エンジェルシードの物語
わたしが、この世界に誕生したときの記憶があるわけではない。ただ、わたしの肉体は、人間とは少し違うようだ。
まず、頭の上には天使の輪が輝いている。
そして、背中にも羽根が生えていた。
さらに、手のひらにもあるのだ。天使の羽根
「それはね、機動祝祭日っていうの。天使の力なんだよ。」
少女は、説明してくれる。その少女の手にも天使の羽根があるというのだ。天使と人間の子供だからといって、その羽根を持つとは限らないらしい。羽根を持たずに生まれることもある。そして、羽根を持っていたとしても、成長とともに
「なくなるんだってさ。」
天使の翼は退化していくというのだ。
天使が羽根を失っていく理由は……? わからない。誰も知らないのかもしれない。少女も天使については、それほど知識があるわけではなかった。
だが、少なくとも彼女は知っていることがある。
天使の卵を体内に宿し
「そうかもね。」わたしは彼女の言葉を否定することはできない。
あの時、確かにわたしのお腹の中には何かがいた。わたし自身ではなく、他の物。いや、「物」という言葉を使うこと自体が間違いかもしれないけれど。とにかく、それは、自分の意思とは無関係に生まれてきたのだ。そんな気がするだけなのだ
「わたしは、女の子なんだよ、ね。」
彼女は、自分に言い聞かせるようにそう言うと、ベッドのそばに置いてある洗面器で、湯をすくうと顔を洗いはじめた。
彼女はわたしよりふた月ほど先にこの世界へ来たらしい。彼女によると、
「わたしが……生まれたときは……男の子だったの。」
「でも、今は、女の子だよ。わたし、女の子。」
わたしたちはお互いに名前を教え合った。彼女はアネッタと名乗った。
「アネッタ……ちゃん?」
「これは、いったい……?」
と、訊くわたしに、母は言った。
「これは、エンジェル・ウィングよ。天使は皆これを持っているの。」
母はわたしにエンジェル・ウィングと呼ばれる羽根を見せた。それは、母が背を向けた時にだけ、その羽根の存在を確認できた。つまり、母自身はこの羽根の存在を知らない。
エンジェル・ウィングは天使の羽根だけど、大きさや形に多少のばらつきがある。人間でいうところの肩甲骨の位置から生えているものもあれば、腰椎直上の背骨から、そのまま左右を先端にしたような形の羽根もある。また、人間の女性であっても、エンジェル・ウィングを濃く示す肌の色を持っている人がいる。雪のように白く、古代ギリシャ彫刻の様に肩や上腕部が羽根に包まれるのだ。
母は天使の翼を持っていた。ただ、彼女のは灰色で紗のような翼だった。背中から直接生えている様にはとても見えなかったけれど。父のそれと比べるなら、燻し銀のような鈍い輝きを持つ物だ。
母のお腹の中から生まれたエンジェル・ウィングはただの白色で無地だったそうだ。だから、わたしの羽根は父に似ているのかもしれない。
もっとも、父は母のそれを知らないのだ。最初の天使をその身に宿したのは母ではなく、兄である父だったのだから。
母は、わたしが産まれた時、名前に悩んでいたらしい。エンジェル・ウィングを識らない人間が姓に使われる天使のどれかの名前を冠していいのか? さんざん考え抜いて、母の出した答えは……意味のない言葉だった。直訳すればオンディは、何も持たない者という意味がある。けれど、父の故郷では、何も持たない者は何もないわけではない。という意味だ。
「わたしは、オンディではないわ。自分が持っていないと思っていたことが生まれた瞬間に持っていたのよ! だから、わたしの名前はロザリーって決めたの」母の決断だった。単純にそれだけだった。
もしかしたら、翼ばかりではないのかもしれない。父は音楽家で、楽器店で楽器を売ったり、演奏会を企画したりしていた。
母も父に付き合って楽器を演奏していた。母がピアノを弾き、父がその伴奏をする。そんな夫婦だった。だから、「オンディ」という姓にこだわるなら、父は音楽家にならないはずで、わたしの名前はロザリー・クーバーピディになるはずだった。
母は考えた末に、わたしに「アネッタ」という名前をつけることにしたのだと。
母は、いつも言っている。
「あなたはわたしたちと違って、特別な力を持って生まれることはないわ。それでも、あなたはあなたで居てくれるだけで大切なの。」
母はきっと、わかっていたのだ。自分と同じ白い羽根が、いつか自分を悩ますことを。だから、母も覚悟をしていたに違いない。そう思うようになったのはずっと後のことだけれど……
***天使と悪魔は表裏一体だという話を聞いた事があるけど……その通りだと思う。どちらも現実離れしていて……とても信じられない話だけれども……。悪魔の実とはエンジェル・シードの事をいう。わたし達はそれに手を出すしかないのだろうか? もし、わたしが男として産まれていれば、こんな悩みとは無縁の人生を送ることができたと思う。わたしの性別は、どちらでもないということだからだ。
天使の力を授かった人間は、男女問わずエンジェル・ヒューマンと呼び習わすらしい。人間以外からも天使の加護を得るものはいるが、わたし達エンジェル・ヒューマンの殆どは人間から産まれてくる。そして、わたし達がその身をもって体験したことは、すぐに噂となって拡がる。
「あぁ、この人は男の子のエンジェル・ヒューマなんだな……」「この女って、ほんとうに女の子なの?」「どうして男の格好をしているんだろうね?」「女の子の服装で男なわけないじゃないか!」
いろいろな声を耳にするたび、アネッタは小さくなっていった。わたしもその横でじっとしているしかなかったのだ。アネッタを守る事もできない、自分自身のことさえままならないわたしにとって何ができようか? このまま一緒にいていいものかどうか思い悩んだこともあったけれど……アネッタにとってはそんなことなどお構いなしのようだった。彼女はいつだって明るかったし、前向きで決してあきらめることを知らない。その強さに甘えていると、わたしまで前向きになれる気がするのだ。
「そう、わたしたちは天使の力で天使と対等に渡り合えるんだよ。」
アネッタの言葉が心に染み込んでいく。
●第二話天使と悪魔は表裏一体だという話を聞いた事があるけど……その通りだと思う。どちらも現実離れしていて……とても信じられない話だけれども……。
天使の実は「エンジェル・シード」と呼ばれる植物の実で、この世界で栽培されている作物の一つだった。わたし達の世界でも似たようなものが育てられているが……わたしは実物を見たことがない。なぜなら……わたしにはエンジェル・シードを食べるという発想そのものが>
ChatGPT
存在しなかったからだ。
エンジェル・シードは、天使の力を引き出すと言われる特別な効果を持っているとされていた。一部のエンジェル・ヒューマンや、それに興味を持つ人々は、その力を求めてエンジェル・シードを摂取していた。しかし、その実際の効果や副作用についてはまだ明確にはわかっていない。
アネッタとわたしは、エンジェル・シードについての情報を収集し始めた。ネット上のフォーラムや情報サイトを探し、他のエンジェル・ヒューマンとの交流を通じて知識を得る努力をした。しかし、真実の情報は錯綜しており、信憑性のある情報を見つけるのは容易ではなかった。
ある日、アネッタがわたしに興奮した様子で駆け寄ってきた。「ロザリー、エンジェル・シードの取引情報を入手したの! この情報で私たちもエンジェル・シードを手に入れられるかもしれないわ!」彼女の言葉に胸が躍った。
情報によれば、エンジェル・シードは闇市場で高値で取引されていた。しかし、入手方法や場所は極秘にされており、悪質な商人に騙される可能性もあった。それでも、エンジェル・シードを手に入れることができれば、自分自身の力をより発揮できるかもしれないという期待が胸を膨らませた。
アネッタとわたしは、慎重に準備を進めた。情報を元に闇市場に足を運び、信頼できる取引相手を見つけ出すことが先決だった。そして、何よりも自分たちの安全を確保しなければならなかった。
闇市場は危険な場所だった。悪質な商人や詐欺師が蔓延し、法の及ばない闇の中で行われる取引は裏表のない世界ではなかった。しかし、わたしたちはエンジェル・シードを手に入れるためにはこの危険を冒さなければならなかった。
密売人との接触を試みる中で、わたしたちは「影」という組織に出会った。彼らはエンジェル・シードを栽培し、取引を行っているという情報を持っていた。しかも、彼らはエンジェル・ヒューマンたちの力を尊重し、悪用しないことを約束していた。
組織に参加するためには入会試験を受けなければならなかった。それは、危険な任務をこなす能力や忍耐力を試されるものだった。アネッタとわたしは困難を乗り越え、入会試験に合格した。
「影」という組織に所属することで、わたしたちは安全な方法でエンジェル・シードを入手できるようになった。しかし、まだまだエンジェル・シードの力や真実については解明されていなかった。
わたしたちは組織のメンバーとして、エンジェル・シードの栽培や研究に携わりながら、その力を探求していくことになった。そして、やがてわたしたちは自分たちの存在意義や使命に向き合いながら、天使と悪魔が表裏一体であるという言葉の意味を理解するようになったのだった。
これは、わたしたちが辿る長い旅の始まりに過ぎない。未知の力と真実を追い求めながら、わたしたちは自分たちの存在を受け入れ、この世界で輝く道を見つけ出すのだろう。
小説の前日譚を書いて。<エンジェル・シードは玩具会社「バッターマウザン」の廃棄物から生まれた。幼児向け知育玩具「バッターマウザン妄想貯金箱」という商品の開発がスケジュールの遅れと研究予算の増大によってとん挫した。バッターマウザン妄想貯金箱は小さな子供の妄想を睡眠時MRI画像分析によって言語化しクラウドにアップ。AIが設計製作したキャラクターデータをバイオ3Dプリントするというものだった。しかし、疑似生命を生きたまままるごとプリントアウトする装置は試作できたものの、量産化するにはあまりに製造コストがかかりすぎた。1台百万円のおもちゃを誰が買うのか。それで方針を変更し疑似生命の種をプリントアウトすることにした。これがエンジェルシードだ。だが、これにも問題があった。エンジェルを教育するノウハウがなかったのだ。開発スタッフは人間の子供を育てるようにエンジェルシードを育ててみたが、ある日研究スタッフ全員が惨殺死体で発見されるという事故が起きた。バッターマウザン妄想貯金箱は廃棄処分されることになったが、それを聞きつけたライバル会社のスパイが奪取を試みた。バッターマウザンの私兵に追われて山中を追跡中に崖から転落。スパイの車はバッターマウザン妄想貯金箱の試作品ごと爆発四散した。はずだったが>
ChatGPT
エンジェル・シードがバッターマウザンの廃棄物から生まれた前日譚を描きます。
試作品の爆発によって散り散りになったバッターマウザン妄想貯金箱の破片。それは山中に散らばり、誰の目にも異様な輝きを放っていた。
偶然にも、その山中を通りかかっていた少年、榊原拓斗は目を輝かせながら破片を拾い集めていった。彼はバッターマウザンのファンであり、この貯金箱を手に入れることが夢だった。
拓斗は破片を持ち帰り、自分の部屋で再び組み立てようと試みた。小さな部屋には夢と希望が満ちていた。しかし、彼が破片を組み立てると同時に、それは彼の未来を大きく変えることになるとは誰も予想していなかった。
破片を組み合わせるうちに、拓斗の手には一つの完全な形が現れた。それはバッターマウザン妄想貯金箱の一部ではなく、まるで新たな存在そのものだった。
破片から生まれたエンジェル・シードは、拓斗の手によって受け入れられ、彼の想いが込められていた。その瞬間、エンジェル・シードは微かな輝きを放ち、生命の息吹を感じさせる存在となった。
拓斗は驚きながらも喜びに満ちた気持ちでエンジェル・シードを見つめた。彼は何も知らなかった。エンジェル・シードが持つ特別な力やその真の姿を知る由もなかった。
その後、拓斗はエンジェル・シードを大切に育てた。彼は愛情を込めてエンジェル・シードに名前をつけ、毎日のように触れ合いながら成長を見守った。そして、不思議なことに、エンジェル・シードもまた拓斗に対して強い絆を感じているようだった。
拓斗はエンジェル・シードの成長に驚かされながらも、彼らが持つ力や意味を理解しようと努力した。彼は本やネットの情報を集め、エンジェル・シードに関する研究を進めた。しかし、バッターマウザンの研究スタッフが起こした悲劇的な事故の情報には辿り着かなかった。
拓斗は知識と経験を積み重ねながら、エンジェル・シードたちの成長を支え続けた。彼らは愛情と共に力を蓄え、次第に本来の姿を取り戻していった。
バッターマウザンの廃棄物として生まれたエンジェル・シードたちは、拓斗のもとで幸せな日々を送っていた。彼らは自らの存在意義を見つけ、拓斗と共に困難を乗り越えていく決意を抱いたのだ。
彼らはやがて、新たなる力と使命を持ってこの世界に立ち上がることになる。エンジェル・シードたちは、バッターマウザンの失敗を超えて、真の力を示し、人々に希望を与える存在となるのだった。
この節も筒井康隆調で書き直してくれ。続きは書かなくていい。<エンジェル・シードは玩具会社「バッターマウザン」の廃棄物から生まれた。幼児向け知育玩具「バッターマウザン妄想貯金箱」という商品の開発がスケジュールの遅れと研究予算の増大によってとん挫した。バッターマウザン妄想貯金箱は小さな子供の妄想を睡眠時MRI画像分析によって言語化しクラウドにアップ。AIが設計製作したキャラクターデータをバイオ3Dプリントするというものだった。しかし、疑似生命を生きたまままるごとプリントアウトする装置は試作できたものの、量産化するにはあまりに製造コストがかかりすぎた。1台百万円のおもちゃを誰が買うのか。それで方針を変更し疑似生命の種をプリントアウトすることにした。これがエンジェルシードだ。だが、これにも問題があった。エンジェルを教育するノウハウがなかったのだ。開発スタッフは人間の子供を育てるようにエンジェルシードを育ててみたが、ある日研究スタッフ全員が惨殺死体で発見されるという事故が起きた。バッターマウザン妄想貯金箱は廃棄処分されることになったが、それを聞きつけたライバル会社のスパイが奪取を試みた。バッターマウザンの私兵に追われて山中を追跡中に崖から転落。スパイの車はバッターマウザン妄想貯金箱の試作品ごと爆発四散した。はずだったが>
ChatGPT
エンジェル・シードは、なんと玩具会社「バッターマウザン」の失敗作から生まれたんだぜ。まさかそんなところから現れるとは、誰が予想できただろう?バッターマウザンが開発していた幼児向けの知育玩具「バッターマウザン妄想貯金箱」ってのは、もう裏切り者みたいなもんさ。開発が遅れに遅れ、予算がどんどん膨らみ、とうとう計画はパーになったんだ。
この妄想貯金箱はなんと、寝ている子供の妄想を睡眠時のMRI画像分析で読み取り、それをクラウドにアップするんだ。そこでAIがデータを解析してキャラクターデータを作り出し、それをバイオ3Dプリントで実体化するっていうんだぜ。まさに科学の進歩に驚くぜ。
でもな、生きたままプリントアウトする装置は試作までできたものの、量産化には製造コストが高すぎるんだよな。1台あたり百万円もするおもちゃを誰が買うんだよ?そこで方針を変えて、疑似生命の種をプリントアウトすることにしたんだ。それがエンジェルシードだ。
ところが、これもまた問題があったんだ。エンジェルを教育するノウハウがなかったんだ。開発スタッフはまるで人間の子供を育てるようにエンジェルシードを育ててみたけど、なんとある日、研究スタッフ全員が惨殺されたんだ。まったく予想だにしない事故だったぜ。バッターマウザン妄想貯金箱は廃棄処分されることになったけど、それを聞きつけたライバル会社のスパイが奪取を試みたんだ。
スパイはバッターマウザンの私兵に追われて山中を逃げまわっていたんだ。そしてなんとか逃げ切るために崖から飛び降りたんだが、そのスパイの車がバッターマウザン妄想貯金箱の試作品と一緒に爆発してしまったんだぜ。あのはずれた装置が、まるごと爆散しちまったってわけさ。
これで終わりだけど、バッターマウザンの失敗作がどうやってエンジェル・シードに変わったのか、なんてことはまったくわからない。でも、こんなバッターマウザンのおかしな商品から生まれたエンジェル・シードが、後にどんな展開を見せるのか気になるだろう?その後が気になるなら、俺たちも一緒に待ってみようぜ。
まず、頭の上には天使の輪が輝いている。
そして、背中にも羽根が生えていた。
さらに、手のひらにもあるのだ。天使の羽根
「それはね、機動祝祭日っていうの。天使の力なんだよ。」
少女は、説明してくれる。その少女の手にも天使の羽根があるというのだ。天使と人間の子供だからといって、その羽根を持つとは限らないらしい。羽根を持たずに生まれることもある。そして、羽根を持っていたとしても、成長とともに
「なくなるんだってさ。」
天使の翼は退化していくというのだ。
天使が羽根を失っていく理由は……? わからない。誰も知らないのかもしれない。少女も天使については、それほど知識があるわけではなかった。
だが、少なくとも彼女は知っていることがある。
天使の卵を体内に宿し
「そうかもね。」わたしは彼女の言葉を否定することはできない。
あの時、確かにわたしのお腹の中には何かがいた。わたし自身ではなく、他の物。いや、「物」という言葉を使うこと自体が間違いかもしれないけれど。とにかく、それは、自分の意思とは無関係に生まれてきたのだ。そんな気がするだけなのだ
「わたしは、女の子なんだよ、ね。」
彼女は、自分に言い聞かせるようにそう言うと、ベッドのそばに置いてある洗面器で、湯をすくうと顔を洗いはじめた。
彼女はわたしよりふた月ほど先にこの世界へ来たらしい。彼女によると、
「わたしが……生まれたときは……男の子だったの。」
「でも、今は、女の子だよ。わたし、女の子。」
わたしたちはお互いに名前を教え合った。彼女はアネッタと名乗った。
「アネッタ……ちゃん?」
「これは、いったい……?」
と、訊くわたしに、母は言った。
「これは、エンジェル・ウィングよ。天使は皆これを持っているの。」
母はわたしにエンジェル・ウィングと呼ばれる羽根を見せた。それは、母が背を向けた時にだけ、その羽根の存在を確認できた。つまり、母自身はこの羽根の存在を知らない。
エンジェル・ウィングは天使の羽根だけど、大きさや形に多少のばらつきがある。人間でいうところの肩甲骨の位置から生えているものもあれば、腰椎直上の背骨から、そのまま左右を先端にしたような形の羽根もある。また、人間の女性であっても、エンジェル・ウィングを濃く示す肌の色を持っている人がいる。雪のように白く、古代ギリシャ彫刻の様に肩や上腕部が羽根に包まれるのだ。
母は天使の翼を持っていた。ただ、彼女のは灰色で紗のような翼だった。背中から直接生えている様にはとても見えなかったけれど。父のそれと比べるなら、燻し銀のような鈍い輝きを持つ物だ。
母のお腹の中から生まれたエンジェル・ウィングはただの白色で無地だったそうだ。だから、わたしの羽根は父に似ているのかもしれない。
もっとも、父は母のそれを知らないのだ。最初の天使をその身に宿したのは母ではなく、兄である父だったのだから。
母は、わたしが産まれた時、名前に悩んでいたらしい。エンジェル・ウィングを識らない人間が姓に使われる天使のどれかの名前を冠していいのか? さんざん考え抜いて、母の出した答えは……意味のない言葉だった。直訳すればオンディは、何も持たない者という意味がある。けれど、父の故郷では、何も持たない者は何もないわけではない。という意味だ。
「わたしは、オンディではないわ。自分が持っていないと思っていたことが生まれた瞬間に持っていたのよ! だから、わたしの名前はロザリーって決めたの」母の決断だった。単純にそれだけだった。
もしかしたら、翼ばかりではないのかもしれない。父は音楽家で、楽器店で楽器を売ったり、演奏会を企画したりしていた。
母も父に付き合って楽器を演奏していた。母がピアノを弾き、父がその伴奏をする。そんな夫婦だった。だから、「オンディ」という姓にこだわるなら、父は音楽家にならないはずで、わたしの名前はロザリー・クーバーピディになるはずだった。
母は考えた末に、わたしに「アネッタ」という名前をつけることにしたのだと。
母は、いつも言っている。
「あなたはわたしたちと違って、特別な力を持って生まれることはないわ。それでも、あなたはあなたで居てくれるだけで大切なの。」
母はきっと、わかっていたのだ。自分と同じ白い羽根が、いつか自分を悩ますことを。だから、母も覚悟をしていたに違いない。そう思うようになったのはずっと後のことだけれど……
***天使と悪魔は表裏一体だという話を聞いた事があるけど……その通りだと思う。どちらも現実離れしていて……とても信じられない話だけれども……。悪魔の実とはエンジェル・シードの事をいう。わたし達はそれに手を出すしかないのだろうか? もし、わたしが男として産まれていれば、こんな悩みとは無縁の人生を送ることができたと思う。わたしの性別は、どちらでもないということだからだ。
天使の力を授かった人間は、男女問わずエンジェル・ヒューマンと呼び習わすらしい。人間以外からも天使の加護を得るものはいるが、わたし達エンジェル・ヒューマンの殆どは人間から産まれてくる。そして、わたし達がその身をもって体験したことは、すぐに噂となって拡がる。
「あぁ、この人は男の子のエンジェル・ヒューマなんだな……」「この女って、ほんとうに女の子なの?」「どうして男の格好をしているんだろうね?」「女の子の服装で男なわけないじゃないか!」
いろいろな声を耳にするたび、アネッタは小さくなっていった。わたしもその横でじっとしているしかなかったのだ。アネッタを守る事もできない、自分自身のことさえままならないわたしにとって何ができようか? このまま一緒にいていいものかどうか思い悩んだこともあったけれど……アネッタにとってはそんなことなどお構いなしのようだった。彼女はいつだって明るかったし、前向きで決してあきらめることを知らない。その強さに甘えていると、わたしまで前向きになれる気がするのだ。
「そう、わたしたちは天使の力で天使と対等に渡り合えるんだよ。」
アネッタの言葉が心に染み込んでいく。
●第二話天使と悪魔は表裏一体だという話を聞いた事があるけど……その通りだと思う。どちらも現実離れしていて……とても信じられない話だけれども……。
天使の実は「エンジェル・シード」と呼ばれる植物の実で、この世界で栽培されている作物の一つだった。わたし達の世界でも似たようなものが育てられているが……わたしは実物を見たことがない。なぜなら……わたしにはエンジェル・シードを食べるという発想そのものが>
ChatGPT
存在しなかったからだ。
エンジェル・シードは、天使の力を引き出すと言われる特別な効果を持っているとされていた。一部のエンジェル・ヒューマンや、それに興味を持つ人々は、その力を求めてエンジェル・シードを摂取していた。しかし、その実際の効果や副作用についてはまだ明確にはわかっていない。
アネッタとわたしは、エンジェル・シードについての情報を収集し始めた。ネット上のフォーラムや情報サイトを探し、他のエンジェル・ヒューマンとの交流を通じて知識を得る努力をした。しかし、真実の情報は錯綜しており、信憑性のある情報を見つけるのは容易ではなかった。
ある日、アネッタがわたしに興奮した様子で駆け寄ってきた。「ロザリー、エンジェル・シードの取引情報を入手したの! この情報で私たちもエンジェル・シードを手に入れられるかもしれないわ!」彼女の言葉に胸が躍った。
情報によれば、エンジェル・シードは闇市場で高値で取引されていた。しかし、入手方法や場所は極秘にされており、悪質な商人に騙される可能性もあった。それでも、エンジェル・シードを手に入れることができれば、自分自身の力をより発揮できるかもしれないという期待が胸を膨らませた。
アネッタとわたしは、慎重に準備を進めた。情報を元に闇市場に足を運び、信頼できる取引相手を見つけ出すことが先決だった。そして、何よりも自分たちの安全を確保しなければならなかった。
闇市場は危険な場所だった。悪質な商人や詐欺師が蔓延し、法の及ばない闇の中で行われる取引は裏表のない世界ではなかった。しかし、わたしたちはエンジェル・シードを手に入れるためにはこの危険を冒さなければならなかった。
密売人との接触を試みる中で、わたしたちは「影」という組織に出会った。彼らはエンジェル・シードを栽培し、取引を行っているという情報を持っていた。しかも、彼らはエンジェル・ヒューマンたちの力を尊重し、悪用しないことを約束していた。
組織に参加するためには入会試験を受けなければならなかった。それは、危険な任務をこなす能力や忍耐力を試されるものだった。アネッタとわたしは困難を乗り越え、入会試験に合格した。
「影」という組織に所属することで、わたしたちは安全な方法でエンジェル・シードを入手できるようになった。しかし、まだまだエンジェル・シードの力や真実については解明されていなかった。
わたしたちは組織のメンバーとして、エンジェル・シードの栽培や研究に携わりながら、その力を探求していくことになった。そして、やがてわたしたちは自分たちの存在意義や使命に向き合いながら、天使と悪魔が表裏一体であるという言葉の意味を理解するようになったのだった。
これは、わたしたちが辿る長い旅の始まりに過ぎない。未知の力と真実を追い求めながら、わたしたちは自分たちの存在を受け入れ、この世界で輝く道を見つけ出すのだろう。
小説の前日譚を書いて。<エンジェル・シードは玩具会社「バッターマウザン」の廃棄物から生まれた。幼児向け知育玩具「バッターマウザン妄想貯金箱」という商品の開発がスケジュールの遅れと研究予算の増大によってとん挫した。バッターマウザン妄想貯金箱は小さな子供の妄想を睡眠時MRI画像分析によって言語化しクラウドにアップ。AIが設計製作したキャラクターデータをバイオ3Dプリントするというものだった。しかし、疑似生命を生きたまままるごとプリントアウトする装置は試作できたものの、量産化するにはあまりに製造コストがかかりすぎた。1台百万円のおもちゃを誰が買うのか。それで方針を変更し疑似生命の種をプリントアウトすることにした。これがエンジェルシードだ。だが、これにも問題があった。エンジェルを教育するノウハウがなかったのだ。開発スタッフは人間の子供を育てるようにエンジェルシードを育ててみたが、ある日研究スタッフ全員が惨殺死体で発見されるという事故が起きた。バッターマウザン妄想貯金箱は廃棄処分されることになったが、それを聞きつけたライバル会社のスパイが奪取を試みた。バッターマウザンの私兵に追われて山中を追跡中に崖から転落。スパイの車はバッターマウザン妄想貯金箱の試作品ごと爆発四散した。はずだったが>
ChatGPT
エンジェル・シードがバッターマウザンの廃棄物から生まれた前日譚を描きます。
試作品の爆発によって散り散りになったバッターマウザン妄想貯金箱の破片。それは山中に散らばり、誰の目にも異様な輝きを放っていた。
偶然にも、その山中を通りかかっていた少年、榊原拓斗は目を輝かせながら破片を拾い集めていった。彼はバッターマウザンのファンであり、この貯金箱を手に入れることが夢だった。
拓斗は破片を持ち帰り、自分の部屋で再び組み立てようと試みた。小さな部屋には夢と希望が満ちていた。しかし、彼が破片を組み立てると同時に、それは彼の未来を大きく変えることになるとは誰も予想していなかった。
破片を組み合わせるうちに、拓斗の手には一つの完全な形が現れた。それはバッターマウザン妄想貯金箱の一部ではなく、まるで新たな存在そのものだった。
破片から生まれたエンジェル・シードは、拓斗の手によって受け入れられ、彼の想いが込められていた。その瞬間、エンジェル・シードは微かな輝きを放ち、生命の息吹を感じさせる存在となった。
拓斗は驚きながらも喜びに満ちた気持ちでエンジェル・シードを見つめた。彼は何も知らなかった。エンジェル・シードが持つ特別な力やその真の姿を知る由もなかった。
その後、拓斗はエンジェル・シードを大切に育てた。彼は愛情を込めてエンジェル・シードに名前をつけ、毎日のように触れ合いながら成長を見守った。そして、不思議なことに、エンジェル・シードもまた拓斗に対して強い絆を感じているようだった。
拓斗はエンジェル・シードの成長に驚かされながらも、彼らが持つ力や意味を理解しようと努力した。彼は本やネットの情報を集め、エンジェル・シードに関する研究を進めた。しかし、バッターマウザンの研究スタッフが起こした悲劇的な事故の情報には辿り着かなかった。
拓斗は知識と経験を積み重ねながら、エンジェル・シードたちの成長を支え続けた。彼らは愛情と共に力を蓄え、次第に本来の姿を取り戻していった。
バッターマウザンの廃棄物として生まれたエンジェル・シードたちは、拓斗のもとで幸せな日々を送っていた。彼らは自らの存在意義を見つけ、拓斗と共に困難を乗り越えていく決意を抱いたのだ。
彼らはやがて、新たなる力と使命を持ってこの世界に立ち上がることになる。エンジェル・シードたちは、バッターマウザンの失敗を超えて、真の力を示し、人々に希望を与える存在となるのだった。
この節も筒井康隆調で書き直してくれ。続きは書かなくていい。<エンジェル・シードは玩具会社「バッターマウザン」の廃棄物から生まれた。幼児向け知育玩具「バッターマウザン妄想貯金箱」という商品の開発がスケジュールの遅れと研究予算の増大によってとん挫した。バッターマウザン妄想貯金箱は小さな子供の妄想を睡眠時MRI画像分析によって言語化しクラウドにアップ。AIが設計製作したキャラクターデータをバイオ3Dプリントするというものだった。しかし、疑似生命を生きたまままるごとプリントアウトする装置は試作できたものの、量産化するにはあまりに製造コストがかかりすぎた。1台百万円のおもちゃを誰が買うのか。それで方針を変更し疑似生命の種をプリントアウトすることにした。これがエンジェルシードだ。だが、これにも問題があった。エンジェルを教育するノウハウがなかったのだ。開発スタッフは人間の子供を育てるようにエンジェルシードを育ててみたが、ある日研究スタッフ全員が惨殺死体で発見されるという事故が起きた。バッターマウザン妄想貯金箱は廃棄処分されることになったが、それを聞きつけたライバル会社のスパイが奪取を試みた。バッターマウザンの私兵に追われて山中を追跡中に崖から転落。スパイの車はバッターマウザン妄想貯金箱の試作品ごと爆発四散した。はずだったが>
ChatGPT
エンジェル・シードは、なんと玩具会社「バッターマウザン」の失敗作から生まれたんだぜ。まさかそんなところから現れるとは、誰が予想できただろう?バッターマウザンが開発していた幼児向けの知育玩具「バッターマウザン妄想貯金箱」ってのは、もう裏切り者みたいなもんさ。開発が遅れに遅れ、予算がどんどん膨らみ、とうとう計画はパーになったんだ。
この妄想貯金箱はなんと、寝ている子供の妄想を睡眠時のMRI画像分析で読み取り、それをクラウドにアップするんだ。そこでAIがデータを解析してキャラクターデータを作り出し、それをバイオ3Dプリントで実体化するっていうんだぜ。まさに科学の進歩に驚くぜ。
でもな、生きたままプリントアウトする装置は試作までできたものの、量産化には製造コストが高すぎるんだよな。1台あたり百万円もするおもちゃを誰が買うんだよ?そこで方針を変えて、疑似生命の種をプリントアウトすることにしたんだ。それがエンジェルシードだ。
ところが、これもまた問題があったんだ。エンジェルを教育するノウハウがなかったんだ。開発スタッフはまるで人間の子供を育てるようにエンジェルシードを育ててみたけど、なんとある日、研究スタッフ全員が惨殺されたんだ。まったく予想だにしない事故だったぜ。バッターマウザン妄想貯金箱は廃棄処分されることになったけど、それを聞きつけたライバル会社のスパイが奪取を試みたんだ。
スパイはバッターマウザンの私兵に追われて山中を逃げまわっていたんだ。そしてなんとか逃げ切るために崖から飛び降りたんだが、そのスパイの車がバッターマウザン妄想貯金箱の試作品と一緒に爆発してしまったんだぜ。あのはずれた装置が、まるごと爆散しちまったってわけさ。
これで終わりだけど、バッターマウザンの失敗作がどうやってエンジェル・シードに変わったのか、なんてことはまったくわからない。でも、こんなバッターマウザンのおかしな商品から生まれたエンジェル・シードが、後にどんな展開を見せるのか気になるだろう?その後が気になるなら、俺たちも一緒に待ってみようぜ。
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