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星紡ぎのルミナリア

#18

王国潜入(2)

王都の裏路地を抜けた先、アストたちは王立魔導院の裏口へと辿り着いた。
夜の王都は静まり返っている。しかし空には黒い靄が薄く漂い、影の気配がじわりと濃くなっていた。リオが耳を澄ませる。
「……巡回の兵士が三人。でも、こっちには気づいてない。今なら入れる」
アストは胸に宿る黒星を押さえた。
(黒星が……王都の中心に何かを感じてる……)
三人は気配を殺し、魔導院の裏口から中へと滑り込んだ。

[水平線]

魔導院の内部は、外の静けさとは別の、重い沈黙に包まれていた。壁に掛けられた古い星図が淡く光り、床に刻まれた魔法陣が呼吸するように脈動している。リオが囁く。
「この先に……封印の記録がある部屋がある。水星がそう言ってる」
アストは驚いた。
「水星って……そんなことまで分かるの?」
「分かるっていうか……流れが見えるんだよ。情報の流れ、人の動き、魔力の流れ……全部だ」
フィアが感心したように言う。
「リオ……すごいよ。水星って、黒星の記憶とも相性がいいんだって」
リオは照れくさそうに頭を掻いた。
「まぁ、便利だしな」
三人は奥へ進んだ。だがそのとき、重い扉が開く音が響いた。

ギィィ……
アストたちは反射的に身を隠す。扉の向こうから現れたのは、王国騎士団長ガルド。
その胸に宿る火星が、赤い脈動を放っている。
「……黒星の継承者は、必ずここへ来る。封印の記録を求めてな」
ガルドの胸の火星が赤く光る。アストの胸が焼けるように痛んだ。
「っ……!」
フィアがアストを支える。
「アスト! 火星が黒星に反応してる……!」
リオが小声で言う。
「まずいな……火星は黒星と最悪の相性だ。見つかったら終わりだぞ」
ガルドは気づくことなく、魔導院の奥へと歩み去っていく。アストは痛みをこらえながら息を整えた。
「……ガルドに見つかる前に、記録を手に入れないと」
三人は別の通路から奥へ進んだ。

[水平線]

魔導院の最深部。そこには巨大な星図が描かれた部屋があった。中央には古い石碑があり、星の紋章が刻まれている。
アストは息を呑んだ。
「これが……黒星封印の記録……」
フィアが石碑に触れた。
「風星が……反応してる。この石碑、境界の力で守られてるみたい」
リオが周囲を見渡す。
「誰か来る前に読もうや」
アストは石碑に手を当てた。その瞬間――
黒星が強く脈打ち、石碑が光を放った。

[太字][斜体][下線][明朝体]“……黒星の継承者よ……”[/明朝体][/下線][/斜体][/太字]
アストは目を見開いた。
(黒星……!)
[太字][斜体][下線][明朝体]“……千年前……黒星は世界を救った……だが同時に……“世界を繋ぐ力”を持つがゆえに……王国に恐れられた……”[/明朝体][/下線][/斜体][/太字]
フィアが息を呑む。
「やっぱり……黒星は災厄じゃなかったんだ……!」
リオが眉をひそめる。
「じゃあなんで封印なんて……?」
石碑の声が続く。
[太字][斜体][下線][明朝体]“……黒星が門を開けば……異界が流れ込み……世界は混ざり合う……それを恐れた王国は……黒星を封じることを選んだ……”[/明朝体][/下線][/斜体][/太字]
「王国は……黒星を恐れて……継承者を封じようとしている……」
そのとき、背後から声が響いた。

「その通りだ、アスト・ルミナス」
アストたちは振り返った。そこに立っていたのは王国の王、星王アルヴェイン。蒼い瞳がアストを射抜く。
フィアが震える声で言う。
「王様……!」
リオが剣に手をかける。
「やべぇ……!」
アルヴェインはゆっくりと歩み寄った。
「黒星の継承者よ。お前がここへ来ることは分かっていた」
アストは胸の黒星を押さえながら言った。
「どうして……黒星を封じようとするんですか……?黒星は……世界を救った星なのに……!」
アルヴェインの表情は悲しげだった。

「黒星は世界を救った。だが同時に――世界を滅ぼす可能性も持っている」
アストは息を呑んだ。
「滅ぼす……?」
「黒星が門を開けば異界の影が流れ込み、世界は混ざり合い、やがて崩壊する」
フィアが叫ぶ。
「そんなの……アストはしないよ!!アストは世界を守りたいって……!」
アルヴェインは首を振った。
「継承者の意思は関係ない。黒星は“世界を繋ぐ星”。覚醒すれば、門は開く。それが運命だ」
アストは震える声で言った。
「僕は……開かない。黒星の力を……守るために使う!」
アルヴェインの瞳が鋭く光った。

「ならば証明してみせよ。黒星が災厄ではないことを。世界を滅ぼさぬことを」
アストは拳を握りしめた。
「証明します……!黒星は……災厄なんかじゃない!!」
アルヴェインは静かに頷いた。
「ならば――お前には境界の審判が必要だ」
「境界の審判……?」
アルヴェインは手を掲げた。
「黒星の継承者よ。星の門へ来い。そこで全てが決まる」
その瞬間、部屋全体が光に包まれた。

2026/04/17 08:29

白妙かなめ
ID:≫ drkoV7421/l0I
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