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「非」日常を綴る

#1

レンジ大爆発未遂

買い物帰りの午後。冬休みの宿題も完了し、無敵状態でテレビを見ながらくつろぎ過ごしていた私は、ふと冷蔵庫のほうに目をやった。
「今日のおやつは何にしよう…」
隣で母は冷凍食品をレンジに突っ込んでいる。

普段なら、私はただ横でスマホをいじりながら見守るだけだ。レンジは正確無比に温めてくれるし、煙なんて出たことがない。そう、いつもは平和なのだ。

しかし、この日は違った。

母が電子レンジに食品を入れてスイッチを押した瞬間、微かな焦げ臭さが鼻をかすめた。
「ん…?」

そして、ほんの数秒後、レンジから立ち上る煙はあっという間に部屋中を覆った。

モクモク…モクモク…

「え、え、え?」

私は咄嗟に思った。これはまずい、ヤバい…!
煙はこの部屋に充満している――なら、上に行けば安全だ…!
この時の私は逃げることで必死だったため、煙は上に行く性質は頭蓋骨から弾き出されていた。

シュタッ、とベッドの端に飛び乗る私。しかし、そこにあるのはただの煙の海。熱い、息ができない、目も痛い。上に逃げる作戦は、完全に失敗だった。

母は慌てず、なぜか冷静にレンジを止めようとしている。私は心の中で「何故あなたは落ち着いていられるのか…!」と突っ込みつつ、次の作戦を考えた。

「窓だ、窓を開けるんだ!」

よろめきながら窓に駆け寄り、開け放つ。煙は一目散に外へ逃げていく。母は無事、私はほっと胸をなでおろす。しかし心の中では、冷静な自分とツッコミ役の自分がせめぎ合う。

「いや、外に出たほうが安全じゃね?」

その瞬間、私は決断した。庭に飛び出す。近所の人は窓から驚いた顔でこちらを覗く。肩で息をしながら立つ私――まるで英雄のようだが、実際はただ煙から逃げただけである。

しばらく庭で息を整えながら、私は考えた。

①普段は平和なレンジも、時にドラゴンになる
② 窓は味方
③上に逃げるのは…役に立たない。というかやめよう

部屋に戻ると、レンジはただ焦げ臭いだけで無事だった。母は何事もなかったかのように「まあ、大丈夫だったわね」と言う。私は深く息をつき、ほっと胸をなでおろす。

だが、笑いも止まらない。シリアスすぎる状況なのに、私の頭の中では勝手にコメディ化されているのだ。

①煙に包まれて庭に飛び出す自分の姿
②母は涼しい顔で電子レンジを止める
③私は英雄のつもりで、ただ逃げただけ

夜、布団に入りながら私は思った。
「今日の私は忍者だ…いや、忍者じゃなくても、煙の中で冷静に動ける準備をしないと」

こうして、いつもの日常は小さな大事件によって少しだけ特別なものになった。
レンジは今日も無事で、母は無事で、私は…少しだけ心臓が鍛えられた気がした。

そして次にレンジを使うときは、普段の平和さを信じつつ、煙ドラゴンの可能性も忘れずに心のどこかで警戒する――それが私の今日の学びだった。

2026/01/05 15:14

白妙かなめ
ID:≫ drkoV7421/l0I
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