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鬼神様は平和に暮らしたい

#7

#7 異世界への鏡

―――カチャリと、扉から小さな扉が聞こえた。

「お、開いた」

結真が少し目を見開きながらそう小さな声で言う。
―――今、二人がいるのは先程、結真が言っていた旧北館だ。

結真は李紗に渡された鍵を鍵穴から外し、ポケットにねじ込む。そのまま、扉を開いた。
―――結真の話だと、旧北館が使われていたのはもう三十も前らしい。その証拠か、扉は耳障りな音を立てて開いた。

「うわ、雰囲気あるなぁ。電気つけたらダメかな」

「あ、それなら、スマホのライト・・・・・・」

「確かにそれがあった。楓はしまっといていいよ。どっちかは充電残しといた方がいいし」

結真はポケットからスマホを取り出し、ライトを付けてあたりを照らした。
長年使われていないからか、寂れた雰囲気を漂わせる廊下が、白色の光に照らされる。

「私たちは、七番から・・・だっけ」

「七番って、どんな話なの?」

「七不思議七番目、異世界へつながる鏡・・・・・・二階と三階の間の踊り場にある、姿見のことだと思う」

「・・・・・・結真ちゃん?」

楓は首を傾げた。結真の真紅の瞳が、警戒するように細められたからだ。
警戒するのはよく分かる。だが、結真の瞳に宿った感情はそういったものではない―――例えるならば、嫌な記憶を思い出したような時な、嫌な感情。

結真は楓に名前を呼ばれ、「なんでもない」と言いながら首を横に振った。

「ただ、郷宮はやってくれたなって思っただけ」

「えっと・・・・・・」

「七不思議ってのは普通、一番から七番っていうのが普通の順番でしょ?昔、先輩に聞いたことがあるんだけど・・・・・・うちの学校の七不思議は、逆の順番から回っちゃダメなんだって」

「ということは・・・・・・七番から一番はダメってこと?でも、なんで?」

「・・・・・・”あいつら”を引き寄せるから」

「え?」

「・・・・・・んーん、なんでもなーい!ちょっとしたじょーだん!」

いつも通りの笑みを浮かべ、結真は楓の手を引く。

「郷宮に誘われたのはちょっと癪だけども、せっかくの機会でも楽しもうよ」

「・・・・・・う、うん。そうだね、せっかくなんだし・・・・・・」

―――何か、隠しているのだろうか。
転校して最初に出来た友達を疑いたくない。だが―――結真は怪しすぎる。

楓はそう心の中で思いながら、結真に引かれるがままに足を進めた。


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―――そして、件の姿見の前にやってきた。

「ちょーっと汚れてるなぁ。うわ、埃もすごっ」

「なんだか・・・・・・ここの空気だけ、淀んでるみたい」

「だね。ずっといたら、めっちゃ気分悪くなりそう」

「うん。でも、見た目は全然普通の姿見・・・だよね?どこの学校にもありそうな・・・」

「えっと、話によると・・・どうだったっけ」

「・・・・・・まさかだけど、忘れちゃった?」

「ちょっと待って、今思いだすから!えーっと・・・・・・」

結真はこめかみに人差し指を当て、どうにか思い出そうと努力している。そして、一分ほど経って「あ」と声を漏らした。

「確かね、真ん中に手を置いてー・・・・・・頭の中で、自分の嫌いな人の顔を思い浮かべるんだっけ」

「なんで嫌いな人の顔を・・・・・・」

「なんか聞いた話によると、嫌いな人の顔を浮かべることで、その人がいないっていう世界につながるってことらしい」

「それっぽい話がちゃんとあるんだ・・・・・・」

楓の言葉に、「ねっ」と笑いながら結真は、姿見の中心に手を置いた。そして、目を閉じる。

―――しばらく経ったが、何も起きない。
結真は目を開いて、期待外れだと言う風に肩をすくめた。

「何も起きないじゃん。やっぱ、噂はただの噂ってことかぁ」

「何も変わらないし・・・・・・どうする?その、次のいく?」

「だね。次はえーっと、動く人体模型だ!」

「・・・・・・ねぇ、結真ちゃん。思い浮かべた嫌いな人って?」

「んー?秘密かなー」

結真は再び楓の手を引きながら、踊り場から離れる。
―――二人とも、姿見に映っていた結真が怪しく笑っていたことなど知らずに。

作者メッセージ

こんにちは、ユユです。
姿見はなかったけど、トイレの花子さんとセットでトイレの鏡に似たような話があったのをちょっと思い出しました。ただの噂だったけども。
早く盛り上がらせたい・・・・・・

2026/02/20 21:14

ユユ
ID:≫ 6hAbmO4.wTlZo
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