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星紡ぎのルミナリア

#7

星読みの村

黒星の閃光が走った方向へ、アストたちは必死に駆けていった。

「……まだ追ってきてるやんけ!」
リオが振り返る。

そしてアストの胸元――黒星の紋が、脈打つように淡く光っていた。
まるで“こっちだ”と道を示すように、光は一定の方向へ引っ張られる。
「……分かってる。黒星が、導いてるんだ」

アストは胸の痛みに耐えながら、光の示す方向へ走った。

騎士たちの足音が迫る。
だが、ある地点を越えた瞬間――

音が、ふっと遠ざかった。
まるで世界から切り離されたように、追手の気配が消えたのだ。

「……え? どういうこと?」
フィアが振り返る。
霧の向こうには、もう騎士たちの姿はなかった。
声も、足音も、何も聞こえない。
リオが眉をひそめる。
「おかしい……距離を取ったわけじゃない。まるで、僕たちの存在が“見えなくなった”みたいだ」

アストは胸の黒星に触れた。
「黒星が……僕たちを隠したのか?」
「いや、違う」
リオが首を振る。
「“この場所”が、外から見えへんねん。星の力で覆われてる……そんな感じがする」

霧が晴れ、視界が開けた。
そこには、山間にひっそりと佇む小さな村があった。
中央には巨大な黒い岩――星核石が鎮座し、淡い光を放っている。

「ここって……星読みの村…?」
フィアが息を呑む。

そのとき、白い外套を纏った女性が三人に近づいてきた。淡い光を宿した瞳が、アストをまっすぐに見つめる。

「ようこそ、星読みの村へ。私はセラ。あなたたちがここに来ることは、星が教えてくれたわ」

アストは身構える。

「どうして僕たちのことを……?」
「黒星があなたを導いたのでしょう。この村は、外界から隠されている。黒星を持つ者だけが、道を見つけられるの」

リオが目を見開く。

「だから騎士たちは追ってこなかったのか……そもそも、この村の存在を認識できないんだな」
セラは静かに頷いた。
「ええ。結界は、外の者の目を曇らせる。あなたたちは、黒星に選ばれたから辿り着けたのよ」
アストは胸の黒星を見下ろす。

(……導かれた? 僕が望んだわけじゃないのに)

セラは三人を村の中央へ案内した。
星核石の前で立ち止まり、アストに向き直る。

「アスト。黒星は、あなたに“問い”を投げかけている。星核石に触れれば、その声が聞こえるはず」

アストは息を呑む。

フィアが心配そうに腕を掴んだ。
「アスト……無理しないで」
「大丈夫。確かめたいんだ。僕が……何に巻き込まれてるのか」
アストは星核石に手を置いた。

――瞬間、視界が白く弾ける。

星々が流れ、無数の世界が重なり合う光景が脳裏に流れ込む。その中心で、黒い星が脈動していた。

(……これは……?)

[太字][下線][斜体][明朝体]“聞こえるか、継承者よ”[/明朝体][/斜体][/下線][/太字]

低く、遠い声が響く。

(誰だ……?)

[明朝体][太字][斜体][下線]“いずれ、お前は選ばねばならぬ。世界を繋ぐか、閉じるか――その選択を”
[/下線][/斜体][/太字][/明朝体]
声が途切れ、光景が崩れ落ちる。
アストは膝をつき、荒い息を吐いた。

フィアが駆け寄る。
「アスト! 何が見えたの?」

アストは震える声で答えた。
「……黒星が……僕に話しかけてきた。“世界を繋ぐか、閉じるか”って……」
セラは静かに目を閉じる。
「やはり……。アスト、あなたはもう後戻りできないわ。」
アストは拳を握りしめた。胸の奥で黒星が脈打つ。



――自分は、何を選ぶべきなのか。


その答えはまだ見えない。
だが確かに、運命の扉が開いたのを感じていた。

2026/01/08 07:10

白妙かなめ
ID:≫ drkoV7421/l0I
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