影に憑かれた騎士を退けた翌朝、星読みの村には重い空気が漂っていた。結界の外で倒れていた騎士たちは村人によって安全な場所へ運ばれ、セラたちが治療を試みている。
アストは村の中央に立ち、胸の黒星に手を当てた。
(昨日……僕は黒星の力を使った。でも、あれはほんの一部なんだろうな)
黒星は静かに脈打っている。
まるで「まだ先がある」と告げるように。
フィアが心配そうに近づいてきた。
「アスト、眠れた……?」
「うん。少しだけだけどね。黒星の声が……まだ頭に残ってる」
「声……?」
「“選べ”って言われたんだ。世界を繋ぐか、閉じるか……」
フィアは不安げに眉を寄せた。
「そんなの……アスト一人に決めさせるなんて……」
「僕もそう思うよ。でも……黒星は僕を選んだんだ」
そのとき、リオが塔の方から歩いてきた。
「なあ、アスト。リュシアンが呼んでる。“星の門”について話があるらしいで」
「星の門……?」
アストは胸がざわつくのを感じた。
(黒星と関係がある……そんな気がする)
三人は天文塔へ向かった。
[水平線]
塔の最上階では、リュシアンが星図を広げて待っていた。その表情はいつになく真剣だった。
「来たね、アスト。今日は“星の門”について話そう」
アストは息を呑んだ。
「星の門って……何なんだ?」
リュシアンは星図の一点を指差した。
「古代、ルミナリアには“世界と世界を繋ぐ門”が存在した。それが――星の門だ」
フィアが驚いたように声を上げる。
「世界を……繋ぐ……?」
「そう。この世界は一つではない。幾重にも重なり合う“層”のようなものだ」
リオが腕を組む。
「昨日の影も、その“別の層”から来たってことやな…」
「正確には“境界の狭間”からだね。黒星が覚醒したことで、境界が揺らぎ始めている」
アストは胸の黒星に触れた。
「じゃあ……僕のせいで影が……?」
「違うよ、アスト」
リュシアンは首を振った。
「黒星は“門を開く鍵”。影はその鍵の気配に引き寄せられているだけだ」
「鍵……?」
「そう。黒星は“始まりの星”――星の門を開くために生まれた星だ」
アストは息を呑んだ。
(黒星は……災厄じゃない)
リュシアンは続けた。
「星の門は千年前に閉ざされた。理由は……“世界同士の戦争”を防ぐためだ」
フィアが震える声で尋ねる。
「世界同士の……戦争……?」
「そう。別の世界の存在がルミナリアに干渉し、この世界を飲み込もうとした。それを止めたのが――黒星だ」
アストの胸が強く脈打った。
「黒星が……世界を救った……?」
「そう。黒星は門を閉じ、世界を守った。だが、その代償として“力の大半”を失った」
アストは拳を握りしめた。
(黒星は……守るために戦ったんだ)
リュシアンはアストを見つめた。
「アスト。君の中の黒星は、千年前の戦いの“残滓”だ。だが、君が覚醒すれば――黒星は再び力を取り戻す」
「僕が……黒星を覚醒させる……?」
「そして黒星が完全に覚醒すれば――星の門は再び開く」
アストは息を呑んだ。
「アスト。この前はかなりかいつまんで説明したが、これで分かったろう。君は“試練”を受けるんだ。黒星の記憶に触れ、千年前の真実を知るために」
フィアが不安げに腕を掴む。
「……危険なの?」
「危険だよ」
リュシアンははっきりと言った。
「黒星の記憶は、君の精神を試す。耐えられなければ……影に飲まれる可能性もある」
フィアの顔が青ざめる。
「そんな……!」
アストは深呼吸し、リュシアンを見つめた。
「僕は……受けるよ。黒星の力を理解しなきゃいけない。影を祓う方法も……きっとその中にある」
リオが頷く。
「アストが決めたなら、僕たちは支えるだけや」
フィアは涙をこらえながらアストの手を握る。
「アスト……絶対に戻ってきてね」
アストは微笑んだ。
「もちろん。僕は……負けないよ」
リュシアンはアストに手を差し伸べた。
「では――試練の場へ行こう。星の門の記憶が眠る場所へ」
アストはその手を握り、立ち上がった。
黒星が静かに光る。
それはまるで、“真実へ進め”と告げるようだった。
アストは村の中央に立ち、胸の黒星に手を当てた。
(昨日……僕は黒星の力を使った。でも、あれはほんの一部なんだろうな)
黒星は静かに脈打っている。
まるで「まだ先がある」と告げるように。
フィアが心配そうに近づいてきた。
「アスト、眠れた……?」
「うん。少しだけだけどね。黒星の声が……まだ頭に残ってる」
「声……?」
「“選べ”って言われたんだ。世界を繋ぐか、閉じるか……」
フィアは不安げに眉を寄せた。
「そんなの……アスト一人に決めさせるなんて……」
「僕もそう思うよ。でも……黒星は僕を選んだんだ」
そのとき、リオが塔の方から歩いてきた。
「なあ、アスト。リュシアンが呼んでる。“星の門”について話があるらしいで」
「星の門……?」
アストは胸がざわつくのを感じた。
(黒星と関係がある……そんな気がする)
三人は天文塔へ向かった。
[水平線]
塔の最上階では、リュシアンが星図を広げて待っていた。その表情はいつになく真剣だった。
「来たね、アスト。今日は“星の門”について話そう」
アストは息を呑んだ。
「星の門って……何なんだ?」
リュシアンは星図の一点を指差した。
「古代、ルミナリアには“世界と世界を繋ぐ門”が存在した。それが――星の門だ」
フィアが驚いたように声を上げる。
「世界を……繋ぐ……?」
「そう。この世界は一つではない。幾重にも重なり合う“層”のようなものだ」
リオが腕を組む。
「昨日の影も、その“別の層”から来たってことやな…」
「正確には“境界の狭間”からだね。黒星が覚醒したことで、境界が揺らぎ始めている」
アストは胸の黒星に触れた。
「じゃあ……僕のせいで影が……?」
「違うよ、アスト」
リュシアンは首を振った。
「黒星は“門を開く鍵”。影はその鍵の気配に引き寄せられているだけだ」
「鍵……?」
「そう。黒星は“始まりの星”――星の門を開くために生まれた星だ」
アストは息を呑んだ。
(黒星は……災厄じゃない)
リュシアンは続けた。
「星の門は千年前に閉ざされた。理由は……“世界同士の戦争”を防ぐためだ」
フィアが震える声で尋ねる。
「世界同士の……戦争……?」
「そう。別の世界の存在がルミナリアに干渉し、この世界を飲み込もうとした。それを止めたのが――黒星だ」
アストの胸が強く脈打った。
「黒星が……世界を救った……?」
「そう。黒星は門を閉じ、世界を守った。だが、その代償として“力の大半”を失った」
アストは拳を握りしめた。
(黒星は……守るために戦ったんだ)
リュシアンはアストを見つめた。
「アスト。君の中の黒星は、千年前の戦いの“残滓”だ。だが、君が覚醒すれば――黒星は再び力を取り戻す」
「僕が……黒星を覚醒させる……?」
「そして黒星が完全に覚醒すれば――星の門は再び開く」
アストは息を呑んだ。
「アスト。この前はかなりかいつまんで説明したが、これで分かったろう。君は“試練”を受けるんだ。黒星の記憶に触れ、千年前の真実を知るために」
フィアが不安げに腕を掴む。
「……危険なの?」
「危険だよ」
リュシアンははっきりと言った。
「黒星の記憶は、君の精神を試す。耐えられなければ……影に飲まれる可能性もある」
フィアの顔が青ざめる。
「そんな……!」
アストは深呼吸し、リュシアンを見つめた。
「僕は……受けるよ。黒星の力を理解しなきゃいけない。影を祓う方法も……きっとその中にある」
リオが頷く。
「アストが決めたなら、僕たちは支えるだけや」
フィアは涙をこらえながらアストの手を握る。
「アスト……絶対に戻ってきてね」
アストは微笑んだ。
「もちろん。僕は……負けないよ」
リュシアンはアストに手を差し伸べた。
「では――試練の場へ行こう。星の門の記憶が眠る場所へ」
アストはその手を握り、立ち上がった。
黒星が静かに光る。
それはまるで、“真実へ進め”と告げるようだった。