彼女の長い闘病生活が漸く終わりを告げた。
もう二度と痛みに苦しまず、綺麗な髪が抜け落ちていく絶望に苦しめられることもない。
眠っているような表情の彼女の冷たくなった手を握って、「頑張ったね」と声をかける。
医師も、「ずっと、苦しまれていましたからね…。ご冥福をお祈りします」と言っていた。
彼女は…優喜「ユキ」は名前の通り優しい人で、いつも笑顔だった。
しかし、六年前に重い病に身を侵されて入院した。
不定期でいつ襲ってくるか分からない痛み、薬の影響で綺麗なつやのある髪が抜け落ちていく絶望、そして死への恐怖。
優喜はずっと、これらと闘ってきた。
僕は、できることなら代わってあげたいと願い、闘病生活を支えることしかできなかった。
それでも優喜は、「いつもそばにいてくれてありがとう!退院したら零とあの喫茶店行きたいなぁ。あそこのプリン美味しいんだよね〜」と、退院したらしたいことをいつも話してくれた。
優喜の容態はどんどん悪化していって、手の施しようがないと医者に言われるほどにまでなってしまった。
それでも、ずっと元気に振る舞っていた。
葬式が終わって、彼女との思い出に浸っていると、優喜の母親に声をかけられた。
「あの…優喜の恋人の方ですよね?優喜を愛してくれてありがとう。あの子の思い出の品と骨壷を持っていて欲しいの。優喜が生きていた証を、持っていてくれないかしら?」
骨壷も持っていてくれないかと言われて少し驚いたが、彼女と一緒にいられるならと承諾し、自宅に骨を持って帰った。
暗い部屋に入り、電気をつける。
ろくに手も洗わずソファに座り込み、骨壷ともらったネックレスを手に取る。
ネックレスは、僕が優喜の誕生日にプレゼントとして渡したものだった。
優喜は入院中もずっとこのネックレスを首から下げていて、大切そうにしていた。
ふと、「彼女とずっと一緒にいられる方法はないだろうか」と思った。
そして、骨壷の蓋を開けた。
焼かれてバラバラになった彼女の骨を一つ手に取り、眺める。
白く、少し灰色がかっている。
僕は手に取った骨を口に含み、噛み砕いた。
固く、ラムネを噛んでいるような感覚だった。
特に味はせず、クセはなかった。
噛み砕いた骨を飲み込むと、僕は頭蓋骨を手に取った。
手のひらで包み込むと、元気だった頃の優喜との思い出が蘇ってきた。
優喜の好きだった古い喫茶店。
日差しの当たるソファ席で、向かい合って座る。
僕はラテ、優喜はいつもクリームソーダと何かしらのスイーツを注文していた。
他愛無い話をしながら、クリームソーダを飲む優喜の笑顔。
ゆるりと溶けていくアイス。
ゆったりと流れていく時間。
幸せで、この時間が少しでも長く続きますようにと願っていた。
愛する人と一緒にいる時が幸せでたまらなかった。
僕は彼女の頭蓋骨と他の骨を丁寧にガラスケースにしまい、棚に飾った。
いつまでも一緒にいられるなら、僕は何だってするつもりだ。
こっちで幸せになれなかった分、天国で日の光を浴びながら幸せになってね。
大好きだよ、優喜。
もう二度と痛みに苦しまず、綺麗な髪が抜け落ちていく絶望に苦しめられることもない。
眠っているような表情の彼女の冷たくなった手を握って、「頑張ったね」と声をかける。
医師も、「ずっと、苦しまれていましたからね…。ご冥福をお祈りします」と言っていた。
彼女は…優喜「ユキ」は名前の通り優しい人で、いつも笑顔だった。
しかし、六年前に重い病に身を侵されて入院した。
不定期でいつ襲ってくるか分からない痛み、薬の影響で綺麗なつやのある髪が抜け落ちていく絶望、そして死への恐怖。
優喜はずっと、これらと闘ってきた。
僕は、できることなら代わってあげたいと願い、闘病生活を支えることしかできなかった。
それでも優喜は、「いつもそばにいてくれてありがとう!退院したら零とあの喫茶店行きたいなぁ。あそこのプリン美味しいんだよね〜」と、退院したらしたいことをいつも話してくれた。
優喜の容態はどんどん悪化していって、手の施しようがないと医者に言われるほどにまでなってしまった。
それでも、ずっと元気に振る舞っていた。
葬式が終わって、彼女との思い出に浸っていると、優喜の母親に声をかけられた。
「あの…優喜の恋人の方ですよね?優喜を愛してくれてありがとう。あの子の思い出の品と骨壷を持っていて欲しいの。優喜が生きていた証を、持っていてくれないかしら?」
骨壷も持っていてくれないかと言われて少し驚いたが、彼女と一緒にいられるならと承諾し、自宅に骨を持って帰った。
暗い部屋に入り、電気をつける。
ろくに手も洗わずソファに座り込み、骨壷ともらったネックレスを手に取る。
ネックレスは、僕が優喜の誕生日にプレゼントとして渡したものだった。
優喜は入院中もずっとこのネックレスを首から下げていて、大切そうにしていた。
ふと、「彼女とずっと一緒にいられる方法はないだろうか」と思った。
そして、骨壷の蓋を開けた。
焼かれてバラバラになった彼女の骨を一つ手に取り、眺める。
白く、少し灰色がかっている。
僕は手に取った骨を口に含み、噛み砕いた。
固く、ラムネを噛んでいるような感覚だった。
特に味はせず、クセはなかった。
噛み砕いた骨を飲み込むと、僕は頭蓋骨を手に取った。
手のひらで包み込むと、元気だった頃の優喜との思い出が蘇ってきた。
優喜の好きだった古い喫茶店。
日差しの当たるソファ席で、向かい合って座る。
僕はラテ、優喜はいつもクリームソーダと何かしらのスイーツを注文していた。
他愛無い話をしながら、クリームソーダを飲む優喜の笑顔。
ゆるりと溶けていくアイス。
ゆったりと流れていく時間。
幸せで、この時間が少しでも長く続きますようにと願っていた。
愛する人と一緒にいる時が幸せでたまらなかった。
僕は彼女の頭蓋骨と他の骨を丁寧にガラスケースにしまい、棚に飾った。
いつまでも一緒にいられるなら、僕は何だってするつもりだ。
こっちで幸せになれなかった分、天国で日の光を浴びながら幸せになってね。
大好きだよ、優喜。