別れ
君と会ったのは小学校に入ったばっかの時だったな。私の目の前にいる君をみて思う。
私の方が高かったはずの身長も、高校生になった今は君の方がゆうに高い。お母さんの手をがっちり握って君は今では想像もできないくらい人見知りだった。
「ねぇねぇ」声変わりを経てとっくに可愛げのなくなった声で君が言う。
「俺、卒業したら海外に留学することにしたんだ」
そうか、寂しくなるな。でもその方が君にはいいんだろう、君はきつ苦しいこの国で一生を終えるべき人間じゃない。
「昨日の文化祭のベース、痺れたよ」
嬉しいことを言ってくれるじゃないか。君が2年前の誕生日にくれてから毎日練習してきたんだ。
「あの時サプライズした甲斐があったなー」
あれはサプライズだったのか。バレバレだったぞ。
「しかも昨日演奏した曲、全部俺が好きって言ってたやつじゃん」
偶然に決まってるだろ。
「すごい良かったよ。またいつか聞かせてくれよ」
君が日本を出るまで後一ヶ月になったね。そうそうあれは中学校に入ったばっかの頃だったかな。他の友達たちが異性と関わるのを避けてたなか、何にも気にせず毎日話しかけてきてくれたね。正直周りに冷やかせれてるのに気づかない君が鬱陶しかった。でも嬉しかった。私たちは特別なんだってそう思えたから。
それから1年くらい経った時かな、みんなが付き合い始める頃くらいから私たちの関係は特別になったんだ。君が面と向かって告白してくれた時は泣くくらい嬉しかったんだ。今どきな方法でラインかなんかで告白されたら嫌だったから。多分それでも私は君を彼氏と呼んだだろうけど。
初デートの時、映画を見に行ったね。君がなんでヤクザものの映画を観ようと思ったかはわからないけど、他の子と行く時はもっと女子ウケがいいのみた方がいいよ。他の子となんて行かせないけどね。あと記念日は忘れずに祝ってよね、1年区切りじゃなくて1ヶ月がいいな。でも、長い付き合いになるから1年ずつの方がいいのかも。
高校になって初めての誕生日に君がくれたベース、正直なんでギターじゃないんだって思ったけど今思うとギターだったら一瞬で挫折して、文化祭のステージに立つこともなかったかもね。たくさんの人の前でステージに立った時緊張で地面が揺れて見えたんだ。でも君を最前列に見つけていつも通り演奏できたんだ。
俺はあの日、母親の後ろから覗く君に恋をした。何て説明すればいいかわからない、ビビってくるような感じがしたんだ。幸い君とはすぐ仲良くなれて小学校を卒業する頃には有一無二の親友になった。中学生になった時、少し避けられていたことに気づいて傷ついた。でもよその目を気にせず休み時間には君の机へと一直線に向かった。2年に上がってみんなが告白し始めたころ君を取られるんじゃないかと思って告白した。付き合えた時は飛び跳ねそうなくらい嬉しかった。
そうそう、あの時ギターじゃなくてベースをあげたのには理由があるんだ。君がギター持ってステージなんて上がったらみんなの人気者になっちゃうから。
文化祭の前日、初めて重ねた肌の感触は一生忘れない。一糸纏わぬ君は顔を赤くして俺を迎え入れてくれた。文化祭の本番も難なく成功させた君は本当に自慢の彼女だよ。
出発の日俺はきみのもとを訪ねた。
「しばらく会えなくなるけど次会ったら結婚しよう」
心なしかきみが頷いた気がした。そんなはずはないとわかっているのに。文化祭の帰り道1人で歩いていたきみは信号を無視した車に轢かれて体も動かせず話すことすらできない状態になってしまった。無機質な白い部屋、きみにつながる透明な管、機械的に響く無機質な電子音、全てが忌々しかった。皮肉なことに僕が旅立つその日に君も旅たってしまった。でも君を忘れることはない。あの日君が君が刻み始めたリズムはずっと俺の中に響いているから。
私の方が高かったはずの身長も、高校生になった今は君の方がゆうに高い。お母さんの手をがっちり握って君は今では想像もできないくらい人見知りだった。
「ねぇねぇ」声変わりを経てとっくに可愛げのなくなった声で君が言う。
「俺、卒業したら海外に留学することにしたんだ」
そうか、寂しくなるな。でもその方が君にはいいんだろう、君はきつ苦しいこの国で一生を終えるべき人間じゃない。
「昨日の文化祭のベース、痺れたよ」
嬉しいことを言ってくれるじゃないか。君が2年前の誕生日にくれてから毎日練習してきたんだ。
「あの時サプライズした甲斐があったなー」
あれはサプライズだったのか。バレバレだったぞ。
「しかも昨日演奏した曲、全部俺が好きって言ってたやつじゃん」
偶然に決まってるだろ。
「すごい良かったよ。またいつか聞かせてくれよ」
君が日本を出るまで後一ヶ月になったね。そうそうあれは中学校に入ったばっかの頃だったかな。他の友達たちが異性と関わるのを避けてたなか、何にも気にせず毎日話しかけてきてくれたね。正直周りに冷やかせれてるのに気づかない君が鬱陶しかった。でも嬉しかった。私たちは特別なんだってそう思えたから。
それから1年くらい経った時かな、みんなが付き合い始める頃くらいから私たちの関係は特別になったんだ。君が面と向かって告白してくれた時は泣くくらい嬉しかったんだ。今どきな方法でラインかなんかで告白されたら嫌だったから。多分それでも私は君を彼氏と呼んだだろうけど。
初デートの時、映画を見に行ったね。君がなんでヤクザものの映画を観ようと思ったかはわからないけど、他の子と行く時はもっと女子ウケがいいのみた方がいいよ。他の子となんて行かせないけどね。あと記念日は忘れずに祝ってよね、1年区切りじゃなくて1ヶ月がいいな。でも、長い付き合いになるから1年ずつの方がいいのかも。
高校になって初めての誕生日に君がくれたベース、正直なんでギターじゃないんだって思ったけど今思うとギターだったら一瞬で挫折して、文化祭のステージに立つこともなかったかもね。たくさんの人の前でステージに立った時緊張で地面が揺れて見えたんだ。でも君を最前列に見つけていつも通り演奏できたんだ。
俺はあの日、母親の後ろから覗く君に恋をした。何て説明すればいいかわからない、ビビってくるような感じがしたんだ。幸い君とはすぐ仲良くなれて小学校を卒業する頃には有一無二の親友になった。中学生になった時、少し避けられていたことに気づいて傷ついた。でもよその目を気にせず休み時間には君の机へと一直線に向かった。2年に上がってみんなが告白し始めたころ君を取られるんじゃないかと思って告白した。付き合えた時は飛び跳ねそうなくらい嬉しかった。
そうそう、あの時ギターじゃなくてベースをあげたのには理由があるんだ。君がギター持ってステージなんて上がったらみんなの人気者になっちゃうから。
文化祭の前日、初めて重ねた肌の感触は一生忘れない。一糸纏わぬ君は顔を赤くして俺を迎え入れてくれた。文化祭の本番も難なく成功させた君は本当に自慢の彼女だよ。
出発の日俺はきみのもとを訪ねた。
「しばらく会えなくなるけど次会ったら結婚しよう」
心なしかきみが頷いた気がした。そんなはずはないとわかっているのに。文化祭の帰り道1人で歩いていたきみは信号を無視した車に轢かれて体も動かせず話すことすらできない状態になってしまった。無機質な白い部屋、きみにつながる透明な管、機械的に響く無機質な電子音、全てが忌々しかった。皮肉なことに僕が旅立つその日に君も旅たってしまった。でも君を忘れることはない。あの日君が君が刻み始めたリズムはずっと俺の中に響いているから。
クリップボードにコピーしました