客を取るようになってから三ヶ月が経った。
私も一人前の遊女になれただろうと思っていた。
今日も客の相手をし終えて、少し休んでいた。
その時、同期の千鶴「センヅル」が部屋に駆け込んできた。
「よ、夜桜!大変だよ!」
「どうしたのさ、そんなに慌てて…?」
「涼暮花魁が、ば、梅毒に…!」
梅毒。
遊女たちに一番恐れられていた病。
梅毒にかかれば、たちまち顔が醜く崩れ、客の相手なんかできやしない状態になる。
このような病に冒された遊女たちは、「切見世」に連れて行かれる。
切見世は基本、下級の遊女が客を取っている場所だが、病にかかった遊女もここに連れて来られる。
ここの環境は悲惨なもので、不衛生の極みだと言われていた。
涼暮花魁は、こんなところにまで成り下がってしまったのだ。
自慢だったあの美しさも、今では面影一つさえもなかった。
廊下の方へ顔を覗かせると、両わきを顔を布で覆った禿に支えられ、涙をぽろぽろと零しながら足を引きずっていた。
「可哀想に…。あのご面相じゃあ、もう二度と客は取れないだろうね」
千鶴の悲しそうな声が聞こえた。
ああ、あの人もいつかはこうなる運命を辿ってしまうのだろうか。
あの日、目が合ったあの人も。
私は恐ろしくてたまらなかった。
「夜桜、あんたも別嬪さんだから、梅毒にかかったら悲惨よ?気をつけなさい」
千鶴にそう言われ、「ええ、そうね」と上の空で返事をした。
花魁になれれば病にかかる可能性は低いだろうと考えていたが、現実はそう甘くなかった。
私は絶対にああはなりたくない。
心に深く誓った。
遊女の夜桜として生きるのは大変だし、辛いこともあった。
でも、朝霧花魁に対する憧れの気持ちがあったからこそ、私はここまで頑張れたのだと思う。
だとしても、命の危険があるのには変わりなく、私は梅毒に怯えながら過ごさなければならなかった。
涼暮花魁の崩れた顔を思い出し、客の相手をしていても恐怖に包まれることもあった。
それでも私は、あの人のように上へ上り詰める。
花魁になってみせる。
私も一人前の遊女になれただろうと思っていた。
今日も客の相手をし終えて、少し休んでいた。
その時、同期の千鶴「センヅル」が部屋に駆け込んできた。
「よ、夜桜!大変だよ!」
「どうしたのさ、そんなに慌てて…?」
「涼暮花魁が、ば、梅毒に…!」
梅毒。
遊女たちに一番恐れられていた病。
梅毒にかかれば、たちまち顔が醜く崩れ、客の相手なんかできやしない状態になる。
このような病に冒された遊女たちは、「切見世」に連れて行かれる。
切見世は基本、下級の遊女が客を取っている場所だが、病にかかった遊女もここに連れて来られる。
ここの環境は悲惨なもので、不衛生の極みだと言われていた。
涼暮花魁は、こんなところにまで成り下がってしまったのだ。
自慢だったあの美しさも、今では面影一つさえもなかった。
廊下の方へ顔を覗かせると、両わきを顔を布で覆った禿に支えられ、涙をぽろぽろと零しながら足を引きずっていた。
「可哀想に…。あのご面相じゃあ、もう二度と客は取れないだろうね」
千鶴の悲しそうな声が聞こえた。
ああ、あの人もいつかはこうなる運命を辿ってしまうのだろうか。
あの日、目が合ったあの人も。
私は恐ろしくてたまらなかった。
「夜桜、あんたも別嬪さんだから、梅毒にかかったら悲惨よ?気をつけなさい」
千鶴にそう言われ、「ええ、そうね」と上の空で返事をした。
花魁になれれば病にかかる可能性は低いだろうと考えていたが、現実はそう甘くなかった。
私は絶対にああはなりたくない。
心に深く誓った。
遊女の夜桜として生きるのは大変だし、辛いこともあった。
でも、朝霧花魁に対する憧れの気持ちがあったからこそ、私はここまで頑張れたのだと思う。
だとしても、命の危険があるのには変わりなく、私は梅毒に怯えながら過ごさなければならなかった。
涼暮花魁の崩れた顔を思い出し、客の相手をしていても恐怖に包まれることもあった。
それでも私は、あの人のように上へ上り詰める。
花魁になってみせる。