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これらの要素はフィクションであり、現実の制度・団体・文化とは一切関係ありません。
読み進める際は、作品世界の設定としてご理解いただければ幸いです。

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【大型参加型 残り5枠】ネクロ・インフラ

#2

死者の声を聞く者

資源化施設の異常は、結局その日のうちに収束しなかった。
タンクの脈動は弱まったものの、完全に止まることはなく、透の耳には、帰り道でも微かな“声”がまとわりついていた。

(……今日はひどいな)

夜風が頬を撫でる。
街灯の下を歩くたび、光がわずかに揺れ、その度に地面の影が“呼吸”するように膨らんだり縮んだりする。
透は歩く速度を上げた。家に帰れば、少しは静かになるはずだ。
そう思っていた。だが…




「……っ」
マンションの前で、透は立ち止まった。
エントランスのガラス扉に、“人影”が映っていた。透の背後に、誰かが立っている。




ゆっくり振り返る。


そこには――









「……あのう」

少女がいた。
お札が様々な場所に貼られた巫女服。虹色の瞳が、夜の光を反射している。

千善瞳。第参課の課長だ。


「……何か用か?」

透が問うと、瞳はじっと透を見つめた。
その視線は、まるで透の“内側”を覗き込むようだった。
「……あなた、今日……“乱れてた”」
「乱れてた?」
「うん。……感情が。あなたの感情、普段はすごく静かで、動きが少ないのに……今日は、ずっと“ざわざわ”してた」

透は息を呑んだ。
(……冷音は死者の声は聞こえない。でも、俺の感情の揺れは読める……)


「第参課でも異常が出てるのか?」
「……声は聞こえない。でも……空気が重い。街全体の感情が乱れてる感じがする。」
瞳は淡々と言った。
その声は冷たいが、どこか不安が混じっていた。

「……気をつけて。あなたみたいに“直接”受け取る人は……危ないから」


そう言い残し、冷音は夜の闇に溶けるように去っていった。

[水平線]

透はしばらくその場に立ち尽くした。胸の奥に、冷たいものが広がっていく。

(……終わってない、か)

部屋に戻り、シャワーを浴び、
ベッドに横になっても、眠気は訪れなかった。

――いたい
――こわい
――さむい
――たすけて

(……やめろ……)

耳を塞いでも意味がない。声は脳に直接響く。
(……事故の後から、ずっとだ。でも今日は……数が多すぎる)

まるで街全体が泣いているようだった。透は起き上がり、窓を開けた。
夜風が流れ込む。

その瞬間――




街の灯りが、一斉に明滅した。

[太字]ドクン。[/太字]




透の心臓が跳ねる。

(……まただ)

街が、脈動している。
遠くのビルの窓が、波のように明滅する。道路の街灯が、心臓の鼓動に合わせて点滅する。

[太字]ドクン……ドクン……[/太字]



(……これは、ただの電力異常じゃない)
透は窓枠を掴んだ。手が震えている。その時、スマホが震えた。画面には、「総監:十朱みや」 の名前が表示されている。
「……総監?」
通話に出ると、幼い少女の、しかし凛とした声が響いた。


『斎賀。すぐに局へ来い。異常事態だ』
「異常事態……?」
『街の“脈動”が、全域で同期している。これは自然現象じゃない。“誰か”が意図的にやっている』
透は息を呑んだ。

「……死者か?」
『断定はできない。だが――』
みやの声が一瞬だけ揺れた。

『“創造”で探知した。街の中心部に……巨大な“心臓”がある』

透の背筋が凍りついた。

「心臓……?」
『ああ。死体資源を束ねて作られた……“都市の心臓”だ』

(……そんなもの、誰が……)

『すぐに来い。従郡神も、四日市も、浪速も、全員集めている』
透は深く息を吸った。
「了解。すぐ向かう」

通話を切り、作業服に着替える。外に出ると、街の灯りがまた明滅した。


ドクン……ドクン……



(……街が、生きている)

透は走り出した。
死者の声が、風に乗って追いかけてくる。



――たすけて

――まだ、ここにいる

――さむい

――こわい

[大文字]――いたい[/大文字]

[大文字][大文字]――いたい[/大文字][/大文字]



[大文字][大文字][大文字]――いたい[/大文字][/大文字][/大文字]

(……分かってる。お前たちの痛みが、無駄じゃないことを証明する)

透は夜の街を駆け抜けた。

2026/01/15 17:29

白妙かなめ
ID:≫ drkoV7421/l0I
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