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グロテスクな描写,キャラ崩壊,急展開,厨二感半端ない文章(?)あり。
苦手な方は回れ右。
突如として命がけのゲームに参加させられたことに加え,ほとんど何の前触れもなく開催された特別イベント。
これはようやく落ち着いて情報整理を行うことが出来てきた参加者たちを再び混乱へと陥れた。
ゲームマスターによるゲリラ公開も原因の一つといえるだろう。
「やっと状況がのみこめるようになってきたと思ったらこれだよ...何なんですかこのイベント~...」
そう言いながら月下は〈町内会〉と〈部落会〉のみが持つバッジを胸ポケットに装着する。
「"退勢翼賛会"と言っておったが...ところで月下の役職は何なのじゃ?」
そう尋ねるしのかも同じバッジを手にしている。
「私は〈部落会〉でした。しのかさんは?」
「わしは〈町内会〉じゃ!」
月下と同様,しのかも胸あたりにバッジを付けた。
「そういえば町内会って能力が[下線]反対勢力を弾圧できる[/下線]としか説明にありませんでしたけど"弾圧"ってどういうことなんですか?」
カードキーに載っていた町内会の説明は鬼に対して"弾圧"という行為を行使することができることだけで,行為そのものの説明は無かった。
「確か個別に送られている役職の割り当ての方ではその意味も書いてあったな。確認するか」
こうして何度もカードキーを操作するうちに,その手付きに段々と慣れを感じてくる。
[明朝体]▼役職通達▼
貴方の役職は「町内会」です。
反対勢力である鬼を"弾圧"することができます。
(弾圧:視界に映った鬼を2分間攻撃不能にすることが出来る)
弾圧は2回使用可能です。[/明朝体]
「2分間攻撃不能って...すごい」
説明を読み終えた月下はその内容に驚き入っていた。
「あくまでも[下線]攻撃[/下線]不能じゃから相手も動きはするじゃろうがな」
「あっ,そうか。でも十分強いじゃないですか!私なんて能力なし,のたった一文でしたよー...」
そんな二人の和気藹々とした会話を影から覗く存在がいることに,彼女たちは気づいていなかった。
******
「[漢字]星河[/漢字][ふりがな]せいが[/ふりがな]さ~ん!二人分ですけど役職の情報,入手してきたっすよ~!!」
鴉のような真っ黒な翼を背中から生やした少年が空中から勢いよく地上に降り立った。
「わざわざすいません。貴方のその能力,とても助かります。」
ペンとメモ帳を持って彼の報告を待つ星河と呼ばれた執事服の青年。彼は[漢字]天ヶ崎[/漢字][ふりがな]あまがさき[/ふりがな] 星河。役職は〈市区町村支部〉である。
「いえいえ,自分が〈大都市支部〉である以上鬼を倒すまで能力を発揮できないっすからね!皆さんのお力になりたいので精一杯頑張るっすよ!」
そしてこちらの翼をもつ少年は[漢字]天翼[/漢字][ふりがな]てんよく[/ふりがな] [漢字]羽月[/漢字][ふりがな]うづき[/ふりがな]。
「じゃあさっき耳にした二人の役職を報告しますね。一人目は鬼灯しのかさんという方で役職は〈町内会〉だと言ってました。二人目は美園月下さんって方で役職は〈部落会〉っす!」
羽月の言ったことを一字一句漏らさずにメモ帳に書き留める星河。
「成程。これで役職が分かったのは私達を除いて四人目ですね」
そう言って彼はメモ帳を閉じた。
[明朝体]▼記録通達▼
鬼灯 しのか:役職は「町内会」
美園 月下:役職は「部落会」[/明朝体]
「いつの間にか自分たちの役職が共有されてたら驚くだろうな~,まぁ僕には関係ないけど」
軽く欠伸をしながら羽月の報告を聞いていた冷。彼も星河の言う"私達"の一員だった。
「確かにそうだね。むこうは肝でも冷やしてるんじゃないか~?」
冷に続き伊織も口を開く。
「そういやお前の役職は何なんだ?星河と羽月は分かったけど」
補足説明をすると伊織の役職は本人曰く〈町内会〉だそうだ。
その隣でずっとカードキーを見つめている少年,ルナティ・リバーサルは〈天皇〉らしい。
「僕~?僕は〈道府県支部〉ってやつだったな。」
「へぇ,冷だったか?じゃあ今お前身体能力が倍になってんのか?」
「[小文字]一緒に行動してる相手の名前ぐらいちゃんと覚えてよね。[/小文字]よく分かんないけど多分そうなんじゃないかな?何となくいつもより体が軽い気がするけど....そんなことよりも眠い~」
尚も欠伸をする冷。
「らしいよ天皇さん。」
冷から役職を聞き出した伊織はルナの方に顔を向ける。
「...そのようですね。ところで伊織さん,自分のことを天皇呼びするのは止めてください....」
突然話を振られたルナはどこかおどおどしながらも応える。
「そう言えばルナさんはともかく自分たちの役職は記録しなくてもいいんすか?」
星河を見て尋ねる羽月。
「俺たちの役職は言わなくてもいいじゃないか~?そっちの方が面白い」
「面白いって...伊織さんってなんか不思議っすね」
「そうか?」
「相手も何をしてくるか分かりませんからね。わざわざこちらから明かす必要もないでしょう。」
「確かに...星河さんの言う通りっすね!」
「じゃあ自分,別の参加者の役職,調査してくるっす!」
そう言い残すと羽月は再び空へと飛んでいった。
「随分と熱心なようで。んでこっちはどうするよ?他の奴らは今頃必死に天皇探しでもしてるんじゃないか~?」
羽月の後ろ姿を見送りながら伊織は誰ともなしに呟いていた。
******
伊織の予想通り,ほとんどの参加者は天皇の役職をもつ者を探していた。
ただ単に他の参加者のことを知りたいだけの者や天皇を守りたいという者,〈道府県支部〉という役職の特性上なるべく天皇の傍にいたいという者等,それぞれの意図は異なるものだった。
その例外ではない星崎姉妹は先ほど知り合った[漢字]鈴蘭[/漢字][ふりがな]すずらん[/ふりがな] [漢字]橙智[/漢字][ふりがな]だいち[/ふりがな]と共に天皇探しを行っていた。
「仮想空間も意外と広いもんなんですね~天皇を見つけるの,時間がかかりそう」
橙智の言う通り,天皇を見つけるには鬼に警戒しながらも広範囲を移動しなくてはならない。
それにはかなりの集中力と体力が削られる。
「だよね!でも天皇を見つけたらお姉ちゃんがもっと強くなるし,天皇を守れる人も増えるから__
そこまで言って永夢は言葉を切った。
彼女の目は空を捉えていた。
その理由は口に出さなくてもすぐに分かった。
真っ暗な空に明るい光が差す。
「仮想空間だからずっと夜なんだと思ってたけど...朝もあるみたいだね!」
永夢の言葉に来夢と橙智は頷く。
太陽のようなものが地平線から昇ってくる様子は現実の世界にある日の出と大差ないものだった。
その景色を眺めていた三人のもとに記録通達が届いた。
[明朝体]▼記録通達▼
行里 零:役職は「部落会」
行里 凛:役職は「市区町村支部」
雨雫 瀾:役職は「大都市支部」[/明朝体]
*****
「そっか~天皇探してるんだ。じゃあひな達といっしょだね!」
星崎姉妹たちと同じように天皇探しをしていた雛達一同は行里兄妹・瀾のグループと遭遇した。
目的は同じということで一旦は一緒に行動することになったようだ。
「そういやお前らって俺ら以外の奴と会ったりしたか?」
次第に明るくなっていく住宅街を歩きながら,しょたは早速零と情報交換をしていた。
「僕たちは誰とも出会わなかったね。鬼となら遭遇したけれど。」
「えっ,もう鬼と会ったのか?」
さらに,零たちが鬼と戦ったことを知ったしょたは目を輝かせてその話をせがんでいた。
こちらでは凛と雛,凪と瀾が言葉を交わしていた。
「凛ちゃんって言うんだね!よろしく!!」
凛は初対面の雛を前に緊張していたが,雛の方はそうでもなく持ち前の明るさを発揮している。
「えぇっと,よろしくお願いします...雛さん」
大人数で行動するのは苦手な凛だが,雛の会話には応じていた。
「参加者の情報が0に等しい状態ですからね...もう少し情報が欲しい所存です」
「だよなー。せめて名前一覧,とか欲しいよな」
天皇の予想を試みようにも情報の少なさに嘆く凪と瀾。
「やっぱ地道に探していくしかないかー...」
どこか暗い顔をする二人とは対照的に,東の空は完全に明るくなっていた。
******
こちらはまだやや暗い西側のエリア。
「わざわざ探し出す必要もないだろ」
どうやら天皇探しをするかどうか,ということで話し合っている模様。
「そうですねー。他の人たちが探していると思いますし」
細い路地を歩く二人の影。
「じゃあ[漢字]蓮[/漢字][ふりがな]れん[/ふりがな]さん。私達は鬼の人数,減らしときましょうよ」
その声の主である[漢字]桃彩[/漢字][ふりがな]ももてる[/ふりがな] [漢字]水泉[/漢字][ふりがな]すいせん[/ふりがな]はセミロングの桃色髪を揺らしながら笑顔で喋る。
その隣を歩く蓮と呼ばれた少年はというと無表情のままただ正面を見ていた。
「ちょっと聞いてますかー?蓮さーん,蓮ーさーん?...[漢字]緋勇[/漢字][ふりがな]ひゆう[/ふりがな]蓮さーん‼」
「うるさい。」
「あ,やっと反応しましたね。それでどうします?」
水泉と共に行動をしている蓮は伊織の兄である。
しかし,自己紹介を2秒で終わらせた彼の家族構成など当然水泉は知らない。
「俺らはそれでいいだろ。わざわざむこうから二体も出てきてくれるようだがな。」
「あ,本当だ。ラッキーですね」
鬼に遭遇しても二人は一切動揺していない。水泉の方はむしろ笑っているぐらいだ。
鬼の方もそれには構わず突っ込んでくる。
しかし...
「はい,残念♪」
次の瞬間,それは粉砕されていた。
まるで誰かが時を止めたかのように,恐ろしい速さで。
「へぇー...撃破した人の[漢字]下[/漢字][ふりがな]もと[/ふりがな]にだけ倒した鬼の役職が送られてくるんですねー」
水泉は何事もなかったかのように再び歩き始める。蓮も何も言わずその後に続いた。
「一応通達しとこっと」
水泉は〈市区町村支部〉であることを意味するペンとメモ帳を取り出した。
[明朝体]▼情報通達▼
「部落会」の鬼を二体撃破。
撃破された鬼は天皇或いは道府県支部ではない。[/明朝体]
「ふーん。鬼は役職が天皇と道府県支部と部落会しか無いんですねー」
水泉はその言葉に加え,それにメモ帳にどういう風に書いても送られる文章は決められた形式になる,と付け足した。
「Lv.2とLv.3ってどれもこんなもんなんですかね?張り合い甲斐がないなー...」
こんなもん,というのは鬼の強さのことだろう。
「強くない方が楽だろう。早く片付けられる」
「そうですね。でもあのゲームマスター説明がいい加減だったから全部が全部こうではないかもしれませんけどね」
「一理あるな」
「でしょう?」
蓮が多少口数が増えたことが水泉にとって嬉しいようだった。
「そういえばイベント中は通常の鬼はいないんですかね?」
「おそらくそうだろう。イベント開始直前に俺たちを狙ってたのが放送と同時に消えたからな。」
「えっ?そうだったんですか?因みにその鬼って何色の目してました?」
「赤色だ。」
一瞬とは言えLv.4の鬼に遭遇していた二人。
「えー,何で言ってくれなかったんですか。相手してみたかったのにー」
そう言った水泉は笑顔という言葉だけでは表せない,狂気に満ちた,と言っても過言ではない表情をしていた。
******
「あー...これ鬼の強さがLv.4以上のものもあるって気づいた人もいるっぽいなー。まぁいっか」
変わらず暗いモニタールームではフロワが一人呟いていた。
これはようやく落ち着いて情報整理を行うことが出来てきた参加者たちを再び混乱へと陥れた。
ゲームマスターによるゲリラ公開も原因の一つといえるだろう。
「やっと状況がのみこめるようになってきたと思ったらこれだよ...何なんですかこのイベント~...」
そう言いながら月下は〈町内会〉と〈部落会〉のみが持つバッジを胸ポケットに装着する。
「"退勢翼賛会"と言っておったが...ところで月下の役職は何なのじゃ?」
そう尋ねるしのかも同じバッジを手にしている。
「私は〈部落会〉でした。しのかさんは?」
「わしは〈町内会〉じゃ!」
月下と同様,しのかも胸あたりにバッジを付けた。
「そういえば町内会って能力が[下線]反対勢力を弾圧できる[/下線]としか説明にありませんでしたけど"弾圧"ってどういうことなんですか?」
カードキーに載っていた町内会の説明は鬼に対して"弾圧"という行為を行使することができることだけで,行為そのものの説明は無かった。
「確か個別に送られている役職の割り当ての方ではその意味も書いてあったな。確認するか」
こうして何度もカードキーを操作するうちに,その手付きに段々と慣れを感じてくる。
[明朝体]▼役職通達▼
貴方の役職は「町内会」です。
反対勢力である鬼を"弾圧"することができます。
(弾圧:視界に映った鬼を2分間攻撃不能にすることが出来る)
弾圧は2回使用可能です。[/明朝体]
「2分間攻撃不能って...すごい」
説明を読み終えた月下はその内容に驚き入っていた。
「あくまでも[下線]攻撃[/下線]不能じゃから相手も動きはするじゃろうがな」
「あっ,そうか。でも十分強いじゃないですか!私なんて能力なし,のたった一文でしたよー...」
そんな二人の和気藹々とした会話を影から覗く存在がいることに,彼女たちは気づいていなかった。
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「[漢字]星河[/漢字][ふりがな]せいが[/ふりがな]さ~ん!二人分ですけど役職の情報,入手してきたっすよ~!!」
鴉のような真っ黒な翼を背中から生やした少年が空中から勢いよく地上に降り立った。
「わざわざすいません。貴方のその能力,とても助かります。」
ペンとメモ帳を持って彼の報告を待つ星河と呼ばれた執事服の青年。彼は[漢字]天ヶ崎[/漢字][ふりがな]あまがさき[/ふりがな] 星河。役職は〈市区町村支部〉である。
「いえいえ,自分が〈大都市支部〉である以上鬼を倒すまで能力を発揮できないっすからね!皆さんのお力になりたいので精一杯頑張るっすよ!」
そしてこちらの翼をもつ少年は[漢字]天翼[/漢字][ふりがな]てんよく[/ふりがな] [漢字]羽月[/漢字][ふりがな]うづき[/ふりがな]。
「じゃあさっき耳にした二人の役職を報告しますね。一人目は鬼灯しのかさんという方で役職は〈町内会〉だと言ってました。二人目は美園月下さんって方で役職は〈部落会〉っす!」
羽月の言ったことを一字一句漏らさずにメモ帳に書き留める星河。
「成程。これで役職が分かったのは私達を除いて四人目ですね」
そう言って彼はメモ帳を閉じた。
[明朝体]▼記録通達▼
鬼灯 しのか:役職は「町内会」
美園 月下:役職は「部落会」[/明朝体]
「いつの間にか自分たちの役職が共有されてたら驚くだろうな~,まぁ僕には関係ないけど」
軽く欠伸をしながら羽月の報告を聞いていた冷。彼も星河の言う"私達"の一員だった。
「確かにそうだね。むこうは肝でも冷やしてるんじゃないか~?」
冷に続き伊織も口を開く。
「そういやお前の役職は何なんだ?星河と羽月は分かったけど」
補足説明をすると伊織の役職は本人曰く〈町内会〉だそうだ。
その隣でずっとカードキーを見つめている少年,ルナティ・リバーサルは〈天皇〉らしい。
「僕~?僕は〈道府県支部〉ってやつだったな。」
「へぇ,冷だったか?じゃあ今お前身体能力が倍になってんのか?」
「[小文字]一緒に行動してる相手の名前ぐらいちゃんと覚えてよね。[/小文字]よく分かんないけど多分そうなんじゃないかな?何となくいつもより体が軽い気がするけど....そんなことよりも眠い~」
尚も欠伸をする冷。
「らしいよ天皇さん。」
冷から役職を聞き出した伊織はルナの方に顔を向ける。
「...そのようですね。ところで伊織さん,自分のことを天皇呼びするのは止めてください....」
突然話を振られたルナはどこかおどおどしながらも応える。
「そう言えばルナさんはともかく自分たちの役職は記録しなくてもいいんすか?」
星河を見て尋ねる羽月。
「俺たちの役職は言わなくてもいいじゃないか~?そっちの方が面白い」
「面白いって...伊織さんってなんか不思議っすね」
「そうか?」
「相手も何をしてくるか分かりませんからね。わざわざこちらから明かす必要もないでしょう。」
「確かに...星河さんの言う通りっすね!」
「じゃあ自分,別の参加者の役職,調査してくるっす!」
そう言い残すと羽月は再び空へと飛んでいった。
「随分と熱心なようで。んでこっちはどうするよ?他の奴らは今頃必死に天皇探しでもしてるんじゃないか~?」
羽月の後ろ姿を見送りながら伊織は誰ともなしに呟いていた。
******
伊織の予想通り,ほとんどの参加者は天皇の役職をもつ者を探していた。
ただ単に他の参加者のことを知りたいだけの者や天皇を守りたいという者,〈道府県支部〉という役職の特性上なるべく天皇の傍にいたいという者等,それぞれの意図は異なるものだった。
その例外ではない星崎姉妹は先ほど知り合った[漢字]鈴蘭[/漢字][ふりがな]すずらん[/ふりがな] [漢字]橙智[/漢字][ふりがな]だいち[/ふりがな]と共に天皇探しを行っていた。
「仮想空間も意外と広いもんなんですね~天皇を見つけるの,時間がかかりそう」
橙智の言う通り,天皇を見つけるには鬼に警戒しながらも広範囲を移動しなくてはならない。
それにはかなりの集中力と体力が削られる。
「だよね!でも天皇を見つけたらお姉ちゃんがもっと強くなるし,天皇を守れる人も増えるから__
そこまで言って永夢は言葉を切った。
彼女の目は空を捉えていた。
その理由は口に出さなくてもすぐに分かった。
真っ暗な空に明るい光が差す。
「仮想空間だからずっと夜なんだと思ってたけど...朝もあるみたいだね!」
永夢の言葉に来夢と橙智は頷く。
太陽のようなものが地平線から昇ってくる様子は現実の世界にある日の出と大差ないものだった。
その景色を眺めていた三人のもとに記録通達が届いた。
[明朝体]▼記録通達▼
行里 零:役職は「部落会」
行里 凛:役職は「市区町村支部」
雨雫 瀾:役職は「大都市支部」[/明朝体]
*****
「そっか~天皇探してるんだ。じゃあひな達といっしょだね!」
星崎姉妹たちと同じように天皇探しをしていた雛達一同は行里兄妹・瀾のグループと遭遇した。
目的は同じということで一旦は一緒に行動することになったようだ。
「そういやお前らって俺ら以外の奴と会ったりしたか?」
次第に明るくなっていく住宅街を歩きながら,しょたは早速零と情報交換をしていた。
「僕たちは誰とも出会わなかったね。鬼となら遭遇したけれど。」
「えっ,もう鬼と会ったのか?」
さらに,零たちが鬼と戦ったことを知ったしょたは目を輝かせてその話をせがんでいた。
こちらでは凛と雛,凪と瀾が言葉を交わしていた。
「凛ちゃんって言うんだね!よろしく!!」
凛は初対面の雛を前に緊張していたが,雛の方はそうでもなく持ち前の明るさを発揮している。
「えぇっと,よろしくお願いします...雛さん」
大人数で行動するのは苦手な凛だが,雛の会話には応じていた。
「参加者の情報が0に等しい状態ですからね...もう少し情報が欲しい所存です」
「だよなー。せめて名前一覧,とか欲しいよな」
天皇の予想を試みようにも情報の少なさに嘆く凪と瀾。
「やっぱ地道に探していくしかないかー...」
どこか暗い顔をする二人とは対照的に,東の空は完全に明るくなっていた。
******
こちらはまだやや暗い西側のエリア。
「わざわざ探し出す必要もないだろ」
どうやら天皇探しをするかどうか,ということで話し合っている模様。
「そうですねー。他の人たちが探していると思いますし」
細い路地を歩く二人の影。
「じゃあ[漢字]蓮[/漢字][ふりがな]れん[/ふりがな]さん。私達は鬼の人数,減らしときましょうよ」
その声の主である[漢字]桃彩[/漢字][ふりがな]ももてる[/ふりがな] [漢字]水泉[/漢字][ふりがな]すいせん[/ふりがな]はセミロングの桃色髪を揺らしながら笑顔で喋る。
その隣を歩く蓮と呼ばれた少年はというと無表情のままただ正面を見ていた。
「ちょっと聞いてますかー?蓮さーん,蓮ーさーん?...[漢字]緋勇[/漢字][ふりがな]ひゆう[/ふりがな]蓮さーん‼」
「うるさい。」
「あ,やっと反応しましたね。それでどうします?」
水泉と共に行動をしている蓮は伊織の兄である。
しかし,自己紹介を2秒で終わらせた彼の家族構成など当然水泉は知らない。
「俺らはそれでいいだろ。わざわざむこうから二体も出てきてくれるようだがな。」
「あ,本当だ。ラッキーですね」
鬼に遭遇しても二人は一切動揺していない。水泉の方はむしろ笑っているぐらいだ。
鬼の方もそれには構わず突っ込んでくる。
しかし...
「はい,残念♪」
次の瞬間,それは粉砕されていた。
まるで誰かが時を止めたかのように,恐ろしい速さで。
「へぇー...撃破した人の[漢字]下[/漢字][ふりがな]もと[/ふりがな]にだけ倒した鬼の役職が送られてくるんですねー」
水泉は何事もなかったかのように再び歩き始める。蓮も何も言わずその後に続いた。
「一応通達しとこっと」
水泉は〈市区町村支部〉であることを意味するペンとメモ帳を取り出した。
[明朝体]▼情報通達▼
「部落会」の鬼を二体撃破。
撃破された鬼は天皇或いは道府県支部ではない。[/明朝体]
「ふーん。鬼は役職が天皇と道府県支部と部落会しか無いんですねー」
水泉はその言葉に加え,それにメモ帳にどういう風に書いても送られる文章は決められた形式になる,と付け足した。
「Lv.2とLv.3ってどれもこんなもんなんですかね?張り合い甲斐がないなー...」
こんなもん,というのは鬼の強さのことだろう。
「強くない方が楽だろう。早く片付けられる」
「そうですね。でもあのゲームマスター説明がいい加減だったから全部が全部こうではないかもしれませんけどね」
「一理あるな」
「でしょう?」
蓮が多少口数が増えたことが水泉にとって嬉しいようだった。
「そういえばイベント中は通常の鬼はいないんですかね?」
「おそらくそうだろう。イベント開始直前に俺たちを狙ってたのが放送と同時に消えたからな。」
「えっ?そうだったんですか?因みにその鬼って何色の目してました?」
「赤色だ。」
一瞬とは言えLv.4の鬼に遭遇していた二人。
「えー,何で言ってくれなかったんですか。相手してみたかったのにー」
そう言った水泉は笑顔という言葉だけでは表せない,狂気に満ちた,と言っても過言ではない表情をしていた。
******
「あー...これ鬼の強さがLv.4以上のものもあるって気づいた人もいるっぽいなー。まぁいっか」
変わらず暗いモニタールームではフロワが一人呟いていた。