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グロ表現があります。
苦手な方は逃げてください。
名前が被った場合は本当に申し訳ございません。
ごめんね
赤ちゃんの泣き声が狭いアパートの一室に響く。
どうしよう、どうしよう。
あの人が帰ってくる前に、どこかに置いてこなきゃ。早く、早く。
私は生まれたばかりの赤ちゃんを抱きながら大急ぎで靴を履いて、部屋から飛び出した。
蝉の声が、赤ちゃんの泣き声と重なり合った。
階段を駆け降りて、駅まで走る。
今思い返せば、きっかけは些細なことだった。
大学のサークルで意気投合して、付き合って、私が妊娠して。
それから彼の態度があからさまに変わった。
私に暴力を振るうようになって、家を空けるようになった。
でも、私に彼から離れるなんて選択肢はなかった。
両親も他界して、頼れる親戚だっていない私が彼から離れたところで生きていけるわけがない。
誰かに助けを求めたって、私を冷たい目で見て、知らん顔するだけだった。
腕の中で赤ちゃんが泣き続ける。ごめんね、ごめんね。ら
誰も私の味方にはなってくれなかった。
駅に着いて、震える手でコインロッカーを開ける。
人がいないのを確認して、赤ちゃんに「ごめんね」と言ってロッカーに入れる。
その頃には赤ちゃんも泣き止んで、にこにこと笑いながらこちらに手を伸ばしていた。
泣きたいのを堪えながら、ロッカーの小さな扉を閉める。
ロッカーの方を見ないようにしながら、自宅へ帰る足を早める。
どうか、バレていませんように……
自宅に帰ると、唐突に無力感と絶望感に襲われた。
自分のしたことは取り返しがつかないことだ。
分かっていたのに、心に重くのしかかってくる。
三日。三日経ったら、ロッカーの中を見に行こう。
その時、まだ赤ちゃんが生きていたら…私は人生をやり直せる。
何故だか、そんな気がした。
何故か、あの子を私の人生と重ねてしまった。
親に捨てられ、愛してくれる人もいない。
あの子の方が可哀想なのに、私はあの子と自分を重ねていた。
被害者ヅラしている自分に嫌気が差して、ボロボロの布団に潜り込む。
お願いだから、生きていますように……。
三日経って、私はロッカーの中を見にいくことにした。
また、急ぎ足で駅に走る。
震える手でロッカーの扉を開けると、中からものすごい腐敗臭がした。
恐る恐る中を覗くと、ぐずぐずに腐った小さな肉塊が出てきた。当たり前だ。夏にあんなところに押し込んだら、腐るに決まっている。
ゆっくりと肉塊に手を伸ばす。
生ぬるい肉塊に触れると肉が潰れて、嫌な音を立てる。
私は形が崩れてしまわないようにそっと取り出して、赤ちゃんだったものを抱き上げる。
私はもう、生きる意味を見出せなかった。
子供も失って、生きる希望も失って。
私は何のために生きているんだろう。
赤ちゃんを抱きながら、家路に着く。
心の中で、ずっと赤ちゃんに謝り続けた。
ごめんね、こんなお母さんでごめんね。幸せに生きることを叶えられなくてごめんね。
許してくれるわけがない。
アパートのドアを乱暴に開ける。
玄関に座り込む。
蝉の声が響き渡る。
それと同時に、生きているはずのない赤ちゃんの泣き声が私の耳朶を打った。
クラクラする。
耳鳴りがして、私は意識を手放した。
ごめんね、幸子「ゆきこ」
こんなお母さんを、許してね。
どうしよう、どうしよう。
あの人が帰ってくる前に、どこかに置いてこなきゃ。早く、早く。
私は生まれたばかりの赤ちゃんを抱きながら大急ぎで靴を履いて、部屋から飛び出した。
蝉の声が、赤ちゃんの泣き声と重なり合った。
階段を駆け降りて、駅まで走る。
今思い返せば、きっかけは些細なことだった。
大学のサークルで意気投合して、付き合って、私が妊娠して。
それから彼の態度があからさまに変わった。
私に暴力を振るうようになって、家を空けるようになった。
でも、私に彼から離れるなんて選択肢はなかった。
両親も他界して、頼れる親戚だっていない私が彼から離れたところで生きていけるわけがない。
誰かに助けを求めたって、私を冷たい目で見て、知らん顔するだけだった。
腕の中で赤ちゃんが泣き続ける。ごめんね、ごめんね。ら
誰も私の味方にはなってくれなかった。
駅に着いて、震える手でコインロッカーを開ける。
人がいないのを確認して、赤ちゃんに「ごめんね」と言ってロッカーに入れる。
その頃には赤ちゃんも泣き止んで、にこにこと笑いながらこちらに手を伸ばしていた。
泣きたいのを堪えながら、ロッカーの小さな扉を閉める。
ロッカーの方を見ないようにしながら、自宅へ帰る足を早める。
どうか、バレていませんように……
自宅に帰ると、唐突に無力感と絶望感に襲われた。
自分のしたことは取り返しがつかないことだ。
分かっていたのに、心に重くのしかかってくる。
三日。三日経ったら、ロッカーの中を見に行こう。
その時、まだ赤ちゃんが生きていたら…私は人生をやり直せる。
何故だか、そんな気がした。
何故か、あの子を私の人生と重ねてしまった。
親に捨てられ、愛してくれる人もいない。
あの子の方が可哀想なのに、私はあの子と自分を重ねていた。
被害者ヅラしている自分に嫌気が差して、ボロボロの布団に潜り込む。
お願いだから、生きていますように……。
三日経って、私はロッカーの中を見にいくことにした。
また、急ぎ足で駅に走る。
震える手でロッカーの扉を開けると、中からものすごい腐敗臭がした。
恐る恐る中を覗くと、ぐずぐずに腐った小さな肉塊が出てきた。当たり前だ。夏にあんなところに押し込んだら、腐るに決まっている。
ゆっくりと肉塊に手を伸ばす。
生ぬるい肉塊に触れると肉が潰れて、嫌な音を立てる。
私は形が崩れてしまわないようにそっと取り出して、赤ちゃんだったものを抱き上げる。
私はもう、生きる意味を見出せなかった。
子供も失って、生きる希望も失って。
私は何のために生きているんだろう。
赤ちゃんを抱きながら、家路に着く。
心の中で、ずっと赤ちゃんに謝り続けた。
ごめんね、こんなお母さんでごめんね。幸せに生きることを叶えられなくてごめんね。
許してくれるわけがない。
アパートのドアを乱暴に開ける。
玄関に座り込む。
蝉の声が響き渡る。
それと同時に、生きているはずのない赤ちゃんの泣き声が私の耳朶を打った。
クラクラする。
耳鳴りがして、私は意識を手放した。
ごめんね、幸子「ゆきこ」
こんなお母さんを、許してね。
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