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花魁道中真っ盛り、されど敵わぬ者もいて

#1

別れた双子

「舞鶴屋の涼暮」
「笹賀屋の朝霧」

双子のように瓜二つな私たち。
実際、私たちは双子だ。
それでも、性格は真反対。
当たり前だ。
姉さんは京育ちで、私は江戸育ちと来たもんだ。
そりゃあ姉さんの方が私より幾分か品があるに決まってる。


私と姉さんは五つの時に売られた。
私たち以外にも、兄さん姉さん弟妹が何人もいたから、育てられなかったんだろう。
人買いはとりわけ顔のよかった私たちを選んで、[漢字]遊郭[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]に連れてきた。
でも、姉さんは途中で京都に連れて行かれた。


ここは私の聞いていた話よりもまだ居心地は良かった。
でも、頼れる人がいないってのは寂しいもんで、夜に一人涙をこぼすこともあった。
そんな時だったろうか。
姉さんが、他の店に売られたという噂を聞いた。
楼主に頼み込んで、少しだけ顔を覗きに行った。 


……随分とまあ別嬪になったもんだ。
あの時のあどけない感じや田舎娘特有の芋っぽさは一切無くなって、洗練された美人になっていた。
硝子細工のように通った鼻筋、花びらのような紅い唇、俯きがちな切れ長で黄金色の瞳、透る白い肌。
私の記憶の中の姉さんとは段違いだった。

何より私を驚かせ、妬ませたのは姉さんの立ち振る舞いだった。
江戸娘のように派手で絢爛なところは全く無く、淑やかで品のある艶やかさ。
客にはそんなところが人気だったようだ。

同じ顔でも、立ち振る舞いでこんなにも差をつけられる。
残酷な現実を思い知った。
姉さんに置いていかれるくらいなら、私は姉さんと真逆の道を歩んでみせましょう。
たとえその道が、茨の道だったとしても。



私はできるだけ江戸の連中が好むような派手な美人を目指した。
姉さんのように控えめで生気のない人形のような化粧ではなく、派手で色鮮やかな化粧をした。
白粉をたくさんつけて、真っ赤な紅をひいて、目元を赤くぼかす。
赤地に金の刺繍が入った着物を着て、朱色の帯をしめて。
高く結った髪にギラギラと輝くかんざしを幾つもつけて、身振り手振りを少し大げさなくらいにして。

ここまで頑張って、やっと姉さんと同じ場所に建てた気がした。
私はこんなにも努力して、やっと人気な花魁になれたのに。
姉さんはそのままの自分でも愛された。
これがどれだけ恨めしいか。

身勝手なのは分かっているし、姉さんも気にしちゃいないだろう。
それでも、私は姉さんをずっと目の敵にしてた。
こんな自分も、理由もなく嫌いな姉さんも。
みんな、みんな嫌い。

2025/01/25 22:39

月町 桔梗
ID:≫ 7r5tHLeuz1RfY
コメント

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花魁歴史系?花魁道中月町さん

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