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微グロ。後本物ぽくはないけど幽霊出てきます。

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俺と幽霊と恋。

#3

3

幽霊の常盤創也と出会った(アレを出会ったというのか?)その翌日。
俺と幽霊は多くはないが言葉を交わし、俺の気持ちは、ほんの少しだけ上向きになっていた。
約一か月ぶりに外へ出ると、ここ最近の地獄の太陽の光が俺たちをじりじりと焼き、青白く揺らめく常盤の体は真夏の盛りには些か不自然というか、いっそう世離れして見えた。
 、、
俺たちは駅前に来ていた。
「皆暑そうだねぇ」
ぼんやりと行き交う人々を眺めながら、常盤が言った。常盤の透き通りそうなほど白い肌は本当に透けてしまいそうだった。
「お前…」
「ん?」
俺は先を行く常盤にいまさらのような言葉をかける。
「本当に、幽霊なんだな」
「えー、信じてなかったの?」
常盤が口を尖らす。その動作一つにも卒倒しかねないファンが大勢いるのだろう、と俺はまたぼんやりと考える。
「幽霊だよ、ほんとに。宙に浮けるから」
「そ、そうなのか?」
それは初耳だった。一般常識的な幽霊と本当の幽霊は意外にも一致しているような気もする。
「ほんとほんと。ってか、淳くん」
ちらりと辺りを見て、それからちょっと意地の悪い目で俺のほうを見た。
「なんだ?」
「俺と二人きりの時はあんまり喋らないほうがいいんじゃない?」
はっとして周囲を見渡すと、俺の半径三メートル以内には人が居なかった。
「淳くん、絶対一人で喋ってるヘンな人だと思われてるよ」
にやにや笑いながら、常盤が言う。
俺は気恥ずかしさと気まずさと怒りで身を震わせながら、デパートの地下にあるスーパーマーケットへ向かった。ふよふよと浮かびながら常盤がついてきたが、俺は相手にしなかった。
どうやら、彼は俺にしか見えていないらしい。幽霊と言いつつも、半分は怨霊のような、人に取り憑くモノなのかもしれない。が、不思議と嫌な気はしなかった。
しばらく外出していなかったせいで、きらびやかな商品がいつも以上に目にまぶしく見える。
メモ用紙を見て必要最低限の食材を買い込む。
「淳くん、もっと栄養のあるもん食べなよ、健康に悪いよ?」
「別にいい」
出来るだけ言葉少なに俺は答えた。
「ええー、せっかく若いんだしさあ」
皮肉には聞こえなかったが、俺はその言葉に少々苛ついた。
事件後にウェブサイトで見たのだが、常盤創也はまだ二十三歳。俺よりも年下だったのだ。
常盤の言葉を無視してレジに向かう。
「…別に、死んでも良いし」
ぼそりと、俺がそうつぶやいたのを常盤は見逃さなかった。
後ろに並んでいた女性がぎょっとした様に俺を見る。
「へぇ、そっか。俺なんかが生きてても良いことないって?忘れているようだから言うけど、俺は命の恩人なんだからね?」
ちくりと常盤がいつもとは違う口調で言う。美人の怒った顔は中々に怖かった。
常盤が怒ることは予想済みだったが、その顔に浮かぶ失望の色と〝命の恩人〟という言葉に俺の胸はずたずたになるような気分だった。
会計を済ませる。さっさとエコバッグに荷物を詰め込んで外に出る。
常盤を怒らせることなんて分かり切っていたのに、どうしてだか俺は止められなかった。
久しぶりに人と話すと本音が多くなるというのを聞いたことがあるが、本当にそうだったらしい。
「ねえ、聞いてる?」
常盤がうつむいたまま俺の横に立って、言った。
「あぁ、聞いてるよ」
俺は帰り道にある閑静な公園に入った。
木漏れ日がさして、俺は目を細めた。
木陰のベンチに座る。常盤は、向かい合うように俺の正面にしゃがみ込んだ。
「俺はあの時、動けなかったんだ。金縛りにあったような…ってありがちな表現かもしれないけれど、ほんとうに。…俺は…死んでもいいって、そう、思ったから動けなかったのかもしれないって今になって思うんだ」
常盤は目を見開いたが、すぐに唇をゆがませて、立ち上がって言った。
「だから?命なんて救われても知りませんってか?」
さすがにその言葉には俺も激昂した。
「お前に判るかよっ!世間に何の興味も沸かずに仕事だけして生きていた人間が生き残って、お前が死ねばよかったんだって言われる俺の気持ちが!今更言われたってどうしようも出来ない俺の気持ちが!!」
「そんな事を…言われたの」
常盤は急に、青白い顔をさらに青ざめさせて俺の肩をつかんだ。いや、正確にはつかめなかった。常盤の手はすうっと俺の体を通り抜けていった。
「じゃあ、全部俺のせいだ」
ぽつりと、常盤が言った。
「悪い…俺も言い過ぎた」
ふるふると常盤が首を振る。
「いや、違う。俺が…」
「本当は何なんだ?お前が俺を庇った理由…」
「それはね」
ゆっくりと常盤が口を開く。
「あんた…!」
甲高い女の声で、常盤の声は遮られた。
「水澤…淳っ!!」
名前を呼ばれてはっと振り向く。世間的知名度など無いに等しい俺の名前が呼ばれる理由はただ一つ。
俺はぴんと張り詰めた空気の中、諦めとも緊張ともとれるため息をついた。
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作者メッセージ

よろしくお願いしますー!

2025/11/15 15:54

りゃんりゃん。
ID:≫ 5pplVSwPOVTKw
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幽霊微グロ恋愛後悔殺人要素あり

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