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鬼神様は平和に暮らしたい

#2

#2 白と瑠璃の青年

―――出雲学園は、引くほど敷地が大きかった。
以前、見学で訪れたことはあるが、やはりいつ見ても大きい。通っていたら慣れるものなのだろうか。

校舎に入ったらまずは、職員室へ来るように言われていた楓は、やけに綺麗な廊下を歩く。教室がある校舎からは生徒の笑い声などが聞こえてきて、楓は「元気だなぁ」と呑気に思った。

職員室が見えてきて、楓はドアを三回ノックする。

「はーい」

中から出てきたのは、少しふくよかな体型の女性だ。柔和な雰囲気の女性は、楓を見ると「あら」と声を上げた。

「あなた、もしかして四組の転校生?」

「はい、その・・・・・・」

「ああ、分かってるわよ!藍城先生よね?ちょっと待ってて、今呼んでくるから」

女性はそう言いながら、職員室の中へ戻っていく。中から微かに「藍城先生ー!転校生の子ですよー!」という声が聞こえた。

ドアの前で待っていると、すぐに一人の青年がやって来た。

―――とても、整った顔立ちの青年だ。
首元で切り揃えられた、光が当たって煌めく[漢字]白髪[/漢字][ふりがな]はくはつ[/ふりがな]。長い睫毛に縁取られた瞳は、宝石のように美しい瑠璃色をしている。男性にしては華奢だが、身長は180近くはあるようだ。

「一ノ瀬楓さんですね?」

「あ、え、は、はい・・・・・・」

「二年四組の担任で、日本史を担当している[漢字]藍城[/漢字][ふりがな]あいじょう[/ふりがな][漢字]瑠璃[/漢字][ふりがな]るり[/ふりがな]と申します。本日からよろしくお願いしますね」

「は、はい、よろしくお願いします・・・・・・」

テレビでしか見かけないような、整った顔立ちをしている瑠璃に、楓は緊張しながらも返事をする。以前の学園見学では、彼は出張で不在だったらしく、別の教師が案内してくれた。なので、楓は瑠璃とは初対面だったのだ。

そんな楓の様子に、瑠璃は肩を小さく揺らしながら笑みをこぼす。

「やっぱり、転校初日は緊張しますよね。転校してきた学園が[漢字]出雲学園[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]ですし」

「はい・・・・・・あの、やっぱり凄い人たちが、たくさんいるんでしょうか・・・・・・?」

「そうですね・・・・・・確かに、運動や勉強など特出した個性を持つ生徒もいますが・・・・・・殆どは、普通の高校生と同じですよ。皆、普通に授業を受けて、普通に日々を過ごす。出雲学園の生徒だからといって、何か特別である理由にはならないので」

「そう、なんですか・・・・・・ありがとうございます」

瑠璃の言葉を聞きながら、楓は腹の前で指先を忙しなく動かす。

「出雲学園の生徒だからといって、何か特別である理由にはならない」―――楓が持つ、出雲学園の生徒に対する考えとは、真逆だった。楓は、出雲学園の生徒だから、『特別』なのだと考えていた。だが、瑠璃は違う。

「(でも、ここは名門校なんだ。そんなわけない)」

大人と子供は、価値観も、見える世界も何もかも違う。
瑠璃の言葉を完全に信じ切るには、彼とは日を過ごしていないし、楓はこの学園についても、生徒についても知らなさすぎる。

楓は、前を行く瑠璃の背中を眺めながら、小さな拳を握りしめた。


[下線]                                                   [/下線]


「私が教室から声をかけるので、それで入ってきてください」

瑠璃にそう言われ、楓は教室の扉の前でゆっくりと、息を吐く。
中からは、瑠璃の声が聞こえてきた。楓は、瑠璃の言葉を聞き逃さないように耳を澄ませる。

「それでは、次の話です・・・・・・本日から、このクラスに転校生が来ます」

瑠璃のその言葉に、教室の中からはざわめきが聞こえた。

「え、マジ?出雲に来んの珍しくね?」

「転入試験めっちゃムズいって噂だもんなぁ。それ受かったって凄くね?」

「女子でも男子でもいいから仲良くしたいなー」

そんな言葉たちが楓の鼓膜を揺らしていくたびに、握られた手のひらからじんわりと手汗が出てくる。人前で話すのは、昔から苦手だ。心臓の音が異様にうるさく感じる。

「ほら、静かにしてください・・・・・・では、入ってきてもらって大丈夫ですよ。どうぞ」

瑠璃の声が聞こえて、楓はゆっくりと扉を開ける。そして、ゆっくりと一歩、教室へと踏み出した。

いくつもの好奇心が含まれた視線が、楓を穴が空くのではないかというくらいに刺してくる。緊張を悟られないようにと、楓は涼しい表情を顔に貼り付けて、教卓に立った。

三十人ほどの視線が、心が、楓に集まった。

「―――一ノ瀬楓と言います。慣れないことばかりで迷惑をかけるかもしれませんが、精一杯頑張ります。よろしくお願いします」

―――少し声が震えてしまったが、そこはよしとしておこう。

作者メッセージ

こんにちは、ユユです。
めっちゃ変なところで終わりましたね、すみません。
あまり文字が多すぎると、読みにくいかなって思ってて・・・・・・約1740文字なんですが、読みにくいですかね?
もし読みにくかったら遠慮なく申し上げてください。

2026/02/10 18:04

ユユ
ID:≫ 6hAbmO4.wTlZo
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