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微グロ。後本物ぽくはないけど幽霊出てきます。

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俺と幽霊と恋。

#1

1

俺はその惨劇を、なすすべもなく見ていた。
八月の太陽と最近の夏特有のじめじめした空気、電灯にたかる虫、それに夏祭りのお囃子の音。
平和な平和な夏休みのある日、何も考えずにぼうっとお祭りへ行った俺の目の前で、人が死んだ。
通り魔だった。
人生に活路を見いだせなかった。人を殺して自分も死のうと思った。
ありがちな狂人の供述。
その宣言通り、彼は人を殺した後自らの命も絶った。
その彼が殺そうとしたのは、俺のはずだった。
刃渡りの長いサバイバルナイフの切先が、俺の喉を確実に狙っていた。
だが、死んだのは大人気アイドルの青年だった。
俺は、この世の現実を知った。
「人の命の価値は平等ではない」
端正な顔。
血に塗れた胸。
どこからか聞こえてくる甲高い女性の悲鳴。
パトカーの騒々しい音。
全てが、ぐるぐると渦巻いて、真っ赤に染まって、罵声を浴びせられて、目の前で人が死ぬのを見て、俺はーーー。

自分の呻き声で目が覚めた。
荒い息、冷や汗で濡れてひっついた肌と服。
俺はーー、水澤淳は自室のベッドの上に居た。
囀る小鳥の声とカーテンの隙間から漏れる日差しに、俺の心と意識は未だ現実を信じられずに視線をふらふらと彷徨わせた。
また、あの夢を……。
俺は人に庇われて、今日を生きているのだ。
「人の命の価値は平等ではない」
俺は、この一か月でその事実を恐ろしいほど知った。
「あんたみたいなのを庇って、創也様が」
「お前が死ねば良かったんだ」
そんな、心をえぐるようなあからさまな罵倒も受けた。
「庇ったのって、なにも知らない人だったんでしょ」
「そんな人の為に、ねぇ」
気まずそうに、少しの批判を込めた視線も向けられた。
どの言葉にも俺は、何も返す事ができなかった。
地域貢献の為に地元に帰ってきた大人気五人組アイドルグループのメンバーの一人、[漢字]常盤創也[/漢字][ふりがな]ときわそうや[/ふりがな]、アイドルになんて何の興味もわかない俺を庇って死んだ。
俺は、その日血まみれになった彼の姿を見るまでは名前も、顔さえも知らなかった。
常盤創也の周りにいたファンたちが嬌声をあげている中、全身黒ずくめの男が刃物を持って乱入してきたときの悲鳴交じりのざわめきと、何も出来ずに突っ立っていた俺の姿が鮮やかに脳裏に浮かび上がる。
通り魔の一挙手一投足がビデオに録音されたかのように、記憶の中で再生されるのだ。
まず最初に、一番近くにいた男が切り付けられた。
が、彼は腕を軽く切っただけの軽傷で済んだ。
それが分かると通り魔は……。
あろうことか俺のほうへ向かってきたのだ。
その時も俺はまだ、ぼうっと突っ立っていた。
夕暮れの光を受けてきらめく刃の光を見て、どこか陶然としたその光を綺麗だと、場違いながらに思った。
体が動かなかった。
ほんとうに、一ミリたりとも動かなかったのだ。
通り魔の男が突進してくる。
俺はまだ見ぬ三途の川を想像した。
そして、小さかった頃の夢を見て、青春を共にした友の幻像を見て、昨日終わらせたばかりの取引先との商談を思い出した。
生という言葉は、走馬灯の中にただの一つも感じられなかった。
その時だった。
俺よりも少し背の低い青年が飛び込んできたのは。


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作者メッセージ

新シリーズです!
小説なら短編の部類に入るかな?そのくらいの量を分割して出そうと思ってます!

2025/10/27 15:05

りゃんりゃん。
ID:≫ 5pplVSwPOVTKw
コメント

この小説につけられたタグ

幽霊微グロ恋愛後悔殺人要素あり

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