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暴力表現などが含まれている作品になります。
苦手な人はここでUターンすることをおすすめします。
―――カチャリと、扉から小さな扉が聞こえた。
「お、開いた」
結真が少し目を見開きながらそう小さな声で言う。
―――今、二人がいるのは先程、結真が言っていた旧北館だ。
結真は李紗に渡された鍵を鍵穴から外し、ポケットにねじ込む。そのまま、扉を開いた。
―――結真の話だと、旧北館が使われていたのはもう三十も前らしい。その証拠か、扉は耳障りな音を立てて開いた。
「うわ、雰囲気あるなぁ。電気つけたらダメかな」
「あ、それなら、スマホのライト・・・・・・」
「確かにそれがあった。楓はしまっといていいよ。どっちかは充電残しといた方がいいし」
結真はポケットからスマホを取り出し、ライトを付けてあたりを照らした。
長年使われていないからか、寂れた雰囲気を漂わせる廊下が、白色の光に照らされる。
「私たちは、七番から・・・だっけ」
「七番って、どんな話なの?」
「七不思議七番目、異世界へつながる鏡・・・・・・二階と三階の間の踊り場にある、姿見のことだと思う」
「・・・・・・結真ちゃん?」
楓は首を傾げた。結真の真紅の瞳が、警戒するように細められたからだ。
警戒するのはよく分かる。だが、結真の瞳に宿った感情はそういったものではない―――例えるならば、嫌な記憶を思い出したような時な、嫌な感情。
結真は楓に名前を呼ばれ、「なんでもない」と言いながら首を横に振った。
「ただ、郷宮はやってくれたなって思っただけ」
「えっと・・・・・・」
「七不思議ってのは普通、一番から七番っていうのが普通の順番でしょ?昔、先輩に聞いたことがあるんだけど・・・・・・うちの学校の七不思議は、逆の順番から回っちゃダメなんだって」
「ということは・・・・・・七番から一番はダメってこと?でも、なんで?」
「・・・・・・”あいつら”を引き寄せるから」
「え?」
「・・・・・・んーん、なんでもなーい!ちょっとしたじょーだん!」
いつも通りの笑みを浮かべ、結真は楓の手を引く。
「郷宮に誘われたのはちょっと癪だけども、せっかくの機会でも楽しもうよ」
「・・・・・・う、うん。そうだね、せっかくなんだし・・・・・・」
―――何か、隠しているのだろうか。
転校して最初に出来た友達を疑いたくない。だが―――結真は怪しすぎる。
楓はそう心の中で思いながら、結真に引かれるがままに足を進めた。
[下線] [/下線]
―――そして、件の姿見の前にやってきた。
「ちょーっと汚れてるなぁ。うわ、埃もすごっ」
「なんだか・・・・・・ここの空気だけ、淀んでるみたい」
「だね。ずっといたら、めっちゃ気分悪くなりそう」
「うん。でも、見た目は全然普通の姿見・・・だよね?どこの学校にもありそうな・・・」
「えっと、話によると・・・どうだったっけ」
「・・・・・・まさかだけど、忘れちゃった?」
「ちょっと待って、今思いだすから!えーっと・・・・・・」
結真はこめかみに人差し指を当て、どうにか思い出そうと努力している。そして、一分ほど経って「あ」と声を漏らした。
「確かね、真ん中に手を置いてー・・・・・・頭の中で、自分の嫌いな人の顔を思い浮かべるんだっけ」
「なんで嫌いな人の顔を・・・・・・」
「なんか聞いた話によると、嫌いな人の顔を浮かべることで、その人がいないっていう世界につながるってことらしい」
「それっぽい話がちゃんとあるんだ・・・・・・」
楓の言葉に、「ねっ」と笑いながら結真は、姿見の中心に手を置いた。そして、目を閉じる。
―――しばらく経ったが、何も起きない。
結真は目を開いて、期待外れだと言う風に肩をすくめた。
「何も起きないじゃん。やっぱ、噂はただの噂ってことかぁ」
「何も変わらないし・・・・・・どうする?その、次のいく?」
「だね。次はえーっと、動く人体模型だ!」
「・・・・・・ねぇ、結真ちゃん。思い浮かべた嫌いな人って?」
「んー?秘密かなー」
結真は再び楓の手を引きながら、踊り場から離れる。
―――二人とも、姿見に映っていた結真が怪しく笑っていたことなど知らずに。
「お、開いた」
結真が少し目を見開きながらそう小さな声で言う。
―――今、二人がいるのは先程、結真が言っていた旧北館だ。
結真は李紗に渡された鍵を鍵穴から外し、ポケットにねじ込む。そのまま、扉を開いた。
―――結真の話だと、旧北館が使われていたのはもう三十も前らしい。その証拠か、扉は耳障りな音を立てて開いた。
「うわ、雰囲気あるなぁ。電気つけたらダメかな」
「あ、それなら、スマホのライト・・・・・・」
「確かにそれがあった。楓はしまっといていいよ。どっちかは充電残しといた方がいいし」
結真はポケットからスマホを取り出し、ライトを付けてあたりを照らした。
長年使われていないからか、寂れた雰囲気を漂わせる廊下が、白色の光に照らされる。
「私たちは、七番から・・・だっけ」
「七番って、どんな話なの?」
「七不思議七番目、異世界へつながる鏡・・・・・・二階と三階の間の踊り場にある、姿見のことだと思う」
「・・・・・・結真ちゃん?」
楓は首を傾げた。結真の真紅の瞳が、警戒するように細められたからだ。
警戒するのはよく分かる。だが、結真の瞳に宿った感情はそういったものではない―――例えるならば、嫌な記憶を思い出したような時な、嫌な感情。
結真は楓に名前を呼ばれ、「なんでもない」と言いながら首を横に振った。
「ただ、郷宮はやってくれたなって思っただけ」
「えっと・・・・・・」
「七不思議ってのは普通、一番から七番っていうのが普通の順番でしょ?昔、先輩に聞いたことがあるんだけど・・・・・・うちの学校の七不思議は、逆の順番から回っちゃダメなんだって」
「ということは・・・・・・七番から一番はダメってこと?でも、なんで?」
「・・・・・・”あいつら”を引き寄せるから」
「え?」
「・・・・・・んーん、なんでもなーい!ちょっとしたじょーだん!」
いつも通りの笑みを浮かべ、結真は楓の手を引く。
「郷宮に誘われたのはちょっと癪だけども、せっかくの機会でも楽しもうよ」
「・・・・・・う、うん。そうだね、せっかくなんだし・・・・・・」
―――何か、隠しているのだろうか。
転校して最初に出来た友達を疑いたくない。だが―――結真は怪しすぎる。
楓はそう心の中で思いながら、結真に引かれるがままに足を進めた。
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―――そして、件の姿見の前にやってきた。
「ちょーっと汚れてるなぁ。うわ、埃もすごっ」
「なんだか・・・・・・ここの空気だけ、淀んでるみたい」
「だね。ずっといたら、めっちゃ気分悪くなりそう」
「うん。でも、見た目は全然普通の姿見・・・だよね?どこの学校にもありそうな・・・」
「えっと、話によると・・・どうだったっけ」
「・・・・・・まさかだけど、忘れちゃった?」
「ちょっと待って、今思いだすから!えーっと・・・・・・」
結真はこめかみに人差し指を当て、どうにか思い出そうと努力している。そして、一分ほど経って「あ」と声を漏らした。
「確かね、真ん中に手を置いてー・・・・・・頭の中で、自分の嫌いな人の顔を思い浮かべるんだっけ」
「なんで嫌いな人の顔を・・・・・・」
「なんか聞いた話によると、嫌いな人の顔を浮かべることで、その人がいないっていう世界につながるってことらしい」
「それっぽい話がちゃんとあるんだ・・・・・・」
楓の言葉に、「ねっ」と笑いながら結真は、姿見の中心に手を置いた。そして、目を閉じる。
―――しばらく経ったが、何も起きない。
結真は目を開いて、期待外れだと言う風に肩をすくめた。
「何も起きないじゃん。やっぱ、噂はただの噂ってことかぁ」
「何も変わらないし・・・・・・どうする?その、次のいく?」
「だね。次はえーっと、動く人体模型だ!」
「・・・・・・ねぇ、結真ちゃん。思い浮かべた嫌いな人って?」
「んー?秘密かなー」
結真は再び楓の手を引きながら、踊り場から離れる。
―――二人とも、姿見に映っていた結真が怪しく笑っていたことなど知らずに。