王都ルミナリア――
白い石造りの城壁に囲まれた巨大な都市は、いつもなら活気に満ちているはずだった。
だが今は違う。街の空気は重く、兵士たちが慌ただしく行き交い、市民たちは不安げに空を見上げていた。
空には、黒い靄が薄く漂っている。
「……また影が出たらしいぞ」
「北門の近くで兵士が倒れたって……」
「黒星の継承者が現れたせいだ……!」
噂は瞬く間に広がり、王都全体がざわついていた。
[水平線]
王城の奥、謁見の間。
重厚な扉が開き、鎧をまとった騎士団長・ガルドが跪いた。
「陛下。報告いたします。黒星の継承者――アスト・ルミナスの行方、依然として掴めず」
玉座に座る男――星王アルヴェインは、静かに目を閉じた。
「……結界に阻まれたか」
「はっ。星読みの村と思われる場所に近づいたところ、兵が“影”に襲われ、数名が意識不明に……」
アルヴェインはゆっくりと目を開ける。その瞳は深い蒼。だが、その奥には恐れにも似た影が揺れている。
「黒星が……目覚め始めているのだな」
ガルドは拳を握りしめた。そして言葉を絞り出す。
「陛下。…そもそも黒星は……本当に災厄なのですか?」
アルヴェインは立ち上がり、窓の外の空を見つめた。黒い靄が王都の空を薄く覆っている。
「ガルド。黒星は“世界を繋ぐ星”だ」
「……?」
「千年前、黒星は世界を救った。だが同時に――世界を滅ぼしかけたのだ」
ガルドは言葉を失った。アルヴェインは続ける。
「黒星が門を閉じたことで、世界は救われた。だが、もし黒星が“開く”ことを選んでいたら……この世界は、異界に飲み込まれていただろう」
「では……継承者アストが黒星を覚醒させれば……?」
「世界は再び“選択”を迫られる。繋ぐか、閉じるか。その選択をするのは――継承者だ」
彼は拳を握りしめた。
「そんな重大な選択を……一人の少年に任せるなど……!」
「だから、我々は黒星を封じねばならぬ」
アルヴェインの声は冷たかった。
「黒星が覚醒する前に、継承者を捕らえ、封印の儀を行う。それが王国の使命だ」
ガルドは深く頭を下げた。
「……御意」
そのとき、謁見の間の扉が勢いよく開いた。
「陛下! 大変です!!」
駆け込んできたのは、魔導院の研究官だった。
「影が……王都の外壁に出現しました!これまでの影とは比べ物にならない規模です!」
アルヴェインの表情が険しくなる。
「……影が、王都にまで?」
研究官は震える声で続けた。
「影は“何か”を探しているようです。まるで……継承者の気配を追っているかのように……」
ガルドが叫んだ。
「アストを……追っているのか!?」
アルヴェインは静かに頷いた。
「黒星が動けば、影も動く。それは千年前から変わらぬ理だ」
アルヴェインは玉座から立ち上がった。
「ガルド。全軍を北へ向かわせよ。星読みの村の結界を破り、継承者を捕らえるのだ」
ガルドは深く頭を下げた。
「はっ!」
研究官が慌てて言う。
「ですが陛下!結界は古代の星術で作られたもの……王国の魔導では破れません!」
アルヴェインは静かに言った。
「破る必要はない。“揺らぎ”が始まっている」
「まさか……異界の侵食が……?」
「そうだ。影が結界を削っている。いずれ結界は崩れる。その前に――継承者を確保する」
ガルドは拳を握りしめた。
「アスト……どうか……影に飲まれていないといいが……」
アルヴェインは窓の外を見つめた。黒い靄が、王都の空を覆い始めている。
「黒星が覚醒すれば、世界は揺らぐ。だが――揺らぎを止める方法はただ一つ」
ガルドが問う。
「それは……?」
アルヴェインは静かに答えた。
「黒星を封じることだ」
[水平線]
その頃、星読みの村。フィアは結界を維持しながら、空を見上げた。
黒い影が、さらに増えている。
「アスト……王国が動いてる……影も……結界も……全部がアストを狙ってる……!」
風がフィアの周囲で渦を巻く。
(アスト……あなたが試練を終えるまで……私は絶対に守る……!)
結界が光り、影を押し返す。だが――
その影の奥に、王国の軍勢が姿を現し始めていた。
白い石造りの城壁に囲まれた巨大な都市は、いつもなら活気に満ちているはずだった。
だが今は違う。街の空気は重く、兵士たちが慌ただしく行き交い、市民たちは不安げに空を見上げていた。
空には、黒い靄が薄く漂っている。
「……また影が出たらしいぞ」
「北門の近くで兵士が倒れたって……」
「黒星の継承者が現れたせいだ……!」
噂は瞬く間に広がり、王都全体がざわついていた。
[水平線]
王城の奥、謁見の間。
重厚な扉が開き、鎧をまとった騎士団長・ガルドが跪いた。
「陛下。報告いたします。黒星の継承者――アスト・ルミナスの行方、依然として掴めず」
玉座に座る男――星王アルヴェインは、静かに目を閉じた。
「……結界に阻まれたか」
「はっ。星読みの村と思われる場所に近づいたところ、兵が“影”に襲われ、数名が意識不明に……」
アルヴェインはゆっくりと目を開ける。その瞳は深い蒼。だが、その奥には恐れにも似た影が揺れている。
「黒星が……目覚め始めているのだな」
ガルドは拳を握りしめた。そして言葉を絞り出す。
「陛下。…そもそも黒星は……本当に災厄なのですか?」
アルヴェインは立ち上がり、窓の外の空を見つめた。黒い靄が王都の空を薄く覆っている。
「ガルド。黒星は“世界を繋ぐ星”だ」
「……?」
「千年前、黒星は世界を救った。だが同時に――世界を滅ぼしかけたのだ」
ガルドは言葉を失った。アルヴェインは続ける。
「黒星が門を閉じたことで、世界は救われた。だが、もし黒星が“開く”ことを選んでいたら……この世界は、異界に飲み込まれていただろう」
「では……継承者アストが黒星を覚醒させれば……?」
「世界は再び“選択”を迫られる。繋ぐか、閉じるか。その選択をするのは――継承者だ」
彼は拳を握りしめた。
「そんな重大な選択を……一人の少年に任せるなど……!」
「だから、我々は黒星を封じねばならぬ」
アルヴェインの声は冷たかった。
「黒星が覚醒する前に、継承者を捕らえ、封印の儀を行う。それが王国の使命だ」
ガルドは深く頭を下げた。
「……御意」
そのとき、謁見の間の扉が勢いよく開いた。
「陛下! 大変です!!」
駆け込んできたのは、魔導院の研究官だった。
「影が……王都の外壁に出現しました!これまでの影とは比べ物にならない規模です!」
アルヴェインの表情が険しくなる。
「……影が、王都にまで?」
研究官は震える声で続けた。
「影は“何か”を探しているようです。まるで……継承者の気配を追っているかのように……」
ガルドが叫んだ。
「アストを……追っているのか!?」
アルヴェインは静かに頷いた。
「黒星が動けば、影も動く。それは千年前から変わらぬ理だ」
アルヴェインは玉座から立ち上がった。
「ガルド。全軍を北へ向かわせよ。星読みの村の結界を破り、継承者を捕らえるのだ」
ガルドは深く頭を下げた。
「はっ!」
研究官が慌てて言う。
「ですが陛下!結界は古代の星術で作られたもの……王国の魔導では破れません!」
アルヴェインは静かに言った。
「破る必要はない。“揺らぎ”が始まっている」
「まさか……異界の侵食が……?」
「そうだ。影が結界を削っている。いずれ結界は崩れる。その前に――継承者を確保する」
ガルドは拳を握りしめた。
「アスト……どうか……影に飲まれていないといいが……」
アルヴェインは窓の外を見つめた。黒い靄が、王都の空を覆い始めている。
「黒星が覚醒すれば、世界は揺らぐ。だが――揺らぎを止める方法はただ一つ」
ガルドが問う。
「それは……?」
アルヴェインは静かに答えた。
「黒星を封じることだ」
[水平線]
その頃、星読みの村。フィアは結界を維持しながら、空を見上げた。
黒い影が、さらに増えている。
「アスト……王国が動いてる……影も……結界も……全部がアストを狙ってる……!」
風がフィアの周囲で渦を巻く。
(アスト……あなたが試練を終えるまで……私は絶対に守る……!)
結界が光り、影を押し返す。だが――
その影の奥に、王国の軍勢が姿を現し始めていた。