美しい鬱物語
コンコン―
「ご飯持ってきたよ、食べる?」
「っ···いらない」
なんでこうなんだろう。いつからだっけ?狭くて、暗くて、何もない。そんな冷たい牢獄に閉じ込められていたのは、どうしてだっけ?あぁ、やっぱり思い出せない。
僕は[漢字]露崎千影[/漢字][ふりがな]つゆさきちかげ[/ふりがな]。いつも独りでここにいる。カーテンは閉めきり、僕はベッドに横になる。なにより、ここに人間は入れない。僕は自分が嫌いだ。人間だって嫌いだ。こんな僕を見せるのが怖いし、いつかの記憶がフラッシュバックしてしまう。家族は僕を捨てたし、学校に通っていないから大した知能もない。こんな僕は―
「誠に申しあげにくいのですが、千影くんはうつ病、ですね」
いつだか忘れたけれど、そう診断された。信じられなくて、怖くて。何をしたかは思い出せないけれど、気付けば何年も独りでここで生活していた。僕は不幸で、可哀想で。ずっと押し入れの奥に閉じ籠っている感覚だった。それが一番、楽だったから。
「千影くん、ここに新しいお友達を呼んでもいいかな?」
「は?無理···」
唐突に扉越しに話しかけられた。友達?いらないし。そもそもなんで···
「千影くん、こんにちは!僕は[漢字]大場[/漢字][ふりがな]おおば[/ふりがな]ひかり!君と仲良くなりたいんだ!ここを開けてくれないかな?」
声が変わった。そこにいるのか?嘘だろ?それなのに、体が勝手に扉の方へ動く。あぁ、もういいや。
ガラッ―
僕は扉を思い切り開けた。
「ハアッ、ハアッ、ハアッ···」
息が苦しい。そこにいたのは、笑顔で僕を見つめる、同い年くらいの少年がいた。彼が、大場ひかり?
「初めまして!大場ひかりっていうんだ!よろしくね!」
何故か、彼が憎くて憎くて仕方がなかった。彼は僕が求めているものを、全部持っている気がしたからだ。
「っ···やっぱり無理!」
「待ってよ、千影くん!」
ひかりに手を掴まれる。
「離せよっ···」
「離さないよ···君がここから逃げ出すまでね!」
逃げ出す?何馬鹿げたことを言っているんだ?
つまらないことを思い出させるな。こんなに苦しんでるのに。それなのに···
「ふざけないでよ···」
僕はつぶやいた。
「逃げ出したいなんて、ずっとずっと願っていたのに。今さらそんなの···!」
「大丈夫だよ、一緒に行こう?」
ひかりはただ、真っ直ぐに僕を見つめた。まるで、僕は君の光だとでも言うように。
[大文字]やっと、思い出したよ。[/大文字]
僕は―ひかりの親友だったんだ。それなのに、僕はここに長らくいたから会えなくなって。
「ひかり···僕は決めたよ。逃げ出さないって」
「え?どうして···」
「そうじゃないって。僕は自分から逃げ出さない。それでいいんだよね」
「あ···うん!」
僕は僕だ。だから、これからも自分に正直に生きていこう。君が僕に伝えてくれたように。
「ご飯持ってきたよ、食べる?」
「っ···いらない」
なんでこうなんだろう。いつからだっけ?狭くて、暗くて、何もない。そんな冷たい牢獄に閉じ込められていたのは、どうしてだっけ?あぁ、やっぱり思い出せない。
僕は[漢字]露崎千影[/漢字][ふりがな]つゆさきちかげ[/ふりがな]。いつも独りでここにいる。カーテンは閉めきり、僕はベッドに横になる。なにより、ここに人間は入れない。僕は自分が嫌いだ。人間だって嫌いだ。こんな僕を見せるのが怖いし、いつかの記憶がフラッシュバックしてしまう。家族は僕を捨てたし、学校に通っていないから大した知能もない。こんな僕は―
「誠に申しあげにくいのですが、千影くんはうつ病、ですね」
いつだか忘れたけれど、そう診断された。信じられなくて、怖くて。何をしたかは思い出せないけれど、気付けば何年も独りでここで生活していた。僕は不幸で、可哀想で。ずっと押し入れの奥に閉じ籠っている感覚だった。それが一番、楽だったから。
「千影くん、ここに新しいお友達を呼んでもいいかな?」
「は?無理···」
唐突に扉越しに話しかけられた。友達?いらないし。そもそもなんで···
「千影くん、こんにちは!僕は[漢字]大場[/漢字][ふりがな]おおば[/ふりがな]ひかり!君と仲良くなりたいんだ!ここを開けてくれないかな?」
声が変わった。そこにいるのか?嘘だろ?それなのに、体が勝手に扉の方へ動く。あぁ、もういいや。
ガラッ―
僕は扉を思い切り開けた。
「ハアッ、ハアッ、ハアッ···」
息が苦しい。そこにいたのは、笑顔で僕を見つめる、同い年くらいの少年がいた。彼が、大場ひかり?
「初めまして!大場ひかりっていうんだ!よろしくね!」
何故か、彼が憎くて憎くて仕方がなかった。彼は僕が求めているものを、全部持っている気がしたからだ。
「っ···やっぱり無理!」
「待ってよ、千影くん!」
ひかりに手を掴まれる。
「離せよっ···」
「離さないよ···君がここから逃げ出すまでね!」
逃げ出す?何馬鹿げたことを言っているんだ?
つまらないことを思い出させるな。こんなに苦しんでるのに。それなのに···
「ふざけないでよ···」
僕はつぶやいた。
「逃げ出したいなんて、ずっとずっと願っていたのに。今さらそんなの···!」
「大丈夫だよ、一緒に行こう?」
ひかりはただ、真っ直ぐに僕を見つめた。まるで、僕は君の光だとでも言うように。
[大文字]やっと、思い出したよ。[/大文字]
僕は―ひかりの親友だったんだ。それなのに、僕はここに長らくいたから会えなくなって。
「ひかり···僕は決めたよ。逃げ出さないって」
「え?どうして···」
「そうじゃないって。僕は自分から逃げ出さない。それでいいんだよね」
「あ···うん!」
僕は僕だ。だから、これからも自分に正直に生きていこう。君が僕に伝えてくれたように。
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