「戦闘員撫子、ただいま戻りました」
頭に齧り付いてくる白狐をいなしながら、そう大和本部の職員たちに帰還を報告する。
何人かが帰還を喜ぶ声を挙げていると、同期たちが声をかけてきた。
「おかえり、撫子。どうだった?」
[漢字]楓[/漢字][ふりがな]かえで[/ふりがな]が読んでいた本を閉じて任務の調子を問いかけてくる。まあまあかな、と答える。
「お帰りなさい撫子さん。無事でよかったです」
[漢字] 泰那[/漢字][ふりがな]たいな[/ふりがな]が黒にふち取られたメガネ越しに、無事でよかったと声をかけてきた。
「ありがとう、二人とも。他の2人は?」
二人は任務中らしい。二人して朝だというのにどこに派遣されているのやら。
それにしても人員不足は深刻だ。今回私が行った任務だって、本当はもっと下の階級の戦闘員が行くはずだった。
式神を戦闘に出すたびに寿命を削られる私は、あまり一般任務は行わない方が望ましいのに。
「ところで撫子の頭に齧り付いている[漢字]白狐[/漢字][ふりがな]エキノコックス[/ふりがな]は放っておいていいの?」
呆れ顔の楓から鋭いツッコミが飛んできた。泰那も頷いている。随分な嫌われようだな、白狐も。
仕方がないので白狐に助け舟を出そうとすると、また白狐が憎まれ口を叩いた。
「なんじゃ、妾のなすことに文句があるというのか?妾よりも弱いくせに、よく吠える獣じゃのう」
「はあ?撫子の寿命がないと戦えない寄生虫がよくそんなこと言えたわね!ルイ、出てきて!」
ヒートアップする1人と1匹。白狐と楓が顔を合わせると、いつもこうなる。
「はーい、どっちもそこまで。お姉さんが帰ってきたぞー!また喧嘩してんのか、そこの二人」
止めてくれたのは[漢字]澪[/漢字][ふりがな]みお[/ふりがな]、さん。この中では一番年上。そして、みんなのまとめ役である。
楓と白狐の動きがピタッと止まる。前、散々お叱り受けてたからなぁ。
泰那と澪さんが会話している。どうやら、泰那が上司から何やら聞いたらしい。
「あの、澪さんの任務先で廃墟になった洋館に出た幽霊が、急に上位の妖である怨霊に変わったって聞いたんですけど…実際どうだったんですか?」
「あー。それがね、本当に途中から強くなったんだよ。なんか囁くような声が聞こえた後に、急に幽霊が強くなって苦戦したよ。あの幽霊、強くなったと思ったら幽霊から怨霊に変わってたのかぁ」
「澪さんの任務でそれが起きたのなら…おかしいですね。幽霊から怨霊への不自然な昇格は理論上ありえないはずです。しかも戦闘中になんて尚更。誰かが妖の進化を促している可能性が高い。……誰が妖の強化なんてするんだッ!」
「まあまあ、落ち着いて泰那くん。まだ決まったわけじゃないんだからさ。」
澪さんと泰那の話をこっそり聞いていた私はハッとした。そういえば私の足が突然凍りつく前、声がしたような気がする。
微かに聞こえた少年のような甘い声。澪さんの話と繋がるところがある。
「あの、澪さん、その聞こえた声って『戦闘員、霧間 澪。最上位司令官から話があるそうだ。なんだか、急に妖が強くなった件についてらしいぞ』」
私の問いかけは途中で遮られた。でも妖の件についてらしい。好都合だ。
「私もその件について話があります。私も最上位司令官のところに連れて行ってください!」
いつの間にか地面に降りていた白狐が、またややこしいことに首を突っ込んで、と言いたげな顔をこちらに向けていた。
頭に齧り付いてくる白狐をいなしながら、そう大和本部の職員たちに帰還を報告する。
何人かが帰還を喜ぶ声を挙げていると、同期たちが声をかけてきた。
「おかえり、撫子。どうだった?」
[漢字]楓[/漢字][ふりがな]かえで[/ふりがな]が読んでいた本を閉じて任務の調子を問いかけてくる。まあまあかな、と答える。
「お帰りなさい撫子さん。無事でよかったです」
[漢字] 泰那[/漢字][ふりがな]たいな[/ふりがな]が黒にふち取られたメガネ越しに、無事でよかったと声をかけてきた。
「ありがとう、二人とも。他の2人は?」
二人は任務中らしい。二人して朝だというのにどこに派遣されているのやら。
それにしても人員不足は深刻だ。今回私が行った任務だって、本当はもっと下の階級の戦闘員が行くはずだった。
式神を戦闘に出すたびに寿命を削られる私は、あまり一般任務は行わない方が望ましいのに。
「ところで撫子の頭に齧り付いている[漢字]白狐[/漢字][ふりがな]エキノコックス[/ふりがな]は放っておいていいの?」
呆れ顔の楓から鋭いツッコミが飛んできた。泰那も頷いている。随分な嫌われようだな、白狐も。
仕方がないので白狐に助け舟を出そうとすると、また白狐が憎まれ口を叩いた。
「なんじゃ、妾のなすことに文句があるというのか?妾よりも弱いくせに、よく吠える獣じゃのう」
「はあ?撫子の寿命がないと戦えない寄生虫がよくそんなこと言えたわね!ルイ、出てきて!」
ヒートアップする1人と1匹。白狐と楓が顔を合わせると、いつもこうなる。
「はーい、どっちもそこまで。お姉さんが帰ってきたぞー!また喧嘩してんのか、そこの二人」
止めてくれたのは[漢字]澪[/漢字][ふりがな]みお[/ふりがな]、さん。この中では一番年上。そして、みんなのまとめ役である。
楓と白狐の動きがピタッと止まる。前、散々お叱り受けてたからなぁ。
泰那と澪さんが会話している。どうやら、泰那が上司から何やら聞いたらしい。
「あの、澪さんの任務先で廃墟になった洋館に出た幽霊が、急に上位の妖である怨霊に変わったって聞いたんですけど…実際どうだったんですか?」
「あー。それがね、本当に途中から強くなったんだよ。なんか囁くような声が聞こえた後に、急に幽霊が強くなって苦戦したよ。あの幽霊、強くなったと思ったら幽霊から怨霊に変わってたのかぁ」
「澪さんの任務でそれが起きたのなら…おかしいですね。幽霊から怨霊への不自然な昇格は理論上ありえないはずです。しかも戦闘中になんて尚更。誰かが妖の進化を促している可能性が高い。……誰が妖の強化なんてするんだッ!」
「まあまあ、落ち着いて泰那くん。まだ決まったわけじゃないんだからさ。」
澪さんと泰那の話をこっそり聞いていた私はハッとした。そういえば私の足が突然凍りつく前、声がしたような気がする。
微かに聞こえた少年のような甘い声。澪さんの話と繋がるところがある。
「あの、澪さん、その聞こえた声って『戦闘員、霧間 澪。最上位司令官から話があるそうだ。なんだか、急に妖が強くなった件についてらしいぞ』」
私の問いかけは途中で遮られた。でも妖の件についてらしい。好都合だ。
「私もその件について話があります。私も最上位司令官のところに連れて行ってください!」
いつの間にか地面に降りていた白狐が、またややこしいことに首を突っ込んで、と言いたげな顔をこちらに向けていた。