「俺、どうしても負けたくない相手がいるんです!」
「演技は勝負ではないと言っているだろう?」
マネージャーの[漢字]橘[/漢字][ふりがな]たちばな[/ふりがな][漢字]三月[/漢字][ふりがな]みつき[/ふりがな]さん。いつも厳しく、誉めてもらったことなんてない。
今は現場に向かっている途中。映画の出演者と顔合わせするそうだ。
「お願いします!和泉葵にだけは···!」
橘さんの体が動いた。橘さんは俺を見た。
「和泉葵···一ノ瀬琉生の所の?」
信号が青に変わり、橘さんはハンドルを握り直した。
「俺、主役になりたいんです」
いつもだったら言えなかった"主役"という言葉が今日はするりと出てきた。
「あ?主役?諦めろ、どうせお前は···」
「お願いします。俺、本当の主役になりたいんです···!」
橘さんは何も言わなくなった。俺も口をつぐんだ。
本当の主役って、なんだろう。俺が愛されればいいの?それとも、ただ俺がみんなを愛せばいいの?
震える手に、水滴がこぼれ落ちるのがわかった。
「演技は勝負ではないと言っているだろう?」
マネージャーの[漢字]橘[/漢字][ふりがな]たちばな[/ふりがな][漢字]三月[/漢字][ふりがな]みつき[/ふりがな]さん。いつも厳しく、誉めてもらったことなんてない。
今は現場に向かっている途中。映画の出演者と顔合わせするそうだ。
「お願いします!和泉葵にだけは···!」
橘さんの体が動いた。橘さんは俺を見た。
「和泉葵···一ノ瀬琉生の所の?」
信号が青に変わり、橘さんはハンドルを握り直した。
「俺、主役になりたいんです」
いつもだったら言えなかった"主役"という言葉が今日はするりと出てきた。
「あ?主役?諦めろ、どうせお前は···」
「お願いします。俺、本当の主役になりたいんです···!」
橘さんは何も言わなくなった。俺も口をつぐんだ。
本当の主役って、なんだろう。俺が愛されればいいの?それとも、ただ俺がみんなを愛せばいいの?
震える手に、水滴がこぼれ落ちるのがわかった。