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最終投稿プレビュー

少年の木刀が振り下ろされる。その軌道は荒いが、力だけは十分だった。
(……重い。)
木刀同士がぶつかった瞬間、腕が痺れた。 前世の俺なら、指一本動かさず受け止められた一撃。
だが今の身体では、ただ受けただけで膝が沈む。
「おらァッ!」
少年は勢いに任せて二撃、三撃と畳みかけてくる。力任せだが、若い筋肉の爆発力は侮れない。
(軌道は読める。癖も分かる。だが──)
やはり身体が追いつかない。木刀を捌くたびに腕が震え、足が地面を滑り、呼吸が乱れていく。
「どうした浩然!さっきの威勢はどこ行ったヨ!」
少年が笑いながら踏み込む。
(……くそ。)
避けられる。受けられる。反撃の隙も見える。
だが──筋力が足りない。ただそれだけで、全てが届かない。

「ぐっ──!」
最後の一撃を受け止めきれず、木刀が弾かれた。手から離れ、地面に転がる。同時に、俺の身体も後ろへ倒れ込んだ。
「……負け、か。」
空を見上げながら呟くと、少年は頭を掻きながら言った。
「あ、あれ……どうしたんだヨ浩然。今日は妙に粘ったじゃねえか」
梅鈴は腕を組んだまま、ふんと鼻を鳴らす。
「粘っただけネ」
その言葉は正しい。だが、俺の胸の内には別の感情があった。
(……分かった。勝つために必要なものが。まずは体を作る。内功を練るのはその後だ。)


俺が静かに息を整えていると──

「お前たち、朝から騒がしいな。」
低く、よく通る声が武館の庭に響いた。
梅鈴と少年が同時に背筋を伸ばす。
「師父!」
障子の影から現れたのは白髪混じりの髪を後ろで束ねた壮年の男だった。
鋭い眼光。無駄のない歩み。ただ立っているだけで、空気が変わる。

(……この男、只者ではない。)

俺の前世の感覚が警鐘を鳴らす。
この武館は没落したと聞いていたが、この男の気配は、武林の一流に匹敵する。
師父は俺の前に立ち、じっと見下ろした。
「浩然。お前……何か変わったな。」
その目は、まるで俺の内側を覗き込むようだった。

(……気づかれたか?)
だが次の瞬間、師父はふっと笑った。
「よかろう。今日から特別に“基礎鍛錬”を増やす。」
「えっ、師父、それって──」
梅鈴が驚いた声を上げる。
「そうだ。武館で一番弱い者だけに与えられる、特別な鍛錬だ。」
少年が吹き出した。
「ははっ、よかったな浩然!特別扱いだってヨ!」
だが師父は続けた。
「ただし──」
その目が鋭く光る。
「逃げ出す者も多い。筋を痛め、骨を折り、泣きながら辞めていった者もいる。」
梅鈴が小さく呟く。
「……“地獄の鍛錬”ネ。」
師父は俺に問いかけた。
「浩然。お前は、それでもやるか?」
俺は迷わなかった。
「やる。」
即答だった。師父は満足げに頷く。
「よし。では今日から──」

そして師父は俺の肩に手を置き、静かに言った。
「お前に“内功”の基礎を教える。」
梅鈴と少年が同時に息を呑む。
「し、師父!内功は上位弟子にしか──!」
「こいつには必要だ。」
師父は俺を見据えたまま言う。
「……何か、大きなものを背負っている気がする。」
その言葉に、胸がわずかに疼いた。
(大きなもの……か。)
復讐。名誉の回復。そして──


大陸を覆う、まだ見ぬ巨大な陰謀。俺は静かに頷いた。
「必ず、強くなります。」

リレー小説「蒼天剣記」

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