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占い師と小説家(笑)

#3

ダブルタスクは困難だ!

「占い屋って、知ってる?」

そこから始まった友人との電話は長かった。
友人と喋るのは高校卒業以来であり、人と話すのは一か月振りである。

「私、気づいてなかったんだけど、結構昔からあるらしくて」

私は、うまく話せているか不安になる。
コミュニケーション能力の欠如。

「行ってみたらさ、占い師が女の子…女子高生なの」

私は高校生の頃から、だんだんと喋らなくなってしまった。
仲のいい友達と離れて気づいたことだったが、私は、ひとりでいる時の方が楽しいのだ。
今、電話しているのは高校での転校生で、隣の席だった私にガツガツ絡んできた。
コミュニケーションのやり方を忘れてしまっていたが、転校生―――[漢字]楽川[/漢字][ふりがな]らくがわ[/ふりがな]は、私を聞き手役に仕立て上げて、延々と話してきた。
そのせいで私は、相槌の打ち方だけは上手になっている。

「それで、ここからが変な話なんだけどね、」

楽川との日々は、鬱陶しかったが、同時に楽しくもあった。
毎回毎回オチがつかない、なんでもない話をしてきた。
その内容は、記憶がない。
自分の中の記憶選別装置は、楽川を切り捨てたようだった。

「その後の記憶が無いんだ」

大学時代も、友達というものと無縁だった。
何にも所属せず、自堕落な日々を過ごした。
健康面で言えば、今よりも悪質で、最悪だった。

「せっかく占ってもらったのに…。私、疲れてんのかな」

大学は出たけれど、仕事は見つからなかった。
目をそらしていたから当然か。
責任から逃げて、受け身で…。

「ねえ、聞いてる?」

聞いてなかった。
もう一回頼む。
私が悪かった。

「その言葉には、反省の意味が込められているようには到底思えないよ。」

そんなことを言ってきたものの、恐らくもう一度同じ内容を話してくれた。


こんなんで、よく嫌われなかったな、と思う。

作者メッセージ

人への感謝は忘れずに

2026/05/18 19:56

n氏
ID:≫ 15/k7pnxnDS1U
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