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 # あ の 日 の 好 き を 何 度 で も  。  

#9

  9 . ココア  






  橙 side



  橙
  「  ……  ッ  」



  病院の 外に 出た 俺は  、  ベンチに 座り込んで 小さく 息を 漏らす  。



  息は 白く なって  、  消えた  。


  
  寒さも  、  身体に 染みる  。



  今は  、  冬だ  。



  桃
 「  ……  橙  」



  頬に 何か 暖かい ものが 当たる  。



  橙
 「  …  桃ちゃん  、  どうしたん  、  ?  」




  桃
 「  ココア  」



  そう 言うと  、  俺に ココアを 投げて  、  立ち去った  。



  地面の 雪に くっきりと 桃くんの 靴の 跡が 残る  。



  橙
 「  、  ありがと  」



  聞こえるか 聞こえないか 分からない くらいの 距離で  、  俺は 言った  。



  ココア  。



  多分  、  桃くんが それを 選んだのには 理由が ある  。



  ●●が 忘れている 記憶の 中の  、  一つに あるはずの  、  あの日の 思い出  。



  俺たちは  、  12月の はじめに  、  6人で 遊園地に 行くことに なった  。



  それぞれが 必死に お金を ためて  。 



  でも  、  その日は 生憎の 雨で  、  俺たちは ガッカリして バス停で 座り込んでいた  。



  寒い中  、  傘も 持たずに 張り切って やってきた 俺たちは  、  途方に 暮れて いたのだった  。



  その時の ●● の 声は  、  今でも 耳に 染み付いている  。



  ●●
 「  はい っ  ‼︎  ココア  ‼︎  」



  傘も 差さずに 飛び出していって  、  びしょ濡れに なって 7つの 缶を 抱えて 帰ってきた  。



  誰よりも 楽しみにしていた はずの ●●は  、  遊園地に 行けなくなっても  、  ニコニコと 笑っていた  。



  紫
 「  風邪 引くよ  」



  橙
 「  へ っ  、  ?  」



  あの日の ことを 思い出していると  、  後ろから  、  あの日  、  紫くんが 言った ことを 同じ 言葉が 聞こえた  。



  あの日  、  紫くんは ●●に そう 言って 笑った  。



  俺が 振り向くと  、  また 同じように 紫くんが 笑った  。



  紫
 「  ねえ 橙くん  」



  橙
 「  ん  ?  」



  紫
 「  ちょっと 考えたこと  、  聞いてもらっても いい  ?  」



  橙
 「  ああ  」



  俺が 小さく 頷くと  、  紫くんは 俺の 隣に 缶の ココアを 持って 座った  。



  紫
 「  …  俺たちの 覚えてる この 半年間の 思い出を  、  ●●ちゃんに 話したら  」



  紫
 「  ●●ちゃんは 記憶を 取り戻すんじゃないかな  」



  橙
 「  おぉ  ……  、、  ⁇  」



  何だか 凄いことを 言っている 気が した  。



  俺は  、  実のところ 半分 諦めていた  。 



  お医者さんが どうにか してくれるのを 信じて  、  待っていた  。



  橙
 「  紫くん  、  やっぱ 優しいな  」



  紫
 「  ふふ  、  ありがと  」



  一呼吸 置いて  、  紫くんが 続けた  。



  紫
 「  実は これ  、  考えたの 蒼ちゃん なんだよ  」



  紫
 「  でも 誰にも 言いそうに ないし  」



  紫
 「  焦ったくて 俺が 言っちゃった  」



  そう 言って  イタズラが バレた 子供の ように 小さく 笑う 紫くん  。



  そんな 紫くんを  、  そう  、  本当に 幼稚園 ぶり くらいに 見た気がして  、  俺も 笑う  。



  俺たちの 吐息と 小さな 笑顔は  、  冬の 空気に 溶けていった  。

2026/06/15 09:20

 と ぅ み . 
ID:≫ 6yTgHEMno8sog
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