ああ、何と嘆かわしいことでしょう。
数年振りに顔を見たというのに、嫉妬に狂った瞳で見つめてくるだなんて。
「はあ…。困ったものね」
一人、部屋の中で呟く。
私の妹は、どうやら吉原に来てから変わってしまったようだ。
昔はいつも私の後を追って、「姉ちゃん、姉ちゃん」と言ってくれたというのに。
私たちは双子だけど、あの子はいつも私を姉として慕ってくれていた。
それなのに、今はあの頃の面影もなく、顔を合わせれば睨むばかり。
近頃は、私と真反対の道を歩んでいるようで、ぎらぎらと派手な化粧をして、道を大股で歩いて、朱色の分厚い着物を来て客を取る。
江戸によくいる花魁の格好をしている。
あの子がああいう格好をするのは構わない。
ただ、私はあの子がこの道に堕ちてしまうのが怖いのだ。
簡単に身を売るような人になって欲しくなくて、時々手紙を送るけれど、返事は返ってこない。
悲しいけれど、手紙を送るのを怠ったことはない。
ある日、店の二階で手すりにもたれながら煙管を吸っていると、大通りがどうやら騒がしい。
顔を覗かせると、そこには妹がいた。
豪勢な着物、派手な化粧、外八文字の歩き方。
まさしく、「江戸の花魁」だ。
その姿を見るのが、どうにも辛く感じて、部屋の中に引っ込んだ。
私が言えたことではないが、妹にすぐに肌を見せるような女になってほしくないのだ。
ここに売られてきた以上、体を売るしかないのは重々承知している。
それでも、妹には綺麗なままでいてほしい。
ここは病に冒されることが多々ある。
せめて、妹だけでも無事でいてくれるのを、毎日仏様に願っている。
「朝霧、朝霧!」
私を呼ぶ声にはっとして、後ろを向く。
「全く、いつまで寝てんだい?お客様がお待ちになられてるよ」
ああ、そうだった。
今日は、私を贔屓にしてくれている客の相手をする日だ。
急いで花魁道中の準備をする。
白粉を薄く塗って、真っ赤な紅をひいて、目元にも少しだけ紅をぼかす。
高い下駄をつっかけて、表に出る。
一歩、一歩。
ゆったりと、上品さを忘れずに歩く。
周りの観衆は息を呑んで私に視線を向けてくる。
妹に向けられるのと、同じだが違う視線。
私はこの視線が大嫌いだった。
まるで、私と妹を比べるみたいで気持ちが悪い。
双子なのに、同じ顔なのに。
私をそんな目で見ないでよ。
数年振りに顔を見たというのに、嫉妬に狂った瞳で見つめてくるだなんて。
「はあ…。困ったものね」
一人、部屋の中で呟く。
私の妹は、どうやら吉原に来てから変わってしまったようだ。
昔はいつも私の後を追って、「姉ちゃん、姉ちゃん」と言ってくれたというのに。
私たちは双子だけど、あの子はいつも私を姉として慕ってくれていた。
それなのに、今はあの頃の面影もなく、顔を合わせれば睨むばかり。
近頃は、私と真反対の道を歩んでいるようで、ぎらぎらと派手な化粧をして、道を大股で歩いて、朱色の分厚い着物を来て客を取る。
江戸によくいる花魁の格好をしている。
あの子がああいう格好をするのは構わない。
ただ、私はあの子がこの道に堕ちてしまうのが怖いのだ。
簡単に身を売るような人になって欲しくなくて、時々手紙を送るけれど、返事は返ってこない。
悲しいけれど、手紙を送るのを怠ったことはない。
ある日、店の二階で手すりにもたれながら煙管を吸っていると、大通りがどうやら騒がしい。
顔を覗かせると、そこには妹がいた。
豪勢な着物、派手な化粧、外八文字の歩き方。
まさしく、「江戸の花魁」だ。
その姿を見るのが、どうにも辛く感じて、部屋の中に引っ込んだ。
私が言えたことではないが、妹にすぐに肌を見せるような女になってほしくないのだ。
ここに売られてきた以上、体を売るしかないのは重々承知している。
それでも、妹には綺麗なままでいてほしい。
ここは病に冒されることが多々ある。
せめて、妹だけでも無事でいてくれるのを、毎日仏様に願っている。
「朝霧、朝霧!」
私を呼ぶ声にはっとして、後ろを向く。
「全く、いつまで寝てんだい?お客様がお待ちになられてるよ」
ああ、そうだった。
今日は、私を贔屓にしてくれている客の相手をする日だ。
急いで花魁道中の準備をする。
白粉を薄く塗って、真っ赤な紅をひいて、目元にも少しだけ紅をぼかす。
高い下駄をつっかけて、表に出る。
一歩、一歩。
ゆったりと、上品さを忘れずに歩く。
周りの観衆は息を呑んで私に視線を向けてくる。
妹に向けられるのと、同じだが違う視線。
私はこの視線が大嫌いだった。
まるで、私と妹を比べるみたいで気持ちが悪い。
双子なのに、同じ顔なのに。
私をそんな目で見ないでよ。