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微グロ。後本物ぽくはないけど幽霊出てきます。

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俺と幽霊と恋。

#4

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先程の、レジで俺の後ろに並んでいた女性だった。年は大学生くらいだろうか。ぱっちりとした目が印象に残る、まだ少女と言っていい外見の女だった。
「あんたのせいで、創也様が死んだっ!!!!」
あらんかぎりの声をふり絞って、少女が俺に向かって叫んだ。きぃん…と甲高い声が俺の脳みその中で弾けた。
俺は体中のすべてが、まるで時が止まってしまったかのように硬直して、何も言えなかった。
常盤が、顔をゆがませた。俺には、泣いているように見えた。
「あの時、あんたが死んでいれば、創也様は今頃元気に過ごしていたのに…結成五周年イベントにも出て、菊谷さんや池永さんの、あんなに悲しい顔も見なくて済んだのに……!」
菊谷や池永というのはアイドルグループの他のメンバーのことだろうか。さらに、常盤の顔がゆがんだ。拳を握ったり開いたり、目を閉じたり見開いたり、常盤は明らかに動揺していた。
「…淳くん。彼女と手を繋いで」
噛み締めた唇を緩めて、常盤が言った。
「…?」
突然の事に、俺は何を言っているかわからずに固まったまま常盤のほうを見る。
「いいからはやく」
今度は先ほどよりも力強く、常盤が言った。ぽろぽろと、もう隠そうともせずに涙がこぼれていた。
俺は意を決して、髪を振り乱して泣き叫ぶ女の手をつかむ。
その瞬間、女がくずおれた。
「ちょっ…」
俺は慌てて体を支える。
何が起きた?俺が何か…。
俺が考える余地なく、常盤の声が割り込んだ。
「こんにちは、山中彩音ちゃん」
低くて甘くて、思わず聞きほれてしまうような、そんな声。涙は慌てて拭ったのか頰につたった後がついているが、それがまた色気を醸し出しているようにも見える。
「創…也…さま?」
信じられないというように、山中と呼ばれた女は首を振った。俺は手を離そうとしたが、常盤がちらりと目を合わせて小さく首を振ったので、あきらめた。
「…なんで彼女の名前を?」
「幽霊の俺はなんでも知っているからね」
幽霊、と聞いた瞬間、彩音の口からちいさい悲鳴が漏れた。
「いや…いやだよ、創也様...!みんな、グループのみんな、ファンのみんなが悲しんでる!解散するっていう話題も出てる!ぜんぶ、ぜんぶ、こいつの、せいだよぅ…」
言葉の残りは真夏の残滓となって溶けていった。
俺は、思わず顔をそむけた。
山中には常盤が見えている。
なんとなく、それは俺と手を繋いでいるからな気がした。
「そんなこと言わないの。俺は助けたくて彼を助けたんだ。たとえあの日がもう一度繰り返せたのしても、俺が淳くんを助けることに変わりはないよ」
「でも…」
「君は周りに流されているだけだ。事実の見方を、少しだけ自分寄りに考えてしまっているだけ」
それから、俺と常盤で代わる代わる事情を説明した。世間で流れている情報はデマも多く、ところどころで目を丸くして山中は聞いていた。
話の中盤から、山中はぼろぼろと涙をこぼし始めた。
「あんたは……悪くないって、本当は分かってた。でも、……創也さまが死んじゃったの、私、信じられなくて……あんたがネットで叩かれた時も、それが当たり前なんだ、創也さまが生き残るべきだっていう人が大半で…そう言ったから、なにかが変わるって、創也さまが戻ってくるわけじゃないのに…」
俺は初めて救われた気持ちになった。
この少女が、理解を示してくれたことに、不覚にも胸の奥が震えた。
「ありがとう、彩音ちゃん」
常盤がにこりと笑った。日が差すような笑みだった。
「ねぇ、創也さま…。なにがそんなに…この人の、何が、創也…さまを…」
ばらばらになった言葉を繋ぎ合わせて、山中は常盤に尋ねた。
「それはね」
ごくりと、俺は生唾を飲んだ。
山中も、真剣な瞳で常盤をみる。
ずっと知りたかった。俺を庇った理由を。
分厚い雲が真夏の太陽を遮った。
常盤がふっと顔を上げた。
と思った瞬間、ざあっ、とバケツをひっくり返したような滝の雨が、俺達を一瞬でずぶぬれにさせた。
「きゃっ」
山中と俺は慌てて買い物袋を隠したが、常盤は雨に濡れていない。幽霊が物質をすり抜けるのは本当のようだ。
「どうする?俺は濡れないけど…」
山中彩音が、とてもとても嫌そうに俺のことを見ながら、言った。
「あたしの家、すぐ近くだから、その…よかったら、来る?」
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2025/11/02 10:27

りゃんりゃん。
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幽霊微グロ恋愛後悔殺人要素あり

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