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桃 side
桃
「 … 蒼 、 蒼 、 起きろ 」
俺の 肩に もたれかかって 、 まるで 倒れたような 状態で 寝ている 蒼を 起こす 。
もうすぐ 、 隣町の 病院の ある 、 「 荒海駅 」 だ 。
蒼
「 ん 、 桃 、 くん ? 」
桃
「 降りるよ 。 駅 、 ついた 」
蒼
「 ぇ 、 あ 」
寝ぼけていた 蒼が 、 思い出したのか 顔を 歪めた 。
[ 荒海 、 荒海です 。 お降りの 方は お忘れ物の ないように _____ ]
橙
「 蒼 、 」
電車の シートに 座り込んでいる 蒼に 、 橙が 手を 伸ばす 。
蒼が 、 その手を 掴んで 立ち上がった 。
俺たちは 並んで 駅を 出た 。
静かだった 。
病院へ までの 道のりは 、 昔 、 皆で 一緒に 予防接種を 受けに行ったから 分かっていた 。
橙
「 … 赫 、 何してるんやろうな 」
橙
「 ●●ちゃん と 事故った 相手 誰なんやろ 」
定期的に 沈黙に 耐えかねた ように 橙が 何かを 言った 。
俺たちも 、
桃
「 … だな 」
とか
蒼
「 そうだね 」
とか 、 返事は していた 。
でも 、 “ 分からない ” から 、 会話は 続かなかった 。
俺は 、 その 空白の ような 時間が 苦痛だった 。
“ ●●は 今 どうなっているんだろう ”
その ことが 気になって 仕方なく なるから 。
しばらく 歩くと 、 大きな 病院が 見えてきた 。
入ると 、 中は ざわついていた 。
見舞いに 来た人 、 松葉杖を つく人 。
病院 特有の アルコールの 匂いも する 。
桃
「 すみません 、 ○○ ●●の 見舞いに 来たんですが … 」
看護師
「 ああ 、 はい 、 ちょっと 待ってくださいね 」
ニコニコと 笑顔を 見せる 看護師さんが カルテ らしき ものを 開く 。
そして 、 顔を 歪めた 。
看護師
「 あ …… 、。 ○○さんは 今 、 手術室で …… 」
手術室 。
やっぱり 、 本当なんだ 。
●●が 、 事故に あったのは 。
そう 思って 、 まだ 見間違い であることを 信じていた 自分が いたことに 驚く 。
看護師
「 皆さん は 親族の 方々 ですか ? 」
橙
「 あ 、 いや 、 」
蒼
「 友達 、 です 」
蒼が “ 友達 ” と いう 言葉を はっきりと 言う 。
俺は 、 その 言葉に どことなく 違和感を 覚えた 。
看護師
「 あ - …… 。 すみません 、 ご本人の ご家族の 許可が 必要で … 」
桃
「 ッ 、 そうですか 」
悔しかった 。
俺には 、 何も できない 。
助けられない どころか 、 見舞う ことも できない 。
でも 、 心の どこかで 、 安心 している 自分も いた 。
傷ついた ●●を 、 見なくて良かった から 。