってもただ空中に弧を描くだけという単純な動作だ。
これが開発されてからというもの,まずノートなんて物は無くなった。
いや,使われなくなった,という方が正しいのだろうか。
この空中に浮かぶボードを見るだけで今日一日の予定や連絡事項,授業内容等を一目で把握することができる。
これも例の大企業の製品だった。
「えっ...先生,これは一体......」
誰よりも早くトランスボードを確認した[漢字]泊崎[/漢字][ふりがな]はっさき[/ふりがな] [漢字]常名[/漢字][ふりがな]ひたな[/ふりがな]がその内容を見て青ざめた顔で雪先生へと視線を移した。
同じくボードの内容を確認し終えた生徒たちから困惑や驚きの声があがる。
「噓だろ,あの事件ここまで酷くなってんの?」
「やっぱインフォーマー付けとかないとニュースはすぐ追いつけなくなっちゃうね」
「校内使用禁止ってのどうにかなんないかな」
「そんなことよりもこれ,どういうことなんだろ?」
「KOKOROが戦争を起こすだなんて..」
[大文字]「静かに!」[/大文字]
雪先生の一言によって教室内のざわめきは一つ残らず消え去った。
普段怒鳴ったりしない先生が大声を出したのだから当然と言えば当然だった。
たちまち静まり返った生徒一人一人を見回しながら彼女は再び口を開いた。
「今朝のニュースで何となく察していた人もいるかもしれませんがそのボードに書いてあることは紛れもない[下線]事実[/下線]です。今からそれについて説明しますのでよく聞くように。」
いよいよ誰もが顔を青くした。
それでも言葉を発しようとする者は誰一人としていない。
「では,単刀直入に言いますと__」
雪先生も希たちと同じようにボードを起動する。
黒板代わりにもなるそのボードには錠剤のような写真が表示されていた。
「どうやら私達人間はどうやらロボットと戦争をしなければならないようです」
顔色一つ変えずに彼女は淡々と残酷なことを言った。
「本来は開発者であるオプティマル社がKOKOROの心臓とも言えるサーバーを停止及び破壊すれば済んだのですが...」
「[漢字]KOKORO[/漢字][ふりがな]むこう[/ふりがな]は最先端の技術が組み込まれたロボットです。」
「こうなることを予測してサーバーをハッキングしたのでしょう。ですのでロボット達を止めることは誰にも出来ないのです。」
ここまでは生徒用のボードに載っている内容だった。
しかし,生徒たちが注目しているのは誰もが先生の出したボードに映し出されている薬の写真の方だった。
これについての記述は一切なかった。
「現在オプティマル社の本社はKOKOROによって完全に乗っ取られています。この短時間で恐ろしい量のロボット達を味方に付けてね。」
知りたくもない情報が次々と脳へと飛び込んでくる。
希は今すぐにでも雪先生から目をそらしたい気分だった。
だが出来なかった。
自分がずっと気になっていたその写真を,先生が指したから。
「私達人間はそのロボットを破壊し,サーバーの主導権を取り戻さなくてはならない。ですが戦闘訓練を受けている人間などこの国にはほとんど居ないでしょうね。そこで...」
「数分前に開発されたこの薬を使うのです。」
雪先生がボードを軽くスクロールすると薬に関する説明がずらっと並んだ画面が表示された。
「身体能力...強化......」
それは自分たちが戦わなければならないということを示していた。
それに動揺したのか常名の口から思わず言葉が漏れた。
しかしそれを気にする者はいなかった。
全員が同じ心境だったから。
「ですので本日の授業は全て中止となります。数分後に校長先生からお話がありますのでそれまで教室で待機しておいてください。では。」
そう言い残し,雪先生は教室を後にした。