閲覧前に必ずご確認ください
見る人によっては非常に気分を害する恐れがああります。
タイトル、タグを確認して、少しでも地雷だと感じられた方は、今すぐブラウザバックを推奨いたします。
できる限りマイルドな表現を心がけています。
センセイ、愛してる
拝啓、私の愛するセンセイへ。
これは、私からセンセイへ贈る、ラブレターです。
[水平線]
私の人生にはそれまで「色」、というものがなかった。
なんとなく通過していく日々、それに伴う苦痛と僅かな幸せ。そんなものは残念ながら私の心を動かさなかった。
人が嫌いだった。どうせ、優しく微笑むその口はヒステリックな怒鳴り声や、暴言を吐き出すに決まっているから。
でも、センセイは違う。たとえ怒鳴っても、センセイそのほほえみがこの世で一番大好きだったから。
勉強が嫌いだった。晒し者になるから。どうせできないから。
でもセンセイのする英語の授業だけは違った。先生の声で、教科書が読まれた、センセイの手で、ホワイトボードに文字が刻まれた。それの価値は私にとって全世界を差し出しても手に入れたいほどのものだった。
どうしようもなくセンセイが好きだった。
質問をしたい、という名目でメールを交換した。幸せだった。
英語だけは一生懸命に頑張った。テストをセンセイが褒めてくれた。幸せだった。
髪型を変えてみた。センセイはそれも褒めてくれた。とても幸せだった。
ある日、センセイに手紙を渡した。内容は、ありきたりなラブレター。塾から帰る直前に、センセイを呼んで、「授業とは関係ないですけど、」と言って手紙だけを渡した。今更シールをハート型にしたことが恥ずかしくなって、センセイがそれをよく見る前に、逃げるように走り去った。
次の日、私の英語の小テストが返されたとき、端のほうに小さく赤ペンで、「ありがとう。いいよ」と書いてあった。
その日は私の人生で一番幸せな日だった。
[水平線]
ある日、センセイにこう聞かれたことがある。わたしが朝早くから自習室で課題をしていたときだ。塾が開いたばかりの時間で、校舎には奇跡的に私とセンセイしかいなかった。
「いつも斎藤は朝早いな。お家だと勉強しづらいんか?」
何気ない質問。はぐらかし方はいくらでもある。でも、その日疲れが溜まっていた私は、気づけば内心にとどめていた渦を巻く不満をセンセイに話していた。
いつも両親が喧嘩していること。その原因は私の成績であり、いつも二人は私の成績の悪さはお前のせいだ、と、罵りあっていること。隙あらば私の悪口が吐き捨てられ、原因が原因なので、私には喧嘩が止められないこと。私の努力はなかったことにされてしまうこと。
心のなかにたまったどす黒い愚痴をすべてセンセイにぶつけ終わったときに、私は内心、「あ、まずいな」と思った。こんなに自分をさらけ出す予定じゃなかった。こんなにうだうだと喋る予定じゃなかった。めんどくさいと思われたらどうしよう。聞いてもいないのにくだらないことを話したから、きらわれるのだろうか。
そう思った瞬間、私は温かい腕に包まれていた。ありふれた洗剤の匂いと、かすかなタバコのニオイがした。そういえばセンセイは喫煙者だっけ。ネクタイの縞模様が至近距離でくっきりと見えた。
「辛いな。」
その単純な一言が、私の心のなかのダムを決壊させた。涙が勝手に溢れた。センセイのシャツを汚さないよう、そっと顔を背けたとき、唇にも温かいものがあたった。キスをしてくれた。
その日以降、私はセンセイと二人で休日出かける事が増えていった。
センセイと二人でいった遊園地からの帰り道繋いだ手、ファミレスでフォークを握る手、その薬指に、センセイが知らない誰かと買った指輪が光っていた。
その人が、センセイの選んだ人なんだ。
コレは罪だ。
わかっていたけれど、それでも私は止まらなかった。センセイもそれを許容していたから、この夜罪人になったのは私達二人なんだろうと思う。
ある日、センセイはなんの前触れもなく塾講師を辞職した。
[水平線]
ねえセンセイ、昨日のメールって本当ですか。
不倫が奥さんにバレて、離婚するって。未成年とだから、許されることじゃなかったって。
でも、今からセンセイは自殺しちゃうんですか。コレが最後のメールになるんですか。
私と駆け落ちしてもよかったんじゃないですか。
ねえセンセイ、センセイは私の人生をこれ以上狂わせたくないって、メールで言ってましたね。
大丈夫、私は人生のすべてをセンセイにあげるって決めてるから。だから、私の心配なんてしなくてよかったのに。
私はセンセイのことを愛していますから。
今から、センセイのところにいきます。
このラブレター、握りしめていたら地獄でセンセイに渡せたりしませんか?
これは、私からセンセイへ贈る、ラブレターです。
[水平線]
私の人生にはそれまで「色」、というものがなかった。
なんとなく通過していく日々、それに伴う苦痛と僅かな幸せ。そんなものは残念ながら私の心を動かさなかった。
人が嫌いだった。どうせ、優しく微笑むその口はヒステリックな怒鳴り声や、暴言を吐き出すに決まっているから。
でも、センセイは違う。たとえ怒鳴っても、センセイそのほほえみがこの世で一番大好きだったから。
勉強が嫌いだった。晒し者になるから。どうせできないから。
でもセンセイのする英語の授業だけは違った。先生の声で、教科書が読まれた、センセイの手で、ホワイトボードに文字が刻まれた。それの価値は私にとって全世界を差し出しても手に入れたいほどのものだった。
どうしようもなくセンセイが好きだった。
質問をしたい、という名目でメールを交換した。幸せだった。
英語だけは一生懸命に頑張った。テストをセンセイが褒めてくれた。幸せだった。
髪型を変えてみた。センセイはそれも褒めてくれた。とても幸せだった。
ある日、センセイに手紙を渡した。内容は、ありきたりなラブレター。塾から帰る直前に、センセイを呼んで、「授業とは関係ないですけど、」と言って手紙だけを渡した。今更シールをハート型にしたことが恥ずかしくなって、センセイがそれをよく見る前に、逃げるように走り去った。
次の日、私の英語の小テストが返されたとき、端のほうに小さく赤ペンで、「ありがとう。いいよ」と書いてあった。
その日は私の人生で一番幸せな日だった。
[水平線]
ある日、センセイにこう聞かれたことがある。わたしが朝早くから自習室で課題をしていたときだ。塾が開いたばかりの時間で、校舎には奇跡的に私とセンセイしかいなかった。
「いつも斎藤は朝早いな。お家だと勉強しづらいんか?」
何気ない質問。はぐらかし方はいくらでもある。でも、その日疲れが溜まっていた私は、気づけば内心にとどめていた渦を巻く不満をセンセイに話していた。
いつも両親が喧嘩していること。その原因は私の成績であり、いつも二人は私の成績の悪さはお前のせいだ、と、罵りあっていること。隙あらば私の悪口が吐き捨てられ、原因が原因なので、私には喧嘩が止められないこと。私の努力はなかったことにされてしまうこと。
心のなかにたまったどす黒い愚痴をすべてセンセイにぶつけ終わったときに、私は内心、「あ、まずいな」と思った。こんなに自分をさらけ出す予定じゃなかった。こんなにうだうだと喋る予定じゃなかった。めんどくさいと思われたらどうしよう。聞いてもいないのにくだらないことを話したから、きらわれるのだろうか。
そう思った瞬間、私は温かい腕に包まれていた。ありふれた洗剤の匂いと、かすかなタバコのニオイがした。そういえばセンセイは喫煙者だっけ。ネクタイの縞模様が至近距離でくっきりと見えた。
「辛いな。」
その単純な一言が、私の心のなかのダムを決壊させた。涙が勝手に溢れた。センセイのシャツを汚さないよう、そっと顔を背けたとき、唇にも温かいものがあたった。キスをしてくれた。
その日以降、私はセンセイと二人で休日出かける事が増えていった。
センセイと二人でいった遊園地からの帰り道繋いだ手、ファミレスでフォークを握る手、その薬指に、センセイが知らない誰かと買った指輪が光っていた。
その人が、センセイの選んだ人なんだ。
コレは罪だ。
わかっていたけれど、それでも私は止まらなかった。センセイもそれを許容していたから、この夜罪人になったのは私達二人なんだろうと思う。
ある日、センセイはなんの前触れもなく塾講師を辞職した。
[水平線]
ねえセンセイ、昨日のメールって本当ですか。
不倫が奥さんにバレて、離婚するって。未成年とだから、許されることじゃなかったって。
でも、今からセンセイは自殺しちゃうんですか。コレが最後のメールになるんですか。
私と駆け落ちしてもよかったんじゃないですか。
ねえセンセイ、センセイは私の人生をこれ以上狂わせたくないって、メールで言ってましたね。
大丈夫、私は人生のすべてをセンセイにあげるって決めてるから。だから、私の心配なんてしなくてよかったのに。
私はセンセイのことを愛していますから。
今から、センセイのところにいきます。
このラブレター、握りしめていたら地獄でセンセイに渡せたりしませんか?
クリップボードにコピーしました