文字サイズ変更

花魁道中真っ盛り、されど敵わぬ者もいて

#2

彼女の中に渦巻く嫉妬

ああ、何と嘆かわしいことでしょう。
数年振りに顔を見たというのに、嫉妬に狂った瞳で見つめてくるだなんて。




「はあ…。困ったものね」
一人、部屋の中で呟く。
私の妹は、どうやら吉原に来てから変わってしまったようだ。
昔はいつも私の後を追って、「姉ちゃん、姉ちゃん」と言ってくれたというのに。
私たちは双子だけど、あの子はいつも私を姉として慕ってくれていた。
それなのに、今はあの頃の面影もなく、顔を合わせれば睨むばかり。

近頃は、私と真反対の道を歩んでいるようで、ぎらぎらと派手な化粧をして、道を大股で歩いて、朱色の分厚い着物を来て客を取る。
江戸によくいる花魁の格好をしている。
あの子がああいう格好をするのは構わない。
ただ、私はあの子がこの道に堕ちてしまうのが怖いのだ。

簡単に身を売るような人になって欲しくなくて、時々手紙を送るけれど、返事は返ってこない。
悲しいけれど、手紙を送るのを怠ったことはない。



ある日、店の二階で手すりにもたれながら煙管を吸っていると、大通りがどうやら騒がしい。
顔を覗かせると、そこには妹がいた。
豪勢な着物、派手な化粧、外八文字の歩き方。
まさしく、「江戸の花魁」だ。
その姿を見るのが、どうにも辛く感じて、部屋の中に引っ込んだ。

私が言えたことではないが、妹にすぐに肌を見せるような女になってほしくないのだ。
ここに売られてきた以上、体を売るしかないのは重々承知している。
それでも、妹には綺麗なままでいてほしい。
ここは病に冒されることが多々ある。
せめて、妹だけでも無事でいてくれるのを、毎日仏様に願っている。



「朝霧、朝霧!」
私を呼ぶ声にはっとして、後ろを向く。
「全く、いつまで寝てんだい?お客様がお待ちになられてるよ」
ああ、そうだった。
今日は、私を贔屓にしてくれている客の相手をする日だ。

急いで花魁道中の準備をする。
白粉を薄く塗って、真っ赤な紅をひいて、目元にも少しだけ紅をぼかす。
高い下駄をつっかけて、表に出る。
一歩、一歩。
ゆったりと、上品さを忘れずに歩く。
周りの観衆は息を呑んで私に視線を向けてくる。
妹に向けられるのと、同じだが違う視線。

私はこの視線が大嫌いだった。
まるで、私と妹を比べるみたいで気持ちが悪い。
双子なのに、同じ顔なのに。
私をそんな目で見ないでよ。

2025/01/27 21:46

月町 桔梗
ID:≫ 7r5tHLeuz1RfY
コメント

この小説につけられたタグ

花魁歴史系?花魁道中月町さん

通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

どういった部分が元作品と類似しているかを具体的に記入して下さい。

※できるだけ具体的に記入してください。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
タイトル
URL

この小説の著作権は月町 桔梗さんに帰属します

TOP