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春、出会いと恋の季節

春、それは出会いの季節。

私にも新しい出会いが訪れる。

それは風に運ばれてきたハート型の桜の花びらのような、そんな出会いだった。

[水平線]

[右寄せ]「もう駅ついた?」[/右寄せ]

「ついたよ!」


彼とのそんなメッセージアプリ上のやり取りについ頬がゆるむ。スマートフォンをぎゅっと握りしめ、今日のデートの行程を思い浮かべる。まずは買い物、終わったらどこかで適当にランチ、その後、彼のお家にお邪魔させてもらう。

今日の天気も私の心情を象徴しているかのようで晴れやかで、とっても素敵!

[水平線]

「・・・・・・汚い」

学校のない週末に一気に片付けるものを片付けているので、今ここには5日分のごみがある。

空き缶、何かの食べ物の包装紙、汚れた皿、あとは散らかされたメイク用品。

これらを片付け、最後に母さんの服にアイロンがけをすることが今日の『やること』。

それのあとは別の『仕事』

「休むヒマがない」

本当にその通りなので独り言を言いつつ手を動かす。テキパキ動かないと、家事が終わらない。しかも、今日の『お客様』とは13時には会わなければいけないので、間に合わせなければいけない。

家事をしなければ痛い。

仕事をしなければ飢える。

その2つが原動力となって、錆びついたロボットのような私の体の回転率を無理やり上げる。

干された洗濯物を取り込むためベランダに出れば、母さんのワンピースの白に青空が綺麗に映えた。

私には縁遠いような美しい空だった。

「そういえば、母さん朝ご飯食べていかなかったな。」

朝は私より早く起きて飯を作れ、そしてなるべく音を立てずに私の邪魔をするな、と。

だから、言われた通りのことをしている。今日はずいぶんメイクがおいそがしかったようだが、誰かと会うのだろうか。

そんなことより、久しぶりの朝ご飯だ。

「いただきます」

私には、母さんの残り物の幸せの絞り粕が。

[水平線]

「コレ食べていいの!?」

「ああ、もちろん!せっかくのデートなんだし好きなもの選んで食べてよ!」

私には、娘の分まで搾り取った幸福の上澄みが。


二人に等しく注ぐ青空はとても皮肉めいていた。

作者メッセージ

どうも、泥男です。
今回も暗いお話です。そして相変わらず短いですね。
己のタイトルのセンスに見切りをつけたので、タイトル詐欺です。タグでわかるとは思いますが、それでも冒頭の空気感は大事にしました。

拙い文章だったとは思いますが、ここまで目を通していただき誠にありがとうございます。
モチベーションに繋がるのでコメント、考察等いただければ幸いです。

2024/04/04 02:39

鬱泥男
ID:≫ 1t5iVJue5bOis
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PG-12恋愛母娘ネグレクト

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